笑福亭鶴笑、桂あやめらRPP(アールピッピ)がフランス・アビニョン演劇祭へ!後見人・桂文枝がエール
シンガポールやロンドンを拠点に芸能活動を行い、2000年から海外に移住。パペット落語を現地の言葉で演じ、落語および日本文化の普及に努めるとともに、笑いで世界の人々を救いたいとNPO法人「国境なき芸能団」を設立するなど、上方落語界きっての国際派として知られる笑福亭鶴笑が、またまた新たな挑戦を表明しました。7月5日〜26日にフランス・アヴィニョンで開催される「アビニョン演劇祭」に、自身と桂あやめ、もりやすバンバンビガロ、林家染雀、笑福亭笑子、わんだふる佳恵からなるお笑い国際ドリームチーム「RPP」(アールピッピ)として参加。フランスをはじめ世界中から集まる観客を大いに“笑わせ”るほか、パリ、リヨンでも公演します。7月14日(水)の決意会見には鶴笑、あやめ、バンバンビガロが出席。それぞれの意気込みを語りました。
これまで世界各国でパペット落語を披露してきた鶴笑ですが、フランス・アヴィニョンは初めての土地。「いろんなコメディフェスティバルなどでパフォーマーたちから『アヴィニョンには行ったか?』といつも聞かれていたが、英語圏ではないので、なかなか行けなかった。今回は外国で鍛え抜いたメンバーが僕の背中を押してくれ、夢が叶いました」と参加の経緯を説明しました。また、「これまではどうやったら喜んでもらえるかを考えていたが、今回は営業を取ってこようやないか、という気持ち。僕らが先陣を切って外国の仕事を取ってきます」と新たな目標も。「言葉なしで、うどんを食べているところに怪獣が現れるというドタバタ劇のパペット落語ができ上がりました」と、現地で披露する秘蔵ネタも準備済みです。
「海外に行くこと、特に街に行くことが好き」というあやめは、鶴笑とともにいろんな国を訪れた経験があり、「どこに行った時も、何らかのパフォーマンスをやってきた」とのこと。「落語はしゃべり芸で、言葉が通じない場所、屋外に弱いが、そこで何ができるかというのを逆にやってみたい。落語も元は大道芸だった。そういった原点にも近づけるのでは」と早くもやる気満々です。鶴笑については「8年も英語圏に住んでいたのにほとんど英語がしゃべれない(笑)。それだけ言葉のいらない芸をやってきた人なので、この人について行けば、世界中どこに行っても大丈夫」と全幅の信頼を寄せている様子。既に染雀との音曲漫才コンビ「姉様キングス」として『オー・シャンゼリゼ』を使ったネタや、踊りなどの見てわかるネタ、落語でも響きがフランス語に近い「寿限無」をアレンジしたものなど、さまざまなアイデアを温めているそうです。
バンバンビガロは今回が初海外とのことで、「向こうでネタをやれるのはもちろん、個人的には美味しいごはんを食べて、いろんなところを見たい」とワクワクを隠せません。「普段、海外のパフォーマーをほとんど見たことがないので、この機会にネタや姿勢などいろいろ吸収して、芸の肥やしにしたい。楽しみで楽しみで仕方ありません」と胸を躍らせる一方で、9月には入籍を控えていることから「これを機に、ますます一生懸命頑張っていきたい」と力強く宣言していました。
と、ここでRPPの後見人である六代 桂文枝が登場、メンバーたちにエールを送ることに。昨年12月には襲名披露公演で、今年に入ってからも『新婚さんいらっしゃい』公開収録のためパリを訪れた文枝は、「ヨーロッパの中でも、パリにはピエロなどさまざまなパフォーマーの方が集まるので、そのぶん芸術に対する目が鋭い土地でもある。目の肥えた人たちは少々のことでは驚かない。そのへんを考えて、地味でもいいから日本の底力を見せてほしい」とコメント。ぜひやってほしいこととして「メトロ(地下鉄)ではいろんな芸人が乗ってきて芸を披露している。そういう中で芸を競って、そして勝ってきてほしい」とのリクエストも飛び出しました。パリジャンたちはとにかくウィットに富んでいるそうで、「現地の日本語ができるガイドさんに、マロニエ並木は冬になるとどうなるんですかと尋ねると『葉が落ちて、まるみえになります』と言われました」と爆笑エピソードも。「刺激を受ける街なので、それに負けないように」と力強いメッセージで締めくくると、これを受けて鶴笑は「気持ちがシャキッとしました。失敗したらバチが当たる。何をおいても成功させたい。頑張ります!」と決意を新たにしていました。
演劇祭期間中は1000公演以上が行われるそうですが、RPPメンバーは昼間は広場でのパフォーマンス、そこでPRを行いながら夜はレストランでの公演に臨む予定。TPPにヒントを得て「音がかわいい」と名付けられたRPPは、落語、パペット、パフォーマンスの頭文字をとったもの。演劇祭後も活動を継続するそうで、来年にはオーストラリア・メルボルンへの上陸も計画しています。「これを皮切りに、世界中の仕事をもぎ取りたい」と鶴笑が意気上げれば、あやめは「例えば京都で外国人観光客に芸を見せるといったこともやっていきたい」と“国内プラン”も紹介。旅費は自腹ながら「ショーケースと思って」挑む演劇祭が、その第一歩となりそうです。
また、落語界でも海外公演が増えてきていることについて、文枝は「パリでは人情噺を披露したが、その心情はわかっていただけた。今回の演劇祭では、上方落語はもちろんいろんな芸の人が向こうでもやっていけるよう、皆さんに突破口を開いてもらいたいですね」。さらに「フランスは古くから日本に興味を持っていた国で、皆さんの芸を、向こうも盗もうと考えているはず。見た目だけでなく、芸の奥にある心を磨いて、日本を舞台にした噺などもやってみては」とアドバイスしつつ、「行った限りはいろんなものを吸収して、日本にいる芸人さんたちにもいい刺激を与えてほしい」と期待を込めました。
上方落語をはじめさまざまな日本の芸能が、フランスの地でどんな笑いを巻き起こすのか……RPPの奮闘に、どうぞご期待ください!