伝説のミュージカルスター、ヒントン・バトル来日!「AMERICAN VARIETY BANG!」制作発表会見
1987年、現なんばグランド花月(NGKシアター)オープンに際して上演された伝説のステージ「AMERICAN VARIETY BANG!」。トニー賞を3度受賞した世界的ダップダンサーでありミュージカルスターでもあるヒントン・バトルさんを招き、懐かしのミュージカルナンバーからマイケル・ジャクソン、マドンナに至る歌とダンス、さらにはスケッチ(コント)、バラエティ・アクト(マジック・ジャグリング等)などで構成されたエンターテインメント性あふれるステージは、当時、大きな話題を呼びました。そして今年、26年の歳月を経て、「AVB!」が再び大阪の地に降臨! 12月14日から約2カ月間にわたり、大阪・なんばグランド花月だけでしか見られない、全く新しいアメリカの“ショー”を繰り広げます。9月20日(金)に行われた制作発表会見には、ヒントンさんはもちろん、緊急参戦が決定した日本の天才タップダンサー・HIDEBOHも出席。公演のコンセプトや意気込みなどを語りました。
前回公演の様子や『ソフィスティケイテッド・レディ』『ドリームガールズ』といった出演作からヒントンさんのキャリアをひもとくVTRが流れた後、司会のヒロ寺平さんのコールに乗って会見場のステージに躍り出たヒントンさんは、さっそく歌とタップダンスをライブで披露。さらに途中からはHIDEBOHも加わり、「ちょっと待って!」と流ちょうな日本語も交えながら、圧巻のタップバトルで魅了しました。
興奮さめやらぬ中、いよいよ記者会見がスタート。まずは吉本興業代表取締役会長・吉野伊佐男が挨拶を。「26年前の公演では、こんな有名な方が本当に来てくださるのか心配もしていたが、実際に上演していただくことができた。私も10回以上、劇場で見せていただきました」と振り返りつつ、「26年ぶりにこうしてなんばグランド花月に『AVB!』として来ていただけることについては大変感激しているし、感慨深い。とてもいいショーなので、たくさんの方々に見ていただきたいと思っています」と呼びかけました。さらに、よしもとクリエイティブ・エージェンシー代表取締役副社長・泉正隆からは、このショーのために日米から集結した最高のキャスト&スタッフについての説明が。ヒントンさんについては、「グレゴリー・ハインズ、グレッグ・バージに並ぶ世界三大タップダンサーであり、他のふたりが近年、他界された今は名実ともに世界のトップ。しかも、『ミス・サイゴン』などでトニー賞を3度も受賞した、ブロードウェイで最高レベルのミュージカルスター」と、改めてその経歴を紹介。さらに、TDLの初代副社長として数多くのエンターテインメントの演出を務めたラリー・ビルマンさん、日本を代表するタップダンサー・HIDEBOH、テレビ界では『今夜は最高!』『笑っていいとも!』を生み出し、舞台では『ダウンタウン・フォーリーズ』など人気エンターテインメントを手がけてきた高平哲郎さんらのプロフィールも説明しました。
今回、共同で脚本を手がけている高平さんとラリー・ビルマンさんは、前回公演にも携わったそうで、高平さんは「吉本興業創業101年目のイベントとして『AVB!』をもう一度やりたいという話を聞き、さっそくラリーさんに相談した。すると『もしかしたらヒントンが出てくれるんじゃないか』と言うので、まさかと思ったんですが、連絡を取っていただき、2月にニューヨークでヒントンさんに会った。2日後には出演を快諾してくれました」と、これまでの経緯を説明。さらに、ヒントンさんとHIDEBOH以外のキャストは9月30日、10月1日にブロードウェイで、ミュージシャンについても別途オーディションを行うと明かしました。また、前回と違う点として「最近は、ダンスが多様になってきた。そこで今回は、ヒントン自身が非常に幅広いダンスを紹介してくれる」とも。ヒントンさんが編み出したスウィングとヒップホップを融合させたダンス“スウォッブ”も、日本初上陸する予定だそうです。
ラリーさんは、「26年前、このショーをやった時は、高平さんの髪はまだ黒かった」とジョークで笑わせた後、「26年ぶりに再会して、またタッグを組み、ヒントンさんも加わって全く新しいショーをお届けします。また、HIDEBOHさんはこのショーに書かせない要素となりました」とニッコリ。
ショーの“顔”であるヒントンさんも、「25年かかったかもしれないけど、またこのショーに戻ってこれてとてもうれしい」と興奮を隠せない様子。「皆さんが僕を連れて帰ってきてくれた」とスタッフにも感謝の言葉を述べ、「26年前とは全然内容の違う、新しい要素をたくさん含んだショーになる予定。劇場の天井がぶっ飛んでしまうぐらい、皆さんを驚かせるエキサイティングなものにしたい。だからどうぞ足を運んで見に来てください。きっと、とってもとってもとっても楽しんでいただけると思います」と熱っぽく語りかけました。
6歳からタップダンスを始めたHIDEBOHは、18、19歳の頃に見たヒントンさん主演の『ソフィスティケイテッド・レディ』が、自身にとって大きな転機になったと告白。「グレッグ・バージさんや、ヒントンさんのこの舞台を見て、アメリカに行く決意もしましたし、その振り付けをしていたヘンリー・ルタンに弟子入りした。私にとってヒントンさんと一緒に舞台に立つというのは、本当に夢のまた夢。信じられないことです。『ソフィスティケイテッド・レディ』のビデオテープがすり切れるまで、ヒントンさんのステップを盗んで練習して。だからヒントンさんのタップダンスナンバーは、ほとんど踊れる。その方が実際目の前に来て、一緒に踊れるというのは、タップダンサー冥利に尽きます」と、緊張の面持ちで話していました。
この後、開かれた懇親会では、キャストふたりがざっくばらんな雰囲気の中で、それぞれ質問に答えました。
ヒントン・バトルさんとの質疑応答
——大阪で印象に残っていること、そして今回楽しみにしていることは?
すごく街が変わりましたよね。食事もおいしいので、体重は増えてしまうのですが(笑)、それも楽しみのひとつ。街の人たちが温かいので、生活していて心地いいです。
——26年前の公演で思い出に残っていることは?
『AVB!』は、私が日本で初めて出演する舞台だったのですが、お客さんが立って手拍子してくれて。それがどんどん続くので、最後のナンバーがどんどん伸びてしまいました(笑)。すごく楽しかったし、楽しんでいただけました。
——25年変わらず第一線で活躍してこられた秘訣は?
ご存じのとおり、エンターテインメント業界はすごく厳しい世界で、年を取れば取るほどさらに厳しくなっていく。でも僕は幸運にも人に恵まれています。あと、ひとつ秘訣があるとすれば、満足しないこと。いくつになっても学ぶことはいくらでもあるし、何か新しいものを作ることは常にあって。街を歩いているだけでインスパイアされるので、毎日、朝起きて「また何か作ろう!」と思えるんです。今朝もホテルから出た時に、そこにいる人たちや街の風景を見て、そこから自分の頭の中でダンスナンバーを作っていたんですよ。
——今回の公演はどういった内容を考えていますか?
バラエティに富んだいろんな音楽ジャンルや、アメリカを象徴するエンターテインメントを凝縮したもの。それはレディ・ガガでありマイケル・ジャクソンでありデューク・エリントンでありカウント・ベイシーであり…いろんなスタイルをすべてギュッと詰め込もうと思っています。今、高平さんとラリーさんとずっと台本を作っていて、皆さんを靴が脱げるほど驚かせる素晴らしいものをお届けします。すごく楽しみです!
——HIDEBOHさんの印象を教えてください。
「とってもいいです」じゃなく、本当に世界トップレベルで競えるぐらい素晴らしいダンサーなので、共演が楽しみ。そうじゃなかったら、あんなに(会見冒頭のプレゼンテーションで)ソロパートはあげませんよ(笑)。
——HIDEBOHさんをはじめ、後進のダンサーたちが育ってくることについては?
今は、ダンスを取り囲む環境がすごく変わってきているのと、新しいジェネレーションがどんどん出てきている。ただのバレエ、タップじゃなく、ダンスとしての地位が高まっていることがうれしいです。
——普段はコメディの舞台である“笑いの殿堂”なんばグランド花月で公演を行うことについて。
「笑いの殿堂」というイメージをガラリと変えてみせます。「なんばグランド花月といえば『AVB!』だよね」って言ってもらえるようなショーにしたい。
——現在、日本のダンスシーンも当時とは変わってきているが、若いダンサーたちにメッセージをお願いします。
Keep dancing! 踊り続けることです。ダンスは僕を救ってくれました。感情や伝えたいことがすべてダンスに昇華されるので、特に若いダンサーの皆さんには、ずっとずっと踊り続けてほしいと思っています。
——今回のオファーがあった時のお気持ちは?
電話がかかってきて、すぐ「やらない、やらない!」と言いました…というのはジョークで(笑)。普通、再演って人気があったらすぐやるじゃないですか。だからなんで26年後なんだってびっくりしたんですけど、とってもとってもうれしかったです。
HIDEBOHとの質疑応答
——ヒントンさんのビデオは何回ぐらい見たんですか?
数えられないほど…何百回じゃないでしょうか。当時、パパイヤ鈴木さんもタップやっていて、一緒にずーっと見てました。ふたりでコピーをし合ってね、どれだけそのステップを取り入れられるかって。画期的だったんですよね。フレッド・アステアやジーン・ケリーの流れから、ブロードウェイで『ソフィスティケイテッド・レディ』がタップのミュージカルとして上演されて。初代がグレゴリー・ハインズさんで、二代目の主演がヒントン・バトルさんだった。それがビデオ化されていて、それが唯一のブラックタップのバイブルみたいになって、ヒントンさんとグレッグ・バージさんがブロードウェイズ・ベストと呼ばれるように。これに僕らはずーっと憧れてきましたから、影響力っていうのはかなり大きいですよね。
——ビートたけしさんには報告されましたか?
「おお、いいなあ!」って言っていただきました。「ぜひいらしてください」とはお伝えしています。でも、こっそり当日券を買って、バレないように見に来られたりするんですよね(笑)。だから突然来られる可能性もあるのかなと思っています。もともとは僕のおやじがケリーヒグチというボードビリアンで、たけしさんと同じ舞台に立っていた。ある番組で僕のダンスを見ていただいて、「実は僕、ケリーの息子なんですよ」「えー!」みたいな話になって。その時「タップダンスをもう一度ちゃんとやろうと思ってるんだよね」と言われてて、それ以来、レッスンをしています。
——ヒントンさんとの競演が決まったときは?
お名前を聞いて震えましたね。映画スターの方よりもっと震えるというか。やっぱりブロードウェイの大スターで世界的にも有名で、ずっとその人を見てマネしてやってきた方が、今、現役でいらして。しかも僕が吉本にいて、日本人で唯一入れてもらってご一緒できる。一番うれしいのは日本から発信できること。もしかすると、向こうに行って何かチャレンジする方が簡単かもしれないですよ。
——共演を通じて期待していることは?
ダンスだけでなく演出や振り付けなど、いろんなものを兼ね備えているすごい方なので、できるだけたくさん吸収しようと思っています。
なお、先日、カウント・ベイシー楽団が東京で新たにレコーディングした6曲のうち、4曲をヒントンさんが歌うことが決定。この4曲入りの「ヒントン・バトルmeetsカウント・ベイシー」のアルバムは、公演中に会場のみで販売される予定ですので、こちらもお見逃しなく!
HINTON BATTLE’S AMERICAN VARIETY BANG!
公演日程:2013年12月14日(土)〜2014年1月31日(金)
※プレビュー公演 2013年12月12日(木)・13日(金)
早くも追加公演が決定!
2014年2月1日(土)〜2月14日(金)
振付・演出・出演:ヒントン・バトル
共演:HIDEBOH
脚本:ラリー・ビルマン
エグゼクティヴ・プロデューサー:高平哲郎
会場:なんばグランド花月 料金:S席(1階席・2階席前方)8000円、A席(S席以外)6000円
お問い合わせ:キョードーインフォメーション☎06−7732−8888(10:00〜19:00)
http://www.americanvarietybang.com