『ヒントン・バトルのアメリカン・バラエティ・バン!』
1987年、なんばグランド花月のこけら落としとして上演された『アメリカン・バラエティ・バン!』が、26年の時を経て、装いも新たに返ってきました! 前回同様、ブロードウェイの伝説的スター、ヒントン・バトルさんを中心に、“アメリカン・エンターテインメント”を欲張りに詰め込んだレビュー・ショー。しかも今回はヒントンさん自身が主演だけでなく演出・振付・台本も担当し、ブルースやジャズ、ミュージカルナンバーはもちろんマイケル・ジャクソンやレディ・ガガといった最新のヒットチューンまで網羅した幅広い音楽、そしてクラシック、ジャズ・ダンス、タップ・ダンス、ヒップホップ、ストリートなど多種多様なダンス・ジャンルを盛り込んだ内容となっています。日本からはタップダンサーとしてHIDEBOHが参加し、ヒントンさんと夢の競演も!? 12月14日(土)、ついに幕を開けた贅沢なステージを、さっそくレポートします。
開演前から、ジョニー・デップやアンジェリーナ・ジョリー、マイケル・ジャクソンに扮したキャストたちが客席を練り歩き、観客と記念撮影したりおしゃべりしたり…舞台ではスタッフたちがセットづくりに忙しく、まるでハリウッドに迷い込んだかのような雰囲気が演出されています。続いて助監督のカチンコを合図に第2場「ハリウッド万歳!」がスタート。オープニングナンバー『フーレイ・フォー・ハリウッド』では、ヒントンさんも登場し歌とダンスを披露します。マイケル・ジャクソンの『今夜はビート・イット』やレディ・ガガの『パパラッチ』などのヒット・チューンに乗せて繰り広げられる、パワフルなダンスにさっそく目が釘付け! 客席からはいつしか手拍子が沸き起こります。この後は映画『天使にラブソングを…2』などでも歌われたモータウンナンバー『エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ』、さらにはキャスト全員で歌い踊る『ショーほど素敵な商売はない』へとなだれ込み、始まったばかりだというのに会場のテンションはMAXに…。
第3場は、ヒントンさんからの挨拶。「また大阪に帰って来られてうれしいです。今回は、アメリカから最高のダンサーとシンガーを連れてきました」と語りかけると、改めて大きな拍手が起こります。「ブロードウェイ、そこは超一流が集まる場所…」そんな言葉に導かれるように、ステージは第4場へ。
ここでは「オン・ブロードウェイ」と題し、おなじみのミュージカル・ナンバーをメドレースタイルで。ヒントンさんが歌う『オン・ブロードウェイ』を皮切りに、1970年以降のヒット・ソングが次々と飛び出します。『オペラ座の怪人』『シカゴ』『ライオンキング』『レ・ミゼラブル』といった日本でもよく知られる作品はもちろん、『モータウン』『ジャージー・ボーイズ』『キンキーブーツ』など新しい作品からの曲もたっぷり。ヒントンさんのブロードウェイ・デビュー作となった『ウィズ』、3度目のトニー賞を受賞した『ミス・サイゴン』など、ゆかりの作品からも名曲が披露されました。終盤の『シーズン・オブ・ラヴ』(『レント』より)、『ワン』(『コーラスライン』より)まで、息つく暇もない怒濤の歌とダンスは、まさにココでしか観られない欲張りな内容でした。
第5場では打って変わって、マンハッタンのとあるバーが舞台に。バンドとともにお客を待っているヒントンさんとバーテンのHIDEBOHが、気づけば『ワン・フォー・マイ・ベイビー』に乗せてタップバトル! まるで会話を楽しむように続くステップの掛け合いに、客席から歓声が上がります。お客としてやって来たキャストたちも、歌やダンスをかわるがわる披露。3人の女性コーラスによる『レディ・マーマレード』、マーク・スチュアートさんとジェイミー・リン・ヴェレイジンさんによるアクロバティックなペアダンスなどなど、艶やかな夜の世界に観客はうっとり。
インターミッションを挟み、いよいよショーは後半へ。まず第1場は、スティーブ・マーシャルさんのボードヴィルで賑やかに。日本語を巧みに操りつつ、観客を舞台に上げてのマジックなどで大いに笑わせます。
続く第2場は「ダンシングマン」。ボブ・フォッシーやフレッド・アステアも踊ったタイトル曲に乗って、今度はヒップホップダンスの登場です。白い衣装に身を包んだキャストのパワフルな一挙手一投足が熱いバイブレーションを生み出し、客席を震わせました。
第3場は客演のHIDEBOHが本領発揮! レイ・チャールズの『アンチェイン・マイ・ハート』、スティービー・ワンダーの『レイトリー』をバックに華麗なタップダンスを披露します。時折、音楽なしでステップを踏む場面では、まるでアカペラで歌うかのように“聴かせる”ダンスに…。ほかにも、ヒントンさんと並ぶタップダンス界の伝説、グレゴリー・ハインズの前で初めてタップを踊って見せた時の曲『Cジャム・ブルース』など、日本を代表するタップダンサー・HIDEBOHの魅力炸裂のワンマンショーとなりました。
ヒントンさん振付、アウトキャスト主演のミュージカル映画『アイドルワイルド』から、大ヒット曲『ヘイ・ヤー!』をフィーチャーした第4場。ヒントンさんが編み出した、スウィングとヒップホップが混ざり合う新たなダンス・スタイル「スウォッブ」も取り入れたステージは、今回の目玉のひとつでもあります。男女が繰り広げるダンスは、情熱的でいてちょっぴりコミカルな味付けも。観ている側も思わず踊りだしそうになる、イキのいいステージで魅了しました。
さあ、第5場はお待ちかね、ヒントンさんによるジャズ・ライブです! ナット・キング・コールの『ウェルカム・トゥ・ザ・クラブ』では、客席を3つのブロックに分けてのコール&レスポンスを。なんと舞台から下りて、観客とマンツーマンで歌唱指導も!? 関西らしくノリのいい反応に、すっかりご満悦のヒントンさんでした。ほかにも『テイク・ファイブ』や、ヒントンさんといえばこの曲『ソフィスティケイテッド・レディ』などなど、生バンドをバックに歌い上げられるジャズに包まれ、気分はいつしかニューヨーカー!?
第6場のフィナーレは、しっとりとしたジャズライブから一転、ルイジアナのカーニバル「マーディグラ」をイメージし、ジェニファー・ロペスの『オン・ザ・フロア』でキャスト全員がダンス、ダンス! ハイテンションで繰り広げられるお祭り騒ぎに、客席では思わず立ち上がって踊りだす人も。この後も、この時期だけのお楽しみ、ヒントンさんが歌うクリスマスソングのプレゼントが飛び出すなど、最後までお楽しみ満載。
「何度でも見に来て!」とHIDEBOHが呼びかけるまでもなく(?)、リピーターが続出しそうな熱い一夜となりました。同公演は、2014年2月14日(金)まで上演しています。皆さんもこの機会に、本場のエンターテインメントを“生”で体感してください。
●公演情報
HINTON BATTLE’S AMERICAN VARIETY BANG!
ヒントン・バトルのアメリカン・バラエティ・バン!
<公演日程> 2013年12月14日(土)〜2014年2月14日(金)
<振付・演出・出演>ヒントン・バトル
<共演>HIDEBOH
<脚本>ラリー・ビルマン
<エグゼクティヴ・プロデューサー>高平哲郎
<会場>なんばグランド花月
<チケット料金> S席(1階席・2階席前方)8000円、A席(S席以外)6000円
<お問い合わせ> キョードーインフォメーション ☎06-7732-8888(10:00〜19:00)