【ライブレポート】桂三枝がトラックで笑いをお届け! 「移動あおぞら花月」で宮城・岩手を訪問
7月21日(木)、22日(金)、桂三枝が「移動あおぞら花月」として、初めて東日本大震災の被災地を訪問。宮城県と岩手県に笑いを届けました。
「移動あおぞら花月」とは、4月より「よしもとあおぞら花月」を開催してきましたが、桂三枝の「花月の舞台をそのまま、ご迷惑をかけない形でお届けしたい」という発案により、アート引越センター様と打ち合わせを重ねた末に実現化したもの。トラックの荷台をそのまま舞台に改装し、どこでも花月を再現できることなりました。
その意図について三枝はこう語ります。
「震災後、ずっと被災地を訪れたかったのですが、みなさんが笑える状況にはないのではないかなどと考え、私の中で時期を探ってきました。そんな中、『移動あおぞら花月』のトラックが出来上がったというこのタイミングで伺うことができるというのは、本当にうれしいですね。そもそもこのトラックを思いついたのは、避難所の中に直接おじゃまするというのは、喜んでいただける人にはよいのですが、生活をおじゃますることになってないだろうかというところからなんです。静かになさりたい方もいらっしゃるでしょうしね。でも舞台を丸ごと移動させることができたら、現地の方に設営のためにお手をわずらわせることもない。しかも、花月の舞台をそのまま持っていくことができる。そこで、背景は日が昇る陽光をイメージしたものにして、全体は花月の雰囲気が伝わるものにしようと。たいへんよいものが出来たんじゃないかと思っています」
そのお披露目ともいえる今回。初日に三枝が訪れたのは、150人ほどの避難者がおられる石巻市立湊小学校。校庭に横付けされたトラックの前に150脚の椅子が並べられ、花月のテーマ音楽が流れると…みるみるうちに客席はいっぱいに!
現地でボランティア活動に従事し、今回のコーディネートも務めた、大蛇が村にやってきたが前説した後は、いよいよ開幕。まずは三枝自身が登場して挨拶を述べるや、会場はやんやの喝采に包まれます。以降はライセンス、こんばらさん、ザ・パンチ、平和ラッパ・梅乃ハッパときて、トリには三枝が再び登場し、見事に締めくくりました。そして最後は、全出演者が再び舞台にあがり、避難所の方々と『上を向いて歩こう』と合唱。「来年は文枝を襲名することになりましたので、来年は文枝としておじゃますることになりますね」と三枝が言うと、会場からは「おめどとう!」との言葉が多数投げかけられておいました。
終演後は、不足しているというTシャツなどの救援物資を差し入れつつ、校舎に上がり、ひと世帯ひと世帯と言葉を交わした三枝ら一行。小さい子には「大きくなって『新婚さんいらっしゃい』においで」などと声をかけつつ、写真撮影やサインにも気軽に応じ「一緒に頑張りましょう」と声をかかけ合ったのでした。
その翌日。7月22日(金)にまず三枝一行が訪れたのは、岩手県の大槌町。大槌町では今も150名ほどの方が生活しておられる避難所がある「大槌ふれあい公園」の一画で興行を開催しました。
会場には避難所のみならず、仮設住宅に移り住んだ方々など200名ほどの観客でいっぱいとなり、目の前で繰り広げられる生の笑いを堪能。登場したのは、三枝をはじめ、ザ・ぼんち、おしどり、こんばらさん、ザ・パンチ、大蛇が村にやってきた、です。三枝は「隣の家の塀越しに見られたのははじめてや(笑)」などと言いつつ、融通無碍に噺を展開。最後は、昨日と同じく出演者が全員登場しての、今度は「ふるさと」を合唱。こうして温かな笑いに満ちたステージは幕を下ろしました。
なお公演終了後は、支援物資として携えてきたTシャツやうちわ、カップラーメンなどを出演者がひとりひとりに手渡しつつ、三枝は全員にサイン。記念写真にも応じて、人びととコミュニケーションをはかります。中には感激して涙ぐまれるお年寄りの姿もあり、三枝一行は充実感とともに手ごたえを感じた様子でした。
続く一行が訪れたのは、大槌にほど近い岩手県釜石市。市街地の真ん中にある釜石鈴子広場で、この日2回目の公演を敢行しました。こちらも250名を超える観客で会場はいっぱい。三枝がまず挨拶のために登場するや、大歓声で歓迎。「みなさんこそ、釜石へ…いらっしゃ~い!」と三枝が言えば、「いらっしゃ~い!」と唱和し、すっかりそこは花月の舞台。こちらの公演で登場したのは三枝、おしどり、こんばらさん、ザ・パンチ。漫才あり、マジックあり、音曲漫才あり、そして落語ありと、寄席そのままの雰囲気に、みなさんは満足した表情で、最後はこちらも「ふるさと」をみんなで合唱し、三枝は観客と「がんばりましょう!」と励ましの言葉を交わし合ったのでした。
こうして、2日間にわたる三枝の被災地訪問は終わりましたが、三枝は今後も息の長い支援を続けていくことを約束。あらたな決意を胸に、被災地を後にしました。
桂三枝「駅から車で移動しながら、当初は被害がそれほどでもないようにも思えたのですが、いざ近くにくると言葉を失うような状況を目の当たりにして…本当に言葉を失うというか驚きましたね。でも東北の方は我慢強いというのか、みなさん本当に気丈でいらっしゃる。しかも、そんな方々が私たちを見て笑って和んでいただけたようなので本当に来てよかったなと思っています。みなさんの笑顔を拝見して、今回笑いの力というものを再認識いたしましたしね。ただ、いらっしゃった方々にはたいへん喜んでいただけたようですが、それは私たちに『大丈夫だよ』と言ってくれてる面もあるのかもしれません。なので今回は今回としまして、今後とも、数年などとは言わず、もっともっと末長く支援をしていければと考えています」
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