鉄拳がYCCにて特別講義を開講!
1月19日(土)、吉本興業株式会社東京本部にて『よしもとクリエイティブカレッジ presents 特別講義「鉄拳流クリエイティブ講座〜パラパラ漫画制作と発想法〜』が行なわれました。
よしもとクリエイティブ・カレッジことYCCとは、弊社が運営するエンターテインメント業界で活躍する人材を養成する学校のこと。来年5年目を迎える同校からは、放送作家、ディレクター、演出家などが多く誕生しています。
今回の講義は同校の志望者、在校生に向けて行なわれたもので、大阪校と沖縄校へU-streamにて配信されました。
本講義のMCを務めるのは、ロシアンモンキー・川口清行。呼び込まれた鉄拳の額には、“YCC”との文字が書かれています。
静粛な空気にひるみながら、「今日はマジメな感じですか?」と問いかける鉄拳。「マジメな講義ですよ」と川口に返されたものの、「でも、“おはー”がやりたいんです。やっていいですか?(後ろを向いて、振り返って手を広げて)“おはー”」と挨拶するも、聴講生の反応はなし。クククと笑いながら、「こんな空気です。今日はクリエイターとして見られているみたいですよ」と慰める川口でした。
1時間以上の講義が予定されていたのですが、「1時間! 15年やってきましたけど、1時間保ったことがないです。大丈夫かな?」と不安そうな鉄拳。ですが、川口に「なんとかしましょう!」と励まされ、ようやく講義はスタートしました。
パラパラ漫画でブレイクする以前、「こんな○○は××だ」というフリップ芸で一斉を風靡した鉄拳。「そのあと雲隠れして……」と紹介されると、「雲隠れはしてないです! 僕はがんばってたけど、誰も僕を見つけてくれなかっただけです!」と弁解します。
パラパラ漫画は、第一興商と弊社によるコラボ企画の依頼を受けたことをきっかけにつくり始めたそう。
「最初、依頼を受けたのは僕じゃなかったんです。ほかの芸人さんが忙しくて、僕に(仕事が)まわってきました。ラッキーです」(鉄拳)
この企画で吉幾三さんの「俺ら東京さ行ぐだ」を手がけたことから、テレビ番組の企画につながり、その後「絆」を作成。この作品は、2011年に起こった東日本大震災が大きく影響しているようです。
「これを書く前はふざけた感じが多かったというか。“俺ら東京さ行ぐだ”も、“俺らこんな村いやだ”っていう歌詞があるので、(自身のネタの)“こんな○○は××だ”を取り入れたりしてたんです。でも、東日本大震災が起こって、僕が復興支援として協力できることはないかと思うようになって。そこから、“絆”と“ツナガリ”をつくりました」(鉄拳)
鉄拳が一躍注目されるようになったのは、自ら選曲したMUSEの「EXOGENESIS PART 3(REDEMPTION)」を使用した「振り子」という作品がきっかけ。Youtubeにアップした作品を観たMUSE本人からオファーを受け、正式なビデオクリップとして採用されたわけですが、「どういう経緯で依頼が来たのか、まったく知らない」と言う鉄拳。「僕が聞いた頃には、マネージャーさんが音楽会社の人とすでに打ち解けていて。昨年3月くらいに話をいただいたらしいんですけど、僕が聞いたのは5月でした」と明かします。
「えぇ! うちの会社、どうなってるんや。吉本……すごいなぁ」と体を仰け反らせる川口でしたが、鉄拳は冷静。「知らずに使ったんですけど、歌の内容も“振り子”に似ていて。外国の方が訳してくれたんですけど、“もう一度やり直そう”っていう歌詞が入っていたり、リンクしているところがあって驚きました」と静かに語っていました。
ちなみに、先に行なわれた来日公演にてMUSEご本人と対面した鉄拳でしたが、フルメイクで会ったためか「苦笑いされた」そうです。
「振り子」以降は、「CMやPVの依頼が一気に増えた」と話す鉄拳。中でも、福岡で放送されている飲酒運転撲滅キャンペーンのCM依頼について、最初は「加害者のことも考えると難しい」と判断して断ったものの、「福岡から東京まで来てくれて、CMにかける思いを文章に書いてきてくれた。その熱意に負けて、引き受けました」と語りました。
制作についてはかなりの時間を費やしているらしく、「“振り子”1本で2ヵ月くらい。1分に360枚、1秒に6枚使用します。PVだと、4分くらいだから1200〜1300枚くらい必要で、修正も含めると2000枚くらい描きますね」と語る鉄拳。川口に「イー!ってなることはないんですか?」と訊ねられると、「パラパラっとめくったときに、うまく動いてないときは悲しい。花火を描けたらキレイだろうなと思って100枚描いたけど、全然キレイじゃなかったときは残念でした」と悲しそうにつぶやいていました。
いずれの作品にも、自身を必ず描いているそう。RAM WIREのPV「名もない毎日」がいちばんわかりにくいそうで、映像を観ながらどこにいるかを披露してくれたのですが、スローにしてもわかるかわからないかの難しさ。「わかりにく」という川口からのツッコミとともに、会場からは大きな笑いが起こりました。
これまでフリップ芸をやってきたことも、パラパラ漫画の作成には活かされているとのこと。「どの角度から描くのが、いちばんおもしろいのか。前からなのか、横からなのか。いろんな角度から考えていたから、(作品内で)ぐるぐるまわるようになったのかもしれない」と分析。また、「絵を途切れないように見せる」ことにもこだわっているそうです。
質疑応答では、「芸人とクリエイター、どっちが儲かりますか?」と訊ねられた鉄拳。お金絡みの質問はかなり多かったようですが、「パラパラ漫画はドン!っとお金はもらえるけど、それが入るまでは月々厳しい。お笑いをやっていたころは、営業とかあれば毎月はまかなえていたから……どっちがいいとも言えないですね」とコメントします。
「笑いを取るのと感動させるの、どっちがいいですか?」との質問には、「どっちも同じもの。笑いでも感動でも、人が喜んでくれるのがうれしいですね」と返しました。
「みなさんが聞きたかったことに答えられたどうか不安ですが、僕はこれからもパラパラ漫画を描いていきます。僕はまだ試行錯誤しているし、みなさんと一緒で挑戦中。だから、今後も作品を観てください」と聴講生へメッセージをおくりました。
講義終了後の囲み会見で、「今後お笑いはやっていくんですか?」と訊ねられた鉄拳は「お笑いはやめます!」と即答。「吉本に入ってわかりました。僕には向いてない。天才的な芸人さんをたくさん見て、適わないと思いました」と理由を語ります。ですが、レポーターから「いまの発言、全国で流れちゃいますけど、大丈夫ですか?」と訊かれると、「全国放送……? お笑いの営業もいただきたいので……やっぱりカットしてください。お笑い1、パラパラ漫画9でがんばります」と慌てて訂正していました。
NHK連続小説『あまちゃん』に作品が起用されることについては、「朝ドラから話が来たと聞いて、ビックリしました。昨年11月から描き始めてるんですけど、まだ5月分しか描けてない。量が多くなると聞いてるので、今後はクドカンさんと勝負です。脚本のあるパラパラ漫画を描くのは初めてなので、楽しみですね」と顔をほころばせました。また、講義では「短編映画を制作したい」という夢も明かしましたが、「年内は難しいので、来年挑戦したい。いずれは世界を狙っていきたい」と抱負も語りました。
●DVD情報
鉄拳パラパラ漫画作品集[第一集]
商品番号:YRBN90531
価格:1890円(税込)
よしもとネットショップYahoo!店
http://store.shopping.yahoo.co.jp/yoshimoto-shop/yrbn90531.html
●YNN
鉄拳
http://ynn.jp/m/1000503
ロシアンモンキー
http://ynn.jp/m/1004766
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