ライブDVDを解説 東京ダイナマイトインタビュー
昨年11月30日に実施した東京ダイナマイトの単独ライブ『COMEDIAN GOD』が、2月27日(水)にDVDリリースされます。
結成10周年という節目を迎えての単独ライブは、漫才はやらず、オールコント。ハチミツ二郎自ら編集したというDVD、そしてこだわりのコントについてじっくりお話を伺いました
※左:松田大輔/右:ハチミツ二郎
――結成10周年、おめでとうございます!
二人「ありがとうございます」
――10周年のタイミングでの単独ライブは、あらかじめ決めてたんですか?
二郎「毎年単独ライブとは思ってたんですけど、震災があったり、時期がずれこんだりしたて間が空いたんで、10周年にしようとなりましたね」
――2年8ヶ月ぶりとなりましたけど、その分、ネタのストックはできていたかと。
二郎「いやいや、宿題をやらないタイプなんでね(笑)。でも、今回は早めに台本上がりました。いつも当日まで決まってないネタがあったりしてね。早く台本が上がればいいわけじゃないんですけど。決まってない方がウケてたりしますから」
松田「ネタが早くできた分、結構、練習しました。やりすぎなんじゃないかなっていうくらい(笑)」
――会場となったルミネtheよしもとは、日頃から舞台に上がっているわけですが、10周年という節目の単独ライブなら、もっと大きい会場という選択肢もありましたよね(2005年には、日比谷野外音楽堂で単独ライブを敢行)。
二郎「10周年だから、もっと大きいところでとのプランはあったんですけど、舞台監督さん、大道具さん、小道具さんなど、スタッフさんの顔と名前もわかっているというのを踏まえて、ルミネにしたんですね。いつもやってもらってる人たちに、うちらのライブをやってもらいたいということで」
――スタッフとの意思疎通ができてるんですね。さて、DVDに収録されるコントについていくつか解説していただきたいんですけど、まずオープニングの『ぐりとぐら』から。芸人の実名、そしてその月給がどんぐりの数として出てきますね(笑)。
二郎「なぜその人選なんだっていうところはありますね(笑)」
松田「あれは、どんぐりの話ですから別に、話してもいいんじゃないですか(笑)」
二郎「あくまでもどんぐりの数ですからね。台本にはないんで、適当に名前が出たんですよ。台本もカッチリはしてなくて、『ぐりとぐら』は5分の予定でしたが、15、6分やってましたね」
――カステラの件が長くなったんですかね。
二郎「あそこが一番お金かかってますからね。あそこスーっといっちゃったらもったいなと。みんな徹夜して作ってくれましたから」
松田「豪華なセットでした」
――続いて、ひたすら領収書の宛名を書き間違える『領収書』。
二郎「うちら、領収書がうまくもらえないってことがよくあるんですよ。それをやってみただけですけど、DVDではピー音とピストル音が入ります。今のテレビだと、ピーとかあんまりよくないらしいんですね。ピーを入れなきゃならないことをなんで放送するんだっていうんで。俺たちはテレビを見てて、ビートたけしさんとか松本人志さんたちの話にピーが入ると、何言ったんだろういうわくわく感があったんですね。そういうのも文化として残していきたいなと思ってますね」
――ピー音とピストル音の使い分けにも注目して欲しいですね。続いて、『なめこJAPANプロレス2012』は、松田さん演じる先輩レスラーと二郎さん演じる後輩レスラーという女子プロレスを題材にしたシリーズものですね。
二郎「そうなんですけど、前回は5年くらい前なんで、時代も移りました。あの時は松田さんの設立した『なめこJAPANプロレス』という団体に、俺が新人で入るっていう話。それから5年経って、その団体を抜けた女子レスラーも強くなってて、松田さん側の団体にもベテランがいてプライドがあって……その妄想のぶつかり合いですね。今回、レスラーやプロレス関係者がいっぱい見に来てたんですけど、どんな気持ちでこのコントを見てたんだろう(笑)」
――女子レスラーは見に来てたんですか?
二郎「呼んでません。あれは見せられないから(笑)」
松田「怖いよなあ(笑)」
二郎「男性レスラーの人は、あの人の声だなって、笑い声でわかりましたよ」
――「世間を巻き込むのがプロレスブームなんだ!」といった松田さんのセリフには、メッセージ性もありましたね。
二郎「あれはリアルですよ。今の現代社会に置き換えてもらって、新社会人はあんまりものを言わず、先輩を先輩と思わないところもありつつ、仕事先には松田さんがやってたようなお局様がいたりして、リアルに描いたつもりなんです。橋田壽賀子先生と同じことを描いているんです。角度が違うだけで」
――ここでも松永会長といった実名が出て来ましたね。
二郎「知らないお客さんが置いてけぼりになるようなのも、あえて作ってるんです。小学校の時にとんねるずさんのラジオを聴いてて、急にマネージャーとかスタッフの名前が出てくるんですね。ボブとかマサトメとか。僕ら置いてけぼりなんですけど、スタジオではゲラゲラ笑いながらしゃべってるから、あとから学習していくじゃないですか。松永会長の焼きそばの話がわからなくても、いつか知ることがあるかもしれない。『金スマ』で全女のドキュメントとかやったら、「あれってこのことかな?」って時が来るかもしれない。関根勤さんがものまねしてて、先にそれを見て、あとから本人を見るみたいなことですね。わかりやすいのが前提になりすぎてるんで、それはピー音と一緒で、わかってない人もなんか面白そうというのを文化として残していきたいなと。それと、わかりやすい説明をしているうちに、面白くなくなるというのもありますね」
――続いて、料理としてヌーブラが出される『料理屋』。
二郎「ご本人にも言ってあるんですけど、松本人志さんに見てもらいたくて、作る時があるんですよ。過去には、このネタがそうなんですって伝えた時もあります。伝えてないですけど、今回はこのネタがそういうことなんです。1対1の料理屋で、わけのわからないものを出される……そんな狂気的なのが『ごっつ』(『ダウンタウンのごっつええ感じ』)とか『ヴィジュアルバム』(『HITOSI MATSUMOTO VISUALBUM』シリーズ)であったなと思いながら、何されたら困るかなって時に出たのがヌーブラ。自分が間違っているのかなっていう不条理さですね」
――松田さんは今の話、御存知でした?
松田「僕は知らなかったです。あのコントやってて楽しかったですけどね。間をだいぶおいて、お客さんもどうしていいかわかんない状態で、あれめっちゃ面白かったです(笑)」
二郎「今、テレビの持ち時間が短いんで、ボケが弱くても手数を多くっていうのが主流になってますよね。そこを真逆にやってます。どこまで間を取るんだっていうね」
――単独ならではの贅沢な間ですね。映像特典に収録された『10周年おもしろクイズコーナー』には、猫ひろしさん、サンドウィッチマンの伊達さん、小島よしおさんと、他事務所から3名の芸人が駆けつけてくれました。
二郎「全員、付き人やってくれた人たちですね」
松田「小島とは今も一緒に住んでます。まあ、昔から知ってて、今でも仲のいい3人ですね」
二郎「お笑いって、職人の世界と一緒で、先輩がこうしろああしろとか、テクニック的なことを教えてくれない業界ではあると思うんです。でも、彼らには割と教えたと思うんですよね。そしたら追い抜いていきましたけど」
松田「みんなね(笑)」
二郎「少しのアドバイスを大きく吸収して追い抜いていきました(笑)。会場に見に来るっていうから、だったらクイズコーナーに出てってことで出てもらいました」
――同じく特典映像で『東京ダイナマイト10周年コメント』には、芸人も含めて、プロレスラー、ミュージシャン、女優など豪華な顔ぶれが出演されてますね。
二郎「ルミネの出番表を見て、うちらと関わりのある人を選んでいきました。ホントはもっと出てもらいたい人もいたんですけど、6日後が編集の締切だって言われたんで、6日間でできるだけ出てもらった感じです。ちなみに(プロレスラーの)外道さんと松田さんは、何の接点もないです。でも外道さん、だいぶやってくれましたよ。「てめえコラ!」って(笑)」
松田「早く見たいなあ(笑)」
――今後も単独ライブは続けていくかと思いますが、何か具体的な目標はありますか?
二郎「大きな会場では、もういいかなと思ってますね。ずっとルミネでやろうかなと。やっぱり、日頃のスタッフワークがありますからね」
松田「僕も、次もルミネがいいです。やりやすいですね」
――最後に、よしもとニュースセンターの読者へメッセージをお願いします。
二郎「テレビでいっぱいお笑いが見られると思いますけど、ライブはまた全然違います。DVDで見るのともまた違ったりするので、うちに限らず、興味持った芸人のライブへ行ってください。でも、東京ダイナマイトのDVDだけは、必ず買っていただきたいです」
松田「今のテレビでは、見られないコントがもりだくさんなので、ぜひ買って、大いに笑っていただきたいです」
――ちなみに、テレビでネタをやりたいって気持ちもありますよね?
松田「ありますけど、さすがに30分のコントができる番組ってそうないですもんね」
二郎「『花王名人劇場』みたいなのがあればいいんですけどね」
●DVD情報
東京ダイナマイト単独ライブ『COMEDIAN GOD』
商品番号:YRBN-90537
価格:3990円(税込)
【収録内容】
ぐりとぐら
領収書
なめこJAPAN女子プロレス2012
歯医者
BAR
料理屋
最初褒めてるのかと思ったら途中から怒る人
フーターズ
COMEDIAN GOD
じろ散歩
【特典映像】
10周年おもしろクイズコーナー
東京ダイナマイト10周年お祝いコメント
【収録時間】
本編115分+特典映像30分
よしもとアール・アンド・シー公式サイト : http://www.randc.jp/tokyodynamite/discography.html
東京ダイナマイトの動画はこちら : http://ynn.jp/u/956/