【ライブレポート】冠次六
3月10日(日)、都内のラフォーレミュージアム原宿にて、ライブ『冠次六』が開催されました。
『冠次六』(かんむりじろう)とは、「冠」番組が欲しい「次」を狙う「六」組の腕あり芸人たちのことであり、初開催となる今回のライブでは、現在の番組についてや、具体的に冠番組についてのアイディアなどを語り合いました。
出演者は、FUJIWARA、TKO、陣内智則、品川庄司、バイきんぐ、ハリセンボンという6組7名で、冠二郎さんの『炎』をBGMとしたオープニングVTR後、全員揃って登壇。
唯一のピン芸人である陣内がMCを務め、各組を紹介するなか、TKO・木下さんが「(松竹芸能所属ながら)僕ら、ほぼよしもとみたいなもんですから」と自虐的に語るも、陣内はスルー。それを見逃さなかった品川庄司・品川は「拾ってあげないとカッコ悪いから!(笑)」とフォロー。
よしもと以外からは、TKOともう1組、SMA所属のバイきんぐが参加。さっそくFUJIWARA・藤本と品川がいじりだし、「どんな日?」と聞かれ、小峠さんが「なんて日だ!」を連発。さらには「なんて日?」と振られ、「だ!」だけ言うハメにも。
この日、一番芸歴のあるFUJIWARA。藤本が「どんマイケル!」と挨拶すれば、原西は一人だけ半袖で、しかも色あせたTシャツであることを品川に指摘されるなど、先輩の威厳はないようです。
かつて冠番組を持っていた品川庄司。近年様々な形で注目を集める品川ですが、「(『アメトーーク』の企画)「どうした!?品川」きっかけにめっちゃ売れるんじゃないって言われたけど、それを超えるくらいスタッフに嫌われているから、あまり変わってない(笑)」と現状に苦笑い。
唯一の女性芸人であるハリセンボンは、まだ冠番組を持つほどではないと謙遜し、箕輪曰く「みなさんの癒し要員です」であり、近藤は「はるかも気合入れて、カーディガンと前歯の色を合わせてきましたよ」と言い、笑いを誘います。
「浮気山ほどしたんや!」という陣内お馴染みの(?)フレーズが飛び出し、その流れで品川庄司・庄司に矛先が向かうと、「俺、浮気したら仕事なくなるでしょ」とキッパリ。
藤本から「ギャグもなくなるからね」、品川から「元ミキティー! 練習しておけ」と振られた庄司は、「元ミキティー!」と叫ぶのでした。
続けて、なぜか小峠さんが「なんて日ティー!」と叫ぶ一コマも。
さて、来場者には入場の際、ある週のゴールデン帯に放送された番組の視聴率一覧が配布されました(終演後に回収)。ここからは、この資料を見ながら、冠番組についてトークを展開します。
現在、視聴率の低い番組の代わりに、自分たちの冠番組を始めようという話題となるも、例え冠番組を持てても低視聴率では意味が無いとし、品川は「誰も見ない冠番組より『ロンドンハーツ』の方が大事!」と格言のように言い切りました。
「自分が出てないのに録画する番組」というお題では、やはり『ロンドンハーツ』、『めちゃイケ』、『アメトーーク』といったバラエティが挙がるなか、庄司は主にニュースやドキュメンタリー番組とのこと。
箕輪の場合は、『サイエンスZERO』に出てくる学者などの専門家目当てで視聴し、「勉強しかしてないから、(ナビゲーターの)南沢奈央ちゃんを前にヘラヘラするんですよ(笑)」といった点に注目しているそうですが、当然「はるかも勉強しかしてこなかったでしょ」と近藤にツッコまれました。
『しゃべくり007』の話題になると、陣内が収録するも、放送されず、お蔵入りになったエピソードを披露。
自分がレギュラーの誰かと入れ替わるなら、「強いていえば(チュートリアル)福田」と言い切ったのは品川でした。しかし、「あの優しい笑顔のポジションがおしゃべりクソ野郎になったらギスギスする(笑)」と、自己分析。
バイきんぐの2人は、クイズ番組での立ち位置に困っているらしく、小峠さんは横顔が正岡子規に似ているから、知的に見られているとか。
その他の芸人も、クイズ番組に出演する際、ボケ解答は天然ボケの人には勝てず、かと言って賢さではロザン・宇治原のようなインテリ芸人に勝てないといった、共通したジレンマがあるようです。
ゴールデン番組の司会などを経験している陣内に対し、「宮根(誠司)さんのようになってたはず」と指摘されると、「イジリーさん?」と聞き間違える陣内。
天然炸裂に、「宮根さんをイジリーさんと聞き間違える人、冠モテません!」と品川にツッコまれるのでした。
続いて、『冠次六的!テレビ欄』なるコーナーが始まり、出演者の考えた番組内容案が次々紹介されます。
タイトルだけ先にモニターで流れるのですが、そこには「口説キング」「ピンクのおっさん」「相方と泊まろう」「リアル人生ゲーム~なんて日だ!」「離婚さんいらっしゃい」「原西新喜劇」などなど、発案者が一目でわかるタイトルと、まったく内容が読み取れないタイトルとが混在。
気になるタイトルは、改めてピックアップされるのですが、まず「カレー」。発案者は木下さんで、「カレー大好きやから何でもカレーかけるんですよ」というカレーづくしの企画とのこと。
しかし、街ブラの際、愛玩犬にもカレーをかけようとする木下さんに、総ツッコミが飛びます。
続く「ほめ数珠つなぎ」も木下さんの発案で、ランダムなくじびきで、ほめ言葉をかけるというもの。試しに、箕輪が木下さんをほめることになったのですが、「いらっしゃるだけで、安心するんですよね」という箕輪のほめワードに、ニンマリする木下さんが大不評!
「フィンランド進出への道」は、ハリセンボンの発案で、フィンランドのハロネン元大統領が近藤に似ていることから着想。実際にモニターでハロネンさんの写真が映し出されましたが、場内が騒然となるほどそっくりでした。
近藤は実際にハロネンさんとお会いしたこともあり、また世界中に近藤似の人がいることから、その人たちに会いにいくといったアイディアも飛び交います。
続いて、品川発案の「カードトーク」。配布されたトークテーマについてエピソードを話し、誰かと同じテーマで勝負を挑み、面白かった方がカードを消化し、手持ちのカードを早く0枚にしたら勝利……というゲーム性のあるトーク企画です。
実際にカードが配り、お試しで行いましたが、品川の出したカードは「陣内さん」で、陣内の天然エピソードの数々を披露。
品川の指名で、小峠さんが「陣内さん」をテーマにトークすることとなり、「陣内さんはさっき、“昨日『オンバト』出てたね。ネタめっちゃ面白かった”と、この舞台、気持よく送り出してくれたんですよね。すごいなあ」とべた褒め。
これを聞いた木下さんは、先ほどの「ほめ数珠つなぎ」のことを掘り返し、やたら小峠さんを讃えます。
その後、「タクシー」をテーマに、バイきんぐ・西村さんとFUJIWARA・原西が対決しますが、車内で本を売りつけられた西村さんの話に対し、タクシー内にあった薄毛対策のチラシを取ろうとしたら、運転手に「手遅れ!」と言われた原西が勝利。
お次は、庄司が実際にロケをしてきたという「ちくび相撲普及委員会」なる企画。
ちくびを洗濯バサミで挟み、1対1で綱引きのようにひっぱりあうゲーム(?)を庄司は残していきたいとして、原宿を行き交う一般の方に声をかけて、対戦。
4人の男性と対戦し、その全試合を見せられた出演者からブーイングが出ますが、「ええと思うで。いろんなちくび見れる」と、これまた「ほめ数珠つなぎ」モードに入る木下さんでした。
最後は、藤本発案による「おじいちゃんといっしょ」をシミュレート。
超高齢化社会に向けたバラエティとのことで、70歳から83歳までのおじいちゃん3人と一緒に、藤本仕切りのもと大喜利大会を行いました。
まず、「安倍総理が朝起きて1番にやる意外なこととは?」というお題が出されたのですが、スケッチブックの使い方がわからず、1枚に複数の答えを書いたり、川柳風に縦書に書いたりし、それだけではやくも一同の爆笑を誘います。
肝心の答えでは、「まむしドリンクを飲む」「奥さんを大声で呼ぶ」「歯を磨く」といった、あまり「意外」ではない答えが続出。
次の「こんな温泉宿には泊まりたくない。どんな宿?」というお題では、「大喜利が得意」と豪語する西村さんが例として「くさい飯が出る」と回答。するとなんと「くさい飯が出る」と全く同じ答えを書くおじいちゃんが!
これには当の西村さんも大笑いでした。
最後に「この医者、絶対ヤブ医者だな。なぜそう思った?」というお題では、なかなかペンが進まないおじいちゃんに対して、藤本が「ドラえもんでも描いてもらっていいですか?」と促すと、他の2人もドラえもんを描きはじめます。
おじいちゃん3人によるドラえもんは、実に個性的で、特に3番めのおじいちゃんは、「ヤブ医者はドライモンである」という一文を書き添え、このシュールな世界観に場内は爆笑に包まれました。
エンディングでは、陣内の口から、次回『冠次六』は6月にルミネtheよしもとにて開催予定との発表がされました。
様々な企画案、さらには庄司のようにロケも始動し、冠番組獲得に向けてやる気まんまんの6組でしたが、品川が「ホントに関係者来てるんですか?(笑)」と、疑いの目で客席を見渡したしたところで終演となりました。