【ライブレポート】吉本百年物語3月公演「百年感謝 これからもよろしく」初日
昨年4月から1年間にわたって上演されてきた『吉本百年物語』もいよいよフィナーレ。3月公演「百年感謝 これからもよろしく」が、3月20日(水・祝)、なんばグランド花月にて幕を開けました。
まずステージに登場したのは和服姿のダンサーたち。銭太鼓を手に艶やかな踊りを披露すると、客席からはため息がもれます。続いて4月公演にも出演した河内家菊水丸が、江州音頭に乗せて林正之助の生い立ちを歌い上げ、物語の始まりを告げました。
気づくと浜辺でいじめられているひとりの少年が。通りかかった旅の僧(間寛平)が助けると、少年は林正之助と名乗ります。この時、「泣いても一生、笑っても一生。笑う門には福来る」と諭した僧の言葉が、正之助のその後の人生を決定づけることに。寛平は時折、笑いをまじえつつも、重厚な演技で魅せていました。
時は移って1989年夏――病室で療養する正之助(江口直彌さん)は、夢かうつつか、これまで出会ったおかした人々やエピソードを思い出していきます。それが吉本百年の歴史を振り返るファンタジックなストーリーへとつながっていき……。
ここから、若き日の正之助を演じるのは亘健太郎(フルーツポンチ)。ある時、安来節の歌い手を探して島根の村を訪ね、天女の三姉妹に遭遇します。歌の上手い三女はさておき、姉ふたりはお金にがめつく押しの強い性格。演じるのはなんと、高橋智(へびいちご)と島田珠代! 最初はたおやかな女性らしさを見せつつ、徐々に本性(?)を表していくさまに爆笑が起こります。終演後の会見では「もっとギャグをしたかった」と残念そうに話した珠代でしたが、天女とは思えぬアグレッシブな動きもチラホラ。高橋の妖艶な美女ぶりも見ものです。ふたりに負けじとおっとりキャラの三女を熱演した林明日香さんは、6月公演に続き自慢の歌も披露。まさに天から降ってきたかのような美声に、観客の皆さんもうっとり聴き惚れていました。もちろん亘が扮する正之助も、大阪弁でビシバシとツッコミを入れて笑いをとっていきます。
幕間には、寛平演じる旅の僧と、そのお供をする猿(子役)のコミカルなやりとりが。笑いの深い世界ついて語りかける寛平に、「キィ! キィ!」と返す愛らしい演技には、「かわいい!」との声が上がっていました。
続いて蘇るのは、日中戦争のさなか、わらわし隊として芸人たちが中国大陸に渡った頃のエピソードです。そのひとり、柳家三亀松がいなくなったと見知らぬ土地を探し回る正之助。すると袖からこの日のゲスト、陣内智則とスマイルが登場! 3人は通りかかった村人という設定で正之助と立ち話をするのですが、もちろんセリフはすべてアドリブ。「こいつ、中国で一番おもろいって言われてるねん」と陣内から振られたウーイェイよしたかは、ドリルのモノマネで勝負をかけます。客席の反応はいま一つでしたが、陣内は無理やり「おもろかったやろ、わらわし隊に入れてやって!」とゴリ押し。渋る正之助に、よしたかは「ダイエットギャグをやります!」とさらなる波状攻撃をかけ、ますます困惑させていました。方や瀬戸は、陣内から「こんな時にフランスパン食べて!」とアゴをいじられ笑いを呼びますが、こちらも当然ながら、わらわし隊には入れずじまいでした。また、昨年の4月公演に主演した陣内は、「稽古は大変やったやろ」と亘にねぎらいの言葉も。当時の思い出話も飛び出しつつ、最後は大きな拍手に送られステージを後にしました。このコーナーにはこれから日替わりで豪華なメンバーが顔を出す予定なので、ぜひチェックしてみてください。
やがて正之助は老夫婦に助けられ、彼らの家で食事をごちそうになりますが、実はその2階に探していた三亀松の姿が! どうも老夫婦は人間ではない様子で……? 黒田有(メッセンジャー)が人情味あふれる三亀松像を演じ、物語を盛り上げます。正之助と再会してからの脱出劇でも、かかっているはずの南京錠が突然外れるなどハプニングに見舞われながら、スリリングかつコミカルな展開で爆笑をさらいます。また、高田さんと千草さんが見せる夫婦げんかの様子は漫才さながらで、こちらも客席を大いに沸かせていました。
さまざまな思い出をさかのぼってきた91歳の正之助のもとに、気づくとあの旅の僧が佇んでいます。僧の本当の姿は「笑いの神」。「笑い」を商いとして生きる正之助を導いてきた存在だったのでした。ふたりの邂逅、そして天へと昇っていく姿は、百年の物語を締めくくるにふさわしい荘厳さ。「これから先の、新たな100年へ」とのメッセージが込められた寛平と江口さんの演技に、静かな感動が広がっていきます。
拍手に包まれたステージが再び明るく照らされると、お楽しみのエンディングに突入。色鮮やかなドレスに身を包んだダンサーたちが歌い踊り、キャストたちを迎え入れます。「ショーはまだ終わらない」という歌詞の通り、まだまだお楽しみはこれから! 菊水丸による河内音頭に乗って踊ったり、寛平はじめキャストのトークがあったり。なんと特別ゲストとして西川きよしも飛び入りで登場! 「これまで11カ月の舞台で節約したぶんを、全部使ったんちゃう?」とゴージャスな演出に感心するとともに、「これからも皆様に楽しんでいただけるように、一生懸命頑張らせていただきます」と、タイトル通り「百年感謝」の気持ちを伝えていました。
この日はギャグを完全封印して臨んだ寛平は、「明日からは自分なりにやっていきたい」と不敵な宣言も!? もちろん、他のキャストたちもそれぞれに演技を磨き、舞台はますます熟成されていくはず。4月7日(日)の千秋楽まで走り続ける3月公演に、期待が高まる一夜となりました。
吉本興業創業100周年記念公演 吉本百年物語
3月公演『百年感謝 これからもよろしく』
公演期間:2013年3月20日(水・祝)~4月7日(日) ※3月25日、4月1日は休演
会場:なんばグランド花月
開演時間:月~土・祝日19:00(18:30開場)、日曜16:00(15:30開場)
料金:1階席6000円、2階席5000円(全席指定)
出演:間寛平、亘健太郎(フルーツポンチ)、黒田有(メッセンジャー)、島田珠代、林明日香、高橋智(へびいちご)、島川学(へびいちご)、菰池剛史、高橋花衣、奥山陽子、吉岡竜輝、川口凛、寺川宗汰、福栄新、仲野考輝、吉岡翔馬、石田雄一(ギタリスト)、三条史郎(和太鼓)、江口直彌、千草英子、河内家菊水丸、高田次郎
※豪華日替わりゲストあり!詳細はHPにてチェック!
※チケット発売中!
チケットよしもとお問い合わせ専用ダイヤル ☎0570-036-912(10:00~19:00)
http://www.yoshimoto.co.jp/100th/monogatari/