【ライブレポート】ウーマンラッシュアワー3大都市ツアーファイナル「ありがとウーマン・さよなラッシュアワー」
昨年に引き続き、今年も単独ツアーを敢行したウーマンラッシュアワー。東京、福岡を経てのツアーファイナル・大阪公演が、3月24日(日)、なんばグランド花月にて行われました。この日のライブをもって東京へ進出するふたり。これまでの成長と未来への意気込みをファンの皆さんに伝えるべく、東京、福岡で下ろしたなかから選りすぐりの新ネタを披露しました。もちろん、客席は立ち見も出る大入り満員です。
まずは、村本軍団(赤い自転車、ミルキーしげお、シャイニングスターズ・廣田、小谷真理、ストレンジサニィシアター・稲葉大樹)が勢ぞろいしての国歌斉唱からスタート。みんなで『バンザイ』(ウルフルズ)の替え歌を熱唱します。村本を称えまくる歌詞が続いたかと思うと、途中からは一転、中川パラダイスをけなしまくる内容に……。まさに天と地とも言える扱いの差に、客席は大爆笑でした。
いよいよウーマンラッシュアワーの登場! ところがピンマイクの前に現れたのは中川ひとりで、「実は相方は別の仕事があって、まだ来てないんです」と衝撃の事実が明かされました。「もうじき来ると思うので……」と困惑しながら、なんとか場をつなごうとギャグを連発。しかし、なかなか盛り上げることができず「どうしたらええねん~!」と頭を抱えていると、どこからともなくあの“バイトリーダー”を思わせるセリフが! しかも声の主は村本ではなく、ジャルジャル・福徳、モンスターエンジン・西森、藤崎マーケット・トキ、学天即・四条、スマイル・ウーイェイよしたかです。「ホントにしょうがないパラダイスだなあ……」と言われて、「みんな、来てくれたんや!」と中川は大喜び。ところがステージに飛び出して来たのはニセモノばかり、しかもなぜか四条だけが本人です。続いて村本の声が流れ、ついに客席通路を通って登場……と思いきや、またまた赤い自転車・宮田がカツラをかぶったニセモノ。ようやく本物の村本が客席から登場すると、待ちかねた客席は熱狂。これに乗じてお客さんをハグするなど、やりたい放題の村本でした。
さっそく1本目の漫才がスタート。「モテたい」という欲望のままに「DJ」「サーファー」「美容師」と嘘のプロフィールを重ねていく村本と、ツッコミまくる中川のやりとりで爆笑をさらいます。2本目は、中世のロマンチックな恋に憧れる村本が、中川とともに『ロミオとジュリエット』ばりのラブシーンを熱演。戸惑いつつも女役になりきる中川の演技が、笑いと拍手を巻き起こしました。
「不満をぶちまけたい」と村本が切り出して始まった3本目。「焼肉屋さんでは、ごはんが来るのが遅い」という小さな疑問から、壮大なストーリーを仕立てていくふたりの漫才はさすがの破壊力。もちろん客席も大ウケです。4本目は、神社にお参りする男と神様のやりとり。村本扮する神様のゲスすぎるひとことひとことに、大きな笑いが起こっていました。
コーナーの合間は「ご祝儀チャレンジ」と題したVTRでも楽しませてくれました。昨年、第一子が誕生した中川に、まだお祝いを渡していないという村本。そこで、中川宅で奥様も一緒になってのご祝儀争奪ゲームを繰り広げることに。シェイクしたコーラをこぼさずに飲み切る、わさび寿司を見破る、夫の髪の毛を見分ける、さらには乳首を突いたのが村本か奥様かを当てるなど、徐々に暴走していく内容に抱腹絶倒。結局、すべてのチャレンジに失敗した中川は、ご祝儀をもらえずじまいでした。
漫才の後はコントも。「清純派アイドル まゆりん」では村本演じるまゆりんの驚愕の素顔が次々と明らかに。さらに、中学生・中川のささいな願い事が血みどろの結末へと転がっていく「ティッシュありませんか?」、まゆりん・村本がふたたび登場して中川扮する若手アイドルゆきりんと激しくいさかい、そして息の合ったダンスを見せる「清純派アイドル まゆりんとゆきりん」などなど、濃~いネタの揃い踏みで沸かせました。
この後は、村本から中川へのご祝儀贈呈式が。ブリッジVTRではご祝儀をゲットできなかった中川ですが、そこはやはり相方、きちんとお祝いしたいという気持ちがあったようです。「この場でやる必要あります!?」とツッコミながらも、ちょっとうれしそうな中川。金額をたずねたところ、村本からは「5や」との返事が。5万円かと思いきや、5000円とのことでした。贈呈の瞬間のみ、お客さんも撮影OKとなり、いっせいにフラッシュがたかれるなか、お祝いを手渡し。とにかく村本の「渡しました」アピールがすごい式典となりました。
また、「あの人からの手紙」と題したコーナーでは、「どうしてもここに来れなかった人から手紙を預かっています」と村本。現在、お母様との関係が「少しギクシャクしている」という中川のため、わざわざ出向いて手紙を書いてもらったのだそう。さっそく読み上げる村本。それがやがてお母様の声に変わり、読み終わったところで本人がステージへ! 感動の瞬間でしたが、中川が発した言葉は「誰!?」。そう、ここでもまたニセモノが現れたのです。さらには再び登場の学天即・四条、そして客席からも花束を持ったニセモノが現れるという狂乱の演出に、中川もお客さんも翻弄されっぱなしでした。
ここからは、再び漫才へ。まずはお馴染みのキャラ「流れ星せいや」のファンクラブ入会テストにまつわるネタを披露しました。次々と繰り出される問題から浮き彫りになった、イメージを覆す「せいや像」に客席は驚愕。最後を飾ったのは群を抜いてシュールなネタです。この日のライブのダメ出しをする村本でしたが、それを聞いた中川がとんでもない反応を……写真も駆使した斬新な展開で、息つく暇なく笑わせました。
2時間にわたるライブも大詰め、ついにエンディングです。村本は「コンビを組んで5年目、関西のお客さんに支えていただく最後の舞台。ここでお互い、本気でメッセージを言おう」と提案。これを受けて中川が、「組んだ当初、インディーズライブなどに出ていた頃は、お客さんが2、3人のこともあった。その時から応援してくださっている方も含め、今やこんなにお客さんを集められるようになった。感謝しています」と感無量の表情でコメント。続けて「皆さんを背負って東京に行きます!」と力強く宣言しました。一方の村本は、「コンビを10回解散している僕が、ここに立つことは絶対ないと思っていた。こうして立てたのは、お客さんのおかげ」とお礼を述べつつ、中川への感謝の言葉も。「こんな僕を受け入れてくれるなんて奇跡。ありがとう中川くん」という言葉を聞き、中川は思わず号泣! ふたりが固く抱き合うと、客席からは割れんばかりの拍手が起こりました。この後、「実はさっきのご祝儀も、5000円と言っていたけど本当は5万円渡してくれたんです。それがなかったら、こんなに泣いてなかった……」と笑わせた中川でしたが、なかなか涙は止まらず。最後に村本が「東京に行って、めちゃくちゃ売れて、もう一度ここで単独を」と締めくくると、再び大きな拍手と歓声が上がりました。
ウーマンラッシュアワーにとって、記念すべき巣立ちのときともなったこの日のライブ。これからのさらなる飛躍を期待させる、笑いあり、涙ありの心に残る一夜でした。