「修羅を生きる覚悟はあるか?」平成ノブシコブシが特別講義を開講!
7月14日(日)、吉本興業株式会社東京本部にて、『よしもと1DAYアカデミー2013「平成ノブシコブシ特別講義」』が開催されました。
「よしもと1DAYアカデミー2013」とは、弊社が運営する芸人&タレント養成所「吉本総合芸能学院(NSC)」と、スタッフ&クリエイター養成所「よしもとクリエイティブカレッジ(YCC)」による合同のワークショップ型セミナーのこと。
第1回目を迎えた本日、二部構成の第二部「NSC特別講義」の特別講師を平成ノブシコブシが務めることになったのです。なお、第一部では、NSC・YCCそれぞれの特別編成したカリキュラムを体験しています。
MCのロシアンモンキー・川口に呼ばれ、登場した2人。レスリングっぽいコスチュームで現れた吉村でしたが、報道陣はおろか、聴講生からの反応もまったくありません。
「失敗例。マスコミもこんなに来ているしっかりした場だとは思っていませんでした。身内のノリできちゃいました」と早速、謝罪。5分も立たないうちに、「エアコンが寒すぎて耐えられない」と言い出し、普通の格好に戻りました。
NSCに入ったのは、「目立ちたかったから。北海道に住んでいたときは、ゴールデン番組で活躍する人達だけが芸人だと思っていた。北海道のよしもとの劇場も当時はなかったし、(目指す人が)少ないならいけるんじゃないかと思った」と語る吉村。
「どうせ皆さん、国に税金も払ってないような連中でしょう?」と聴講生に話しかけつつ、「僕もそうだった。運動もできないし、学力もないくせに、目立ちたくて、女が抱きたくて、金がほしい。NSCはそういう人の集まりですから」と見解を述べると、川口が「“売れたいと思うな。売れるって言え”って、昔からよく言ってますもんね」と補足します。
徳井の考え方はそうではなく、「元々お笑いが大好き。そこまでたくさんのお金がもらえなくても、20万くらいもらえて毎日笑えてたらそれでいい」と、純粋にお笑いが好きだという動機から、NSCの門を叩いたそうです。
ですが、「俺も入学当初は、みんなみたいに尖ってた。けど、スキルトリック(当時、ピース・綾部が組んでいたコンビ)と線香花火(当時、ピース・又吉が組んでいたコンビ)を観たときに、俺より面白いと思った。それまでの人生でいちばん笑った。で、こんなに面白い人がいるなら、俺は無理だなと思ったらNSCの出席率も減って……。辞めようと思っていたときに、吉村から誘われたからもう1回やってみようと思った」と徳井。「あまりもん同士で組みましたからね」と、吉村も結成当初を振り返ります。
ただ、吉村の「売れたい」気持ちを前に出す姿勢には感心しているようで、「僕らのいまがあるのは、吉村の売れたいという気持ちだけ。売れたい人がスベるのと、別にまぁ売れたいかなって思ってる人がスベるのとは、全然面白さが違う。そういう吉村に引っ張っていってもらったんだと思う」と感謝しながら、冷静に分析しました。
いつになく熱く語る吉村。「NSC時代は楽しかった。安い宿にみんなで泊まりに行ったり、ゲスいコンパしたり……。ただ、その楽しさの代償として、未来への保証がない」「テレビに映ることは誰でもできる。出ること自体は、そんなに難しくない。でも、出続けることは難しい。僕らも出続けているわけじゃない。(明石家)さんまさんやダウンタウンさんのように出続けている師匠方のすごさがわかった。それは売れるより、何千倍も難しいこと」「売れなければ売れないほど、(笑いの)フリになる。NSCに入る人なんて、どうせ我慢できない人ばかり。2~3年で売れたいと思ってる。けど、プライドと人生を賭けてやらないといけない。芸人になりたいっていう、ほんわかしてる夢だったら早く捨てたほうがいい」など、長年、苦労したからこその厳しい意見も出ました。
川口から「吉村さんが売れたいっていう気持ちを強く持っていることはわかりました。だったら、徳さんはどんな目標を持ってるんですか?」と尋ねられ、「『ワンピース』みたいな話になっちゃうんだけど……最強の一言を見つけたいというのは正直ある」と答えた徳井。自分たちのキャラクターについて、マジメに語り始めたのですが、会場には外からのザーザーという音が響き始めます。川口が「徳井さんが喋り出したら、急に大雨が降り出した」と笑うと、「相方はすごい。ロケで行った先で、乾季を雨季に変えたんですから」と吉村。緊張気味だった聴講生から、ようやく笑いが起こりました。
「僕らは運のいい芸人」だと語る吉村。売れたいがために力みすぎていた過去を振り返り、「僕のせいで売れなかった。ライブ中のトーク、チケットの手売りとか、苦手なものを全部、相方に押し付けてた。でもあるとき、自分ができないことにも責任を持とうと考え方を変えたら、仕事が増えてきた。あと、ピースが売れたときには、もう僕らは売れないと思った。でも、そう思えたおかげで力みが取れたし、そのタイミングで番組の海外ロケが決まって、仕事も徐々に増えてきた」と語ります。
「尖っててもいいけど、尖りっぱなしでは何も生まれない。思う通りにいかないんだから、苦手なことに早く気付いてバカにされて、ケツを見せたほうがこの世界では勝てる」と持論を展開。
「ケツを見せるって言葉、好きですねぇ」と川口に指摘されると、「漫画に書いてありました(笑)。僕の場合は、“誰よりも派手”がテーマ。自分のテーマをどの段階に見つけるかが大事。修羅を生きる覚悟はありますか?ということです。芸人っていうのは、親の死に目に会えないかもしれない。辛いときにも笑ってないといけない……。まぁ、“修羅”もこの前、漫画を読んでいていいと思った言葉なんですけどね」と笑いも交えながら、マジメにアドバイスをおくりました。
川口からの「現時点での目標は?」という問いかけに、徳井が「いちばんになることが……」と答え出した瞬間、またもや外では大雨が。すかさず、吉村が「雨乞いナンバー1の称号をいま得ました」と笑いを誘います。
気にせず話し続ける徳井は「オールマイティもいいけど、一点突破で言ったほうがいいかなと」と返答。一方の吉村は「ニッポンの吉村になりたい」と壮大なテーマを掲げます。「最大のテーマは、自分の葬式でどうボケるか。写真はもう決めてます。もちろん番組は欲しいですし、いろいろと挑戦したいけど、それも全て葬式の糧。いま死ぬと悔いが残る!」と息巻いていました。
終盤には、聴講生からの質問タイムも。
「いまの自分として、NSCや1年目に戻れたら、何を始めますか?」という質問には、「オリエンタルラジオとかはんにゃがやったネタをやります。僕ら、ネタは全然ダメでしたからね」(吉村)「ネタをつくるなぁ。やっぱりオリエンタルラジオはすごい。あの芸を在学中に見つけたんだから。オリエンタルになりたい」(徳井)と堂々と答える2人。非常に潔いです。
「辞めたいと思ったことはありましたか? もしあったなら、その気持ちをどうやって復調させたのですか?」という問いかけに、吉村は先ほども話した「ピースが売れたとき」と答えます。
徳井は、「僕は一度だけあった。そのときは全てを吉村に任せてたんで、自分なりにやってみようと思い出してから楽しくなった」と返答。吉村の「徳井はボケがやりたかったんですって」という言葉に、川口も「知らなかった!」と驚きます。「俺、我慢できちゃうからね。(そのことを吉村に伝えていなかった)8年間は楽しい思い出なんてない。でも、それじゃあ売れてなかったと思う。まぁ、(言わなかった)俺がよくなかったっちゃあ、よくなかった」と反省していました。
それを踏まえて、「まぁ、最高責任者は自分だからね。特に、吉本ではクビになることなんてまずない。だからこそ、自分で判断していかないといけないんだけど、最低5年は続けたほうがいい。1年目で辞めるくらいなら、いま辞めたほうがいいと思いますよ」と、吉村は厳しく語りました。
講義終了後の囲み取材では、「まさか連敗続きのノブシコブシが、講義するとは。照れくさかったです」と、感想を述べた吉村。2人が在学中にはこのような機会はなかったそうですが、「寛平師匠が授業に来て、アメマのやり方を何度も教えてくれたのは覚えてます」と振り返るも、徳井は「僕は不真面目だったんで、授業はほとんど受けてなかった。その寛平師匠の授業も受けてないです」と返します。卒業公演は2人とも裏方だったそうで、「いまのシステムだったら、クビになってたかも」と苦笑していました。
「忘れもしない28歳の12月25日、初めて給料が10万円超えたときは嬉しかった」と語る吉村。一方、徳井はというと、「嫁の貯金で食いつないでたんで、生活は辛くなかったです。お金では全然苦労してない」と飄々と答え、レポーターから「ダメだなぁ!」と呆れられていました。
徳井がNSC時代から若手の頃、憧れていた漫才師はタカアンドトシ、コント師はカリカだったそう。ロンドンブーツ1号2号の番組は全て観ていたそうで、「ダウンタウンさんとロンブーさんが好きすぎて、共演するとまったく喋らなくなるんですよ」と吉村。「憧れの人ですからね。どうしても見いっちゃうんです」とにこやかです。
「お笑いとしての目標は?」と改めて訊ねられると、「天下を獲ってみたい。さんまさん、たけしさん……レジェンドと同じくらいのビッグネームになりたい」と欲望を露にする吉村。徳井は少し考えてから「……江頭2:50さんみたいになりたい。特番をつくるときに、スタッフさんが絶対、名前を出してくれるような芸人になりたいんです」と語りました。
●よしもと1DAYアカデミー2013
8月11日(日) 特別講師:オリエンタルラジオ
9月8日(日) 特別講師:ピース
10月20日(日) 特別講師:ハリセンボン
<開催場所>吉本興業株式会社東京本部
<募集定員>40名
<受講料>1500円(税込)
※注意事項を読まれた上で、NSC・YCC各校HPからお申し込みください
※応募者多数の場合、早急に募集を終了することがあります
http://ycc.yoshimoto.co.jp/
●吉本総合芸能学院(NSC)
http://www.yoshimoto.co.jp/nsc/
●よしもとクリエイティブカレッジ(YCC)
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