ニッポンをよくするための処方箋! 中野寛成氏著書「みんなで考えるニッポンの未来」出版記者会見
10月2日(水)、前衆議院議員で今年4月から吉本興業の特別顧問に就く中野寛成氏の著書「みんなで考えるニッポンの未来」(ヨシモトブックス)の出版記者会見が行われました。
中野氏は25歳で豊中市市議に初当選。当時の史上最年少議員として話題になり、以後、地方議員、国会議員として42年間政治に携わってきました。その間、衆議院副議長(第62代)、国家公安委員長などを歴任し、二大政党制の実現にも大きな役割を果たしました。そして2012年11月、政界を勇退。2013年5月9日には旭日大綬章を受章し、現在は関西大学客員教授・評論家・コメンテーター・パーソナリティとして活躍しています。
この日の会見には、中野氏と、著書で対談したハイヒール・リンゴも会見に駆けつけました。
まず対談の感想を聞かれた中野氏は、リンゴの印象を「いつもテレビなどで拝見していて『すごいツッコミをする人やな』と思っていました。リンゴさんと対談ができれば、本音の話ができる。そして、大阪らしい話ができるという気持ちでお願いをしました。何年も前に、テレビ番組で共演したことがあるのですが、そのときはあまりお話しできず、その頃から密かに思い焦がれていたので、このたび実現して大変うれしく思っています」と語りました。
一方、リンゴは「仕事柄、番組で政治家の方とお会いする機会があるんですが、だいたいが劇場型というか、アピールをされる政治家の方に注目が集まるものです。でも実は政治家の方は、約9割が地元密着型で、地元の利益のためにいろいろされている方が多いんです。そういう方のお話も聞いてみたいなと思っていた矢先にこの対談のお話をいただきました。国民のために何年もの間、政治家をやってこられた方のお話が聞ける、滅多にないチャンスだと思って対談させていただきました」と語りました。また、「人生の大先輩にこう言うのは失礼なのですが、思っていた以上にすごくまじめで、本当に日本のことを考えておられる方だと思いました」と中野氏の印象を語りました。また、政界を勇退したことについて、リンゴに「後ろ髪を引かれる思いでしたか?」と尋ねられた中野氏は、「いや、前髪がないのでね」と、自身のやや薄い頭髪をネタに!! すかさずリンゴが「ここ、笑うところですよ!」とフォローし、会場は笑い声に包まれました。
著書を出版した経緯について尋ねられた中野氏は、「政界は引退をしましたが、何かを残しておきたいという気持ちがありました。やり残したと思う仕事と、これから時間をかけて、日本はこう進まないといけないと思う部分があり、それらを本に残せたらいいな、と。しかし、堅苦しいものではないです。冷静に、本来あるべき姿を本音で話せたら。今こそ、私の本音が書けるのではないかと思いました」と語る一方で、自分の本音を引っ張り出すのに苦労をした、とも。「机の上で一生懸命書いても、おもしろみに欠けるんです。それに、一方的な、私の単なる思い込みではいけないので、客観的にツッコんでいただけるような要素があればと思い、リンゴさんと宇治原さんに対談のお相手をしていただきました。今まさに大活躍をされている2人に対談のお相手をしていただいたことで、わかりやすく、素晴らしいものができたのではないかと思います」と語りました。
どんな方に読んでもらいたいかという質問に、「学生や、子育て中のお母さん、サラリーマンの方に読んでくださればうれしいです」と明かした中野氏。「劇場型の政治家がどうしても目立ちますし、テレビなどでも派手に番組を作ることがありますが、そうではなくて、『こういう風に騒がれているけれど、本当はこういうことだったのか』と冷静に関心を持っていただくきっかけになれば」と、自分とは違う世代の方にぜひ読んでもらいたいとアピール。
今後の活動については、「政治の世界では、音楽議員連盟の会長を7年務め、国会では国会議員による合唱団の会長も務めていました。芸術文化には興味があるので、吉本さんではぜひそういう舞台芸術、大衆芸術の振興も含めて、そういったお仕事をさせてもらえたらなと思っています」としながらも、「できれば、どなたかいい相方がいれば、漫才もやってみたいです」と意外な本音も。かつて横山ノック氏と、ある舞台で大喜利をやったことがあるそうで、「あのとき、『私もちょっと、やれるかも知れない』と自信みたいなものを持ったことがあったので(笑)」とチラリと自信をのぞかせていました。すると「先生は、おやじギャグが好きなんですよね?」とリンゴ。それを受けて、「おやじギャグ? 青年ギャグのつもりで言ってるんですけど(笑)」と切り返し、またも会場を沸かせていました。
リンゴは、これからの中野氏の活躍について、「髪の毛のギャグ、押していきます!」とバックアップ宣言(!?)も飛び出しました。また、中野氏の人柄について、「本当に、大阪のええおっちゃんなので、とっても面白い方なんです。やっぱり、40数年間も政治の世界におられた方なので、そういうお話も聞きたいですね。本を読んでいただいたらわかると思うんですけど、やはり政治ってネゴシエーションやな、と。水面下でいろいろやってきたうえで、ひとつの形になるというのがよくわかると思うので、そういった体験を生かした話を交えて、おやじギャグもスベりながら(笑)、そんな感じでつっきっていただけたなと思います」とエールを送りました。また、「案外、頭をウリにしてる方がいないんですよ。イジれない人はナンボでもおるんですけど(笑)、イジれる方はなかなかいないんです。今、ちょうどその枠、空いてると思うので、先生そこ!」というと「ぜひ、そこを狙いたいと思います(笑)」と応えつつ、「ラジオでもパーソナリティーをやっていますし、コメンテーターとか、いろんなジャンルに頭を突っ込んでいきたいです。頭を突っ込むとスベると思うんですけど」と語ると、リンゴがすかさず「今の、頭のギャグですよ!」とさっそく飛び出した頭髪ギャグを記者にアピールしていました。
質疑応答では、安倍首相が来年4月に消費税を8%に引き上げると表明したことについての質問が。中野氏は「私自身が、衆議院社会保障と税の一体改革に関する特別委員会の委員長でしたから、ある意味、国会で法律を決めた張本人のひとりです。ですから消費税については、当然、時期的にも目的から言っても上げざるを得ないという信念を持って考えております」としながらも、「ただ、私が引退したときに政権が代わりましたが、アベノミクスといういわゆる資本主義、いうならばサッチャーやレーガン、アベノミクスと新古典派の流れを汲むなかで、消費税という社会保障に特化して使われなければならないものが、お金に色がついていないばかりに、税収があるからとほかに回されていく傾向があまりにも強すぎるなと思っています。政権交代とともに、その中身と本質がかなり変化しているのではないかと思っています」と懸念している様子。「むしろその使い道、そしてその運用を、国民目線に立って、もっとしっかりと配慮してくれないと。そのお金ができたからといって、法人税を下げるなど企業にお金を配り、そしてトータルして統計を取ったら『お金の動きがこれだけ増えていました』と。しかし、ひとりひとりの国民生活がどん底になっているではだめだと思います」と思いを語りましたが、最後にリンゴから「長い! テレビではもっと短くしゃべらんと切られまっせ!」とツッコまれていました。
また、先日の堺市長選に関連し、橋下徹大阪市長、大阪維新の会について尋ねられた中野氏。「(橋下氏は)問題のポイントをつかむのが大変うまく、けんか上手。そういう部分は、政治そのものに対する皆さんの関心を呼ぶことにつながります。彼のそういうところは優れていると思います」と評価したうえで、「これからこうなってほしいなぁと思う部分は、相手を屈服させようとするのではなく、心服させる。そういう人間性を身につけてもらえれば、より一層伸びるのではないかと思います。道州制は、私は昔から言っているのでそこは一致するのですが、大阪都構想にいつの間にかすり変わっていってるのがわかりにくいところです」とチラリ。また、「あれだけ、素晴らしいものをもっているので、1回や2回の失敗で屈するのではなく、それをまた教訓にして新たな展開がなされればいいのではないかと思います」とエール。そして「政界の今後のこと、その方向性については本を読んでいただきたいです(笑)」とまとめました。最後に「劇場型の政治家はお好きですか?」と尋ねられた中野氏は、「持ち味それぞれに発揮されたらいいと思います。ただ、私は性格的にそういう道は歩めません」とし、「劇場型の政治家が出てきたときに、国民の皆さん、どうぞその実態を見極める目を養っていただけたらと思います」と語ると、リンゴが「確かな目を養うためにも、しっかりこの本を読んでいただいて、ね!」と著書もアピールもバッチリ。息ピッタリの2人でした。
今回の著書は、国会議員として42年にわたり政治にたずさわってきた中野氏が、現代社会の問題点を、ガンジーの教えを交えながらレクチャーするという内容。「税制」、「財政」、「外交」、「教育」、「憲法改正」、「医療」、「人権」など、衆議院議員として柔軟に幅広く取り組んできた中野氏ならではの、ニッポンをよくするための処方箋が書かれています。また、ハイヒール・リンゴ、ロザン・宇治原との“本音対談”も掲載。現代社会についてわかりやすく解説しています。この本を読めば、日本の政治、経済、今の現状を楽しくしっかり学ぶことができますよ!
■著書情報
ガンジーの予見から読み解く
みんなで考えるニッポンの未来
著者:中野寛成
定価:1575円(税込)
発行:ヨシモトブックス
発売:ワニブックス