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2013年11月19日 (火)

2014年初秋の開催に向け「京都国際映画祭」準備委員会が発足!京都から映画・アートを発信

映画はもちろんマンガやアニメーションの最古と言われる「鳥獣戯画」や、歌舞伎の祖と言われる出雲の阿国のかぶき踊りなど、常に文化・芸能の発祥地であった京都。そんな京都を舞台に、2014年初秋、「京都国際映画祭」が開催されることとなり、11月18日(月)、準備委員会発足を発表する記者会見が、祇園会館(よしもと祇園花月)にて行われました。

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会見のオープニングでは、1939年に京都で撮影され、吉本興業所属の芸人たちも多数出演した喜劇映画『旅籠屋騒動』オープニング映像と、国内外で活躍する現代アーティスト・明和電機がコラボレーション。社長である土佐信道が、パチモク(指パッチンで作動するコントローラを使って木魚を鳴らす楽器)を使ってテーマミュージックに合わせたパフォーマンスを披露、74年の時空を超えた共演で大いに盛り上げました。

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続いて司会のおかけんた、KBS京都アナウンサー・遠藤奈美さんがステージへ登場し、映画祭の概要を説明します。1997年から隔年で開催されてきた「京都映画祭」が昨年でいったん閉幕したことを受け、その流れを受け継ぎながら、これまでにない新たな国際映画祭としてバージョンアップし、スタートするのが「京都国際映画祭」。これまで同様「伝統文化・芸能の継承」を念頭に置きながら、「映画もアートもその他もぜんぶ」をコンセプトに、「次世代を担う人材、才能」を発掘するプロジェクト「クリエイターズ・ファクトリー」を軸とし、映画、ファッション、アニメーション、パフォーマンス、音楽などさまざまなジャンルが枠を超えて交流できる場を作り、世界に発信していきます。

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まずは、門川大作京都市長が挨拶に立ち、「京都はかつて東洋のハリウッドと言われました。京都は文化芸術都市であることはもちろん、モノづくり、さらに素晴らしい自然や宗教がある。映画は総合芸術ですから、そうした条件がしっかりと整っていたからこそ栄えたのではないか」と“映画都市”京都の魅力について紹介。「今もおかげさまで多くの大学があり、コンテンツ産業もあり、可能性を秘めた場所。そこで中島貞夫総監督と吉本興業のコラボ、そして多くの若者たちの創造力により、新たな京都国際映画祭がさらに大きな役割を果たしていただけると思います」と期待を込めました。

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吉本興業代表取締役会長・吉野伊佐男は、「やはり日本文化の中心はこの京都。映画もまたこの京都で育ち、守り、育んでこられた文化のひとつ」と述べたうえで、「国内にもさまざまな映画祭があるが、(これまで開催されてきた)京都映画祭は、上映される作品に対する運営側の強い思いと次世代に伝統を引き継ぐ使命感などを含め、特別なものだった」と振り返ります。新たに始まる京都国際映画祭については、「沖縄の人々とともに、沖縄の地で、沖縄らしい映画祭をと始めた沖縄国際映画祭同様、京都らしい映画祭を目指して努力をしていきたい」とキッパリ。さらに「お笑いの吉本興業ではあるが、最近はたくさんの芸人さんおよびタレントさんが、発想力をもって我々の会社の域を超えた部分で活躍もしてくれている。私たちもこれからこの映画祭を通じて、吉本興業の枠を飛び越えた経験をさせていただきたい」と話しました。

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京都映画祭では総合プロデューサーを務め、今回の準備委員会にも名を連ねる中島貞夫監督は、「これまでの映画祭では、いかに京都と映画が深い関わりを持っているかを知っていただこうという視点からイベントを組んできました。今後はより広い視野に立ち、新しい展開をしなければいけない」と意気込みを。具体的には、京都で撮影された過去の作品だけでなく、国内外、時代の新旧を問わずに、面白い映画はどんどん上映していくとのこと。一方で、「京都でしかできないこと、例えば無声映画を弁士付きで上映するといった活動も継続していきたい」と語りました。そして「京都で映画を作っていくためには若手たちの奮起が必要」とも。そういった人たちのへ支援についても、力を入れていくそうです。

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同じく準備委員会に参加する映画プロデューサー・奥山和由さんもステージへ。冒頭、「日本映画に関しては、東映京都撮影所で作られたヤクザ映画ばかり見て育った。映画的教養は、そこで研さんを重ねたように思います」と話した奥山さんにとって、中島監督は憧れの存在。「今回、映画祭をご一緒できる、準備委員会に参加させていただけるというのはこの上ない光栄」と心境を明かします。続いて映画祭のロゴマークに触れ、「京都の象徴、碁盤の目の端の部分が少し壊れている。これは秩序からの開放を象徴しているそうです。言い換えれば碁盤の目は歴史で、上の弾けている部分は、将来に向かう次世代を作ろうという意思。これが『クリエイターズ・ファクトリー』とも言えます」と解説。先の沖縄国際映画祭で第1回が行われたこの試みを通じ、京都国際映画祭でも新たな才能を発掘、育てていく考えを示しました。しかも、今回は映像だけでなくアートという部分までレンジを広げていくとのこと。「アートや映画は、本当に楽しくて自由でいい仕事。ただ、なかなか続けられない。言ってみれば飯が食えないんです。この映画祭では、高いところから点数をつけていくのではなく、観客目線で作品を選び、人材を選んでいくこと。まだ検討している途中だが、今までなかったような新しい映画祭になることは間違いない」と語りました。来秋の開催に向け、年明けからは隔月でプレイベントも開催する予定だそうです。

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ここで、京都国際映画祭の準備委員会発足にあたり、海外の映画祭から届いたメッセージが紹介されることに。その中には釜山国際映画祭や香港国際映画祭、ロカルノ国際映画祭、ロッテルダム国際映画祭、ACE ヨーロッパ・プロデューサー・ネットワークなどが名を連ね、早くも世界規模で注目を集めていることがわかります。

続いてゲストの皆さんによるスピーチへ。まずは会見後に上映会が行われる映画『序の舞』に主演した名取裕子さんが、艶やかな着物姿で登場しました。京都で撮影された『序の舞』は初めての主演映画だったそうで、「何も知らない私に、撮影所のたくさんのスタッフが隅々まで努力と才能を惜しまず注ぎ込んでくださり、素晴らしい作品を創り上げていただきました。映画は総合芸術だと言いますが、まさにそれを体現したような作品」としみじみ語った名取さん。「人間にどんなときにも必要な笑いを生み出す吉本興業さんと、どんなときにもなくては生きられない夢と希望を与える映画が手を携えて、若い世代の発表の場として、そして私たちから伝えていく場として京都が花開くことを楽しみにしています」と笑顔でエールを送りました。

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吉本からも3組がゲストとして参加。パラパラマンガで大ブレイク中の鉄拳は、「これからもパラパラマンガを描いていって、京都映画祭に出展できたら」と“アーティスト”としての参加を熱望。『漫才ギャング』など映画監督としても活動する品川ヒロシは、「ご挨拶の時間を5分いただいていたんですが、押しに押したためひとことにまとめろということで…えー、頑張ります!」と笑いをまじえてコメント。そして京都が誇る漫才コンビといえばこのふたり、今いくよ・くるよ。「昔は映画が一番の娯楽でね。家の近くにあった映画館に、よく3本立てを見に行ってました」とくるよが言えば、いくよも「親につれられて映画館に行くのが楽しみでした」とニッコリ。「もちろん今も大好きで(映画館に)足を運ぶんですよ。京都で素晴らしい映画祭ができるというのは本当に楽しみ。私たちも一生懸命頑張ります!」と、声を揃えて決意表明していました。



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最後は京都映画祭から引き続き、日本映画の発展に大きく貢献した映画製作関係者に贈られる「牧野省三賞」ゆかりのゲストとして、津川雅彦さんがスピーチを。日本で初めて劇映画を撮った牧野省三監督の孫で、自身も“三代目”としてマキノ雅彦を名乗り、既に3作品を監督している津川さんは、「この牧野省三賞を、京都国際映画祭でも続けてくれということで、大変うれしく思っております」と喜びのひとこと。また、日本のハリウッドとして映画製作を支えてきた京都では、「四条大橋でロケなんかしていると、警察はもちろん市民の皆さんがこぞって協力してくださった。誇りに思ってくれていたわけです」と黄金期を振り返った津川さん。「今は撮影所も減ってしまったが、京都のスタッフたちの技術は大変なものが残っている。テレビでは味わえないスタッフの技術、これが日本映画の財産。なんとか残したい」と願いを語り、「このへんのことも含めて、京都国際映画祭が盛り上がり、皆さんが『ここは映画発祥の地であり、日本のハリウッドなんだ』という誇りを持って応援してくださると、映画ももっといいものができるんじゃないかなと思っています」と呼びかけていました。

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秋の京都の新たな風物詩、一大イベントとなりそうな京都国際映画祭。来年の第1回開催に向け、今後も随時、内容を発表していきます。どうぞご期待ください!

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京都国際映画祭公式サイト:http://kiff.kyoto.jp/



【今いくよ・くるよ】【品川ヒロシ】【鉄拳】【明和電機】

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