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2011年8月 6日 (土)

河内家菊水丸が第1回『三陸海の盆』合同大祭に出演決定!

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来る8月11日(木)、岩手県上閉伊郡大槌町にて行われる『三陸海の盆』に河内家菊水丸が出演することが決まりました。

この『三陸海の盆』は、8月に岩手県を中心に各所で行われ、3月11日に発生した東日本大震災により犠牲になった方々を永遠に記憶し、風化させず、被災地と支援地、三陸が一体となって被災者を供養するために開催されるもので、各地の郷土芸能の復活、郷土復活の願いも込められています。
 
当日は、岩手県大槌町のまごころ広場うすざわ(小鎚運動公園弓道場隣)で11時より合同大祭が行われ、菊水丸は14時30分からのステージに登場する予定です。

そこで『三陸海の盆』を前に、出演にあたっての意気込みや、当日披露する河内音頭について語りました。

河内家菊水丸(以下、菊水丸)「3月11日の東日本大震災以降、――これは芸能で飯を食っている人はみんな思ったことだと思うんですけども――、何らかの形で貢献をしたいと考えていました。しかしながら、警察や消防、救急、そして何よりも自衛隊の皆さん方が現場から少しずつ引き揚げるときが来なければ、こういう芸能の出番はなかなか来ないであろうとも思っていて、どうすればいいものかと悩みに悩んでおりました。河内音頭とは年に一遍、お盆の頃に亡き人を偲ぶという、大切な人を思い出して、供養のために皆さんに輪になって踊ってもらう、そういう盆踊り唄でありまして、特に関西の芸能で東北の方との直接的なお付き合いもありませんのでしたので、何かをしたいと思っていても、随分先になるだろなと思っていました」

と、考えていた菊水丸ですが、本格的な夏を前にしてよしもとが、トラックの荷台をステージにし、いつでもどこでも寄席が行える『青空花月』を発表しました。

菊水丸「ひとまず、亡き人の供養である音頭を櫓の上で歌うことが一番の貢献であろうと思い、6月20日から始まった盆踊りツアーで各地各所を回っておりましたところ、よしもとが『青空花月』の活動を始めたことを聞きました。ただ、『青空花月』は漫才、落語、吉本新喜劇でしょうから、『青空花月』野中に混ざってでやるのではなく、民謡版というか、郷土芸能版という形で、僕でないとできないことを教えて下さいとよしもとの担当の方に申し上げておりました」

そんな中、今回の『三陸海の盆』出演のお話をいただいたそうです。

菊水丸「初盆とういうことで『三陸海の盆』への出演はどうですかというお話を聞きましたので、盆踊りツアーの前半と後半の間に櫓休暇を取って、8月11日に大槌町に行くことになりました。なぜ、そういう形での出演にこだわったのかというと、持ちネタに『九代目横綱』というものがあるんです。伝統的な河内音頭はご存じのように、人物伝や歴史を歌うという、ずっと伝わったきたネタを歌っているんですね。その中で2、3年前から好んで歌っているのが『九代目横綱』。この九代目横綱とは秀ノ山雷五郎という人で、宮城県気仙沼出身の大横綱だったんですね。できることなら、こちらが日ごろネタでお世話になっている気仙沼で、横綱の碑の前で奉納音頭を歌いたいとリクエストをしたんですが、今回は大槌町で歌わせていただくことになりました。もちろん、気仙沼の民謡の人たちも『三陸海の盆』に出ますし、僕の出番も気仙沼の民謡の方の次に決まりましたので、ネタでお世話になっている分、そこで感謝の気持ちを込めて、もちろん哀悼の気持ちも込めながら、精いっぱい、九代目横綱という東北が生んだ大横綱の偉業を顕彰する音頭を歌いたいと思います。この頃は地元の人も知らない話かもわかりませんが、不思議なご縁で河内に伝わっていることも知っていただきながら、地元の英雄の物語を精いっぱいやらせてもらおうと思っております」

続いて、ギターの石田雄一さんからもコメントをいただきました。

石田雄一「僕は実家が神戸市長田区の鷹取商店街にありまして、'95年の阪神・淡路大震災で全壊しまして、両親が救出されたすぐ後に火が回って全焼いたしました。僕の場合は、両親も助かって、家が燃えただけで済んだのですが、隣近所の方や幼いころからの知り合いなど、たくさんの方がお亡くなりになりました。残された人たちにとってはつらい日々が続きましたけども、ひとつの復興の節目になったのがその年の初盆だったと思います。亡くなった方々の霊をお迎えし、再び送ることで気持ちの整理をつけたり、新たな生活へのステップにされた方も多かったのではないかと思います。このたびの大震災は、規模も比較にならないほど甚大でして、原発事故もいまだ収束しておりませんし、行方不明の方々も多数おられますけども、ひとつの節目である初盆を迎えるにあたりまして、犠牲者の方々を弔い、大きなお祭りを催すのは、被災地の方々にとっても意味のあることだと思っています。『三陸海の盆』が盛大に催されることによりまして、被災地の方々が少しでも前進するきっかけになることを切に願っております。同じ被災者として微力ながらも協力できることをとてもうれしく思っております」

菊水丸「石田さんのご両親が避難所でお世話になっていたこともありまして、僕も阪神・淡路大震災の後に、避難所をずっと回った経験があります。そういうことを今回、東北でも生かせたらいいなと思っています。阪神・淡路大震災のときも'95年8月に神戸の港で『神戸海の盆』がありまして、そこにも出演しました。僕自身は阪神・淡路大震災では被災していませんが、同じ思いを持った人がメンバーにおりますし、ここに至るまでもいろいろと石田さんに意見を仰いでいたところもありますので、我々にしたらようやく現場に行けるんだという思いであります」

また、菊水丸は以前見た、津波で流出した太鼓のニュースが気になっているとのこと。

菊水丸「何かのニュースで見たんですが、今回の津波で太鼓が流されたという郷土民謡の人たちがいたんですね。でも、海の中から太鼓を引き揚げて、それを使って夏祭りをしますという報道で、4月か5月に見ました。太鼓は1度、水分を吸収してしまうと鳴りが悪くなるので、うちにも使っていない太鼓がたくさんありますし、そういう方たちにもし、巡り合うことができたら、いくらでもご協力させていただこうと思っています。河内音頭の太鼓と東北の太鼓とで競演などもできたらいいなとも思いますね。今回は和太鼓名人の三条史郎さんにも参加していただきますので、三条史郎さんからも一言お願いします」

三条史郎「私は東北にあんまり馴染みがなかったのですが、2年前にバイクツーリングで行きました。そのときは地震など全く予測せず、本当に風光明媚な美しいところというイメージだったんです。阪神・淡路大震災の時は、僕は被害はなかったんですが、友人、知人に被害に遭われた方々がいて、今回の震災でそういうことを思い出して、切実な思いをしてはる人がたくさんいてはるんやろうなと思いながら過ごしていたんですが、今回、菊水丸さんからこのお話をいただきまして、こういう形で大きな慰霊祭に参加できるのは本当に意味のあることだと思っています」

ちなみに菊水丸は、東北を訪れるのは久しぶりなんだそう。

菊水丸「岩手県で『岩手の夜はクネクネ』という番組をやっておりまして、それは関西で角淳一さんがずっとやってはった『夜はクネクネ』という町を練り歩く番組のパロディだったんです。この番組で岩手のアナウンサーと町のあちらこちらをロケして歩いた思い出があります。それが'91年~'92年でしたから、20年ぶりになりますね。ただ、今回のように岩手県内で河内音頭を披露させていただくのは初めてです。宮城や青森、福島は過去にありますが。今回の行事は民謡家が集まりますから、自分たちがいつもやっている環境とよく似た雰囲気であろうと思っていますので、精いっぱいやらせていただこうと思っています」

なお、『三陸海の盆』で披露する河内音頭は、盆踊りのように踊りで参加するというものではなく、“河内音頭という芸能を聴く”という形になるそうです。

菊水丸「河内音頭には2種類、音頭に合わせて皆さんに踊っていただく形と、落語や講釈のように聴いていただく形とありまして、今回は踊りをご存じない場所に行きますので、どちらかというと聴いていただく構成にしています。地元の英雄の物語をぜひ、聴いてくださいという感じですね。地元の英雄がずいぶん離れた大阪・河内という土地でも大事に、河内音頭という芸能で語り継がれているということを知っていただきたいというのも、今回の抱負です」

ところでなぜ、『九代目横綱』河内に伝わってきたのでしょうか。

菊水丸「『九代目横綱』は元々、講談、浪曲にある話なんですね。簡単に言うと、タニマチという力士をご贔屓にする人と力士の物語なんです。『タニマチ』というのは、大阪の谷町が発祥だと言われていますよね。大阪の谷町に住むお医者さんがお相撲さんを随分とかわいがったところから『タニマチ』という言葉ができたと。『九代目横綱』は東北出身の力士のお話ではあるんですが、ご贔屓と力士の関係が実に大阪人好みのストーリーになっているので、大阪の芸能の中に残ったんでしょうね」

そして『九代目横綱』のストーリーを語り始めて…。

「あるご贔屓が、後の九代目横綱・秀ノ山雷五郎、当時は岩見潟という売り出しの力士を随分かわいがっていて、その岩見潟には付き合っている芸者がいたんです。そのご贔屓が、自分が芸者の身請けをして、いずれは所帯を持たせてやる。明日の相撲に勝ったら大関になれるんだから頑張れよと激励するところから物語が始まるんです。で、わかりましたと。それはもう、お世話になっているご贔屓に応援してもらって、好きな女性とも結婚できるのであれば、明日は何としてでも勝ちますと言って別れるんですけど、そこに一人の老婆が訪ねてきます。その老婆こそ、次の日に対戦する力士のお母さんなんですね。その力士は大関まで行ったんですけど随分と落ち目で、明日の相撲に負けたら庄内様から即刻、お抱えを差し止めるというきついお達しを受けたから、明日の相撲はなんとかうちの息子に勝たせてほしいと頼む。岩見潟は非常に情にもろい力士ですから、あのお母さんのことを思い、負けてやろうと心に決めて土俵に上がるんです。けどやっぱり、土俵に上がったら真剣勝負、昨日のお母さんの話は関係ないと振り切って、立ち上がったんですね。で、対戦相手の力士は負けたらお抱えを差し止められるから必死にもがいている。その必死な形相が、前の晩に会ったお母さんの顔と全くの生き写しで、ここで自分が勝ったらお母さんを悲しませてしまうと思って力が抜ける。その瞬間に上手投げをされて、それが決まってしまうという話なんです。さあ、この先どうなるのか…!?  『三陸海の盆』では最後まで歌いますのでぜひ、聴いてください!」

第1回『三陸海の盆』合同大祭
日時:8月11日(木)11:00~21:00
会場:岩手県大槌町 まごころ広場うすざわ(小鎚運動公園弓道場隣)
詳細はhttp://tonomagokoro.net/?page_id=2194

【河内家菊水丸】【石田雄一】【三条史郎】

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