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2011年10月10日 (月)

【ライブレポート】肉体の悪魔

10月8(土)、9日(日)の2日間にわたり、神保町花月にて『特別講演 肉体の悪魔』が行われました。

これは「MONO-KAKI大賞」でシナリオ部門大賞受賞作品を舞台化するという企画。なお「MONO-KAKI大賞」とは、神保町から優れた人材・作品を発掘・発信すべく昨年から設けられた賞で、 第一回目となる昨年は脚本・シナリオ大賞として行われました。そのシナリオ部門で大賞を受賞した、戸田章宏さんの作品を、カリカやしろが演出。はんにゃとちすんらの出演で舞台化したものです。

物語は、鮮烈なキスシーンから始まりました。下校の時刻を告げるアナウンス、そして現れた二人の女子高生サオリ(ちすん)とレイコ(児玉絹世)。「あたしだけを好きでいてくれる?」「当然でしょ」二人が禁断の恋に落ちた様子が描かれます。しかし、それが周囲にバレてしまったことから、二人は引き裂かれ、そして…レイコは高い場所から身を投げてしまったのでした。

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続くシーンは、サオリのその後。中学校の先生となったサオリのクラスにやってきた転校生のナカガワマサヒコ(はんにゃ・川島)が、なんとレイコの生まれ変わりだというではないですか! サオリは婚約者(はんにゃ・金田)のいる身でありながら、レイコの生まれ変わりと恋に落ちてしまう…。そんなストーリーの中、やはりひときわ異彩を放っていたのは川島。「ここはあたしの特等席よ、サオリ!」と、完全に“女の子”として語る川島に、会場からは思わず笑いが。しかし、さすがにストーリーがシリアルなものなだけに、次第にお客さんも慣れていった様子。そして、担任の先生として、ナカガワくんの家庭訪問にやってきたサオリは、彼の家がレイコの住んでいた家と同じであることに戸惑いつつ、ナカガワくんの部屋(レイコの部屋と同じ)へと入り懐かしさに胸をアツくします。とそこへ、外出していたナカガワくんが帰宅。「先生が部屋で待ってる」と聞いたナカガワくんが自身の部屋に入ると、そこにはこわい顔したレイコの姿が。「悪魔は天使の顔をしてやってくる」――。

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とここで、会場には思わぬアナウンスが! 「はんにゃ・川島の学ラン、女口調の組み合わせがあまりにも違和感を生み、ストーリーあ頭に入ってこないことを深くお詫び申し上げます。申し訳ございませんでした」。ええー!? そんなことを言ってしまうの? 会場は突如として爆笑に包まれます。 すると、スポットライトで照らされた川島の姿が浮かび上がりました。「マジで? 女口調でさ、13歳の設定でさ…ぼくは本当に一生懸命やったんですよ。すみませんでした!」。ここでまたアナウンス。「それではただいまより、キャストを代えて再演させていただきます」。

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そして始まったのは、レイコの生まれ変わりに金田が扮するという物語(しかも設定が高校生に!)。たしかに、なんら違和感なくストーリーは進んでいき、なんだか一粒で二度楽しんでいる印象です。なお、川島は金田がやったサオリの婚約者として登場。サオリとレイコの生まれ変わりであるナカガワくん(ときとして児玉絹世が金田にシンクロして登場)との蜜月も、ナカガワくんが“秘伝のレシピ”で特製ハンバーグを作って食べさせるシーンなどが展開されます。

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さらに今回は、ストーリーの中断はなし。なぜナカガワくんの部屋に入ったサオリが、こわい顔になったのかが明らかになります。それは…サオリが、その部屋でレイコの生前の日記帳を見つけたからなのでした。「悪魔は天使の顔をしてやってくる。あなたは、レイコの日記を見て、完全にレイコになりすましたのね!」そう叫ぶレイコに、ナカガワくんはそっと悲しい表情を浮かべます。そうして、二人の関係は破局に。ナカガワくんは両親の住むシンガポールへと旅立つことになったのです。と、そんな彼の元へ、一本の電話が。「サオリ? どうしたの?」「日記帳を送ってくれてどうもありがとう。わたし、何日も徹夜して全部読んだわ。でも…特製ハンバーグのレシピがどこにも書いてなかったの! どうして…」「当たり前よ。レシピはあたしの頭の中にあるんだもん」「…レイコ、いまどこにいるの!? 教えて」「さよなら。今度こそ、本当に」。泣き崩れるサオリ…。

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哀しくて、途中は笑いに溢れ、でもやはり悲しい物語はこうして幕を閉じたのでした。

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出演者のあいさつで、「どうでしたか? というか川島の女はムリありましたかね?」と金田が呼びかけると、うなづきとともに「あったあった」との声まで飛び、ショックを受ける川島。「これが本当の肉体の悪魔です」と、目鼻が書かれたお腹をむき出しにするも、会場は苦笑。一方、全編に出演していたちすんは「稽古の日数が少なかったんでたいへんでした」とするも、満足げな表情をのぞかせます。脚本のシリアスさはそのままに、巧みに笑いも織り交ぜ、新しい演劇のカタチを垣間見せてくれたような公演でした。

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