【ライブレポート】聖飢魔II Presents Tribute to JAPAN(12/1)
12月1日(木)、東京・両国国技館にて『聖飢魔II Presents Tribute to JAPAN』が開催されました。
昨年、地球デビュー25周年を記念して期間限定で活動を行い、国内外でのツアーを成功させた聖飢魔II 。今年3月11日に発生し、甚大な被害をもたらした東日本大震災など様々な困難に直面している人間界のためにと、魔界から再び人間界へ降臨。このたび、チャリティーイベントを開催するに至りました。なお、今回の収益は「吉本興業(株)【よしもとあおぞら花月】」を通じて、日本赤十字社に寄付されます。
同イベントは、11月30日(水)、12月1日(木)の2日間に渡って開催され、前日の11月30日(水)には、NOKKO、cali≠gari、MAN WITH A MISSIONが出演。今回は、12月1日(水)の様子をレポートします!
開演が迫った頃、「グハハハハハ……」と低い笑い声が。その瞬間、客席から大きな歓声があがります。
声の主は、聖飢魔II ・デーモン閣下。期待のこもった大声援と拍手に「何、拍手しているんだ。テープかもしれないだろう!」とツッコミを入れながら、「本日は足下の悪いなか、『聖飢魔II Presents Tribute to JAPAN』の2日目、千秋楽に来場、誠にご苦労である。この忙しい師走の月初めに、ここに繰り出している諸君は偉い! 誉めてつかわす」と信者(ファン)の皆さんを労いました。
また、今回参加しているアーティストについて「愛や希望を常とするわけではない、今年はどんな活動をしたらいいのか迷っているアーティスト達に集まってもらった」と説明。会場が両国国技館ということもあり、相撲を風刺した発言で会場を盛り上げながら「後ほど会おう!」と締めくくりました。
オープニングを務めたのは、ROOKiEZ is PUNK'D。まずは今夏リリースした「IN MY WORLD」を披露します。
Uさんは「今日は素晴らしい会場、ステージで演奏できて光栄に思います。それも全て、大先輩である聖飢魔IIさんのおかげです! ありがとうございます!」とコメント。2RASHさんが「ベースをゼノン様に教わっています」と言えば、SHiNNOSUKEさんは「僕が今日使っているアンプは、ルークさんにお借りしています!」と、聖飢魔II との仲のよさをアピールしていました。
人気テレビアニメ『デュラララ!!』のオープニングテーマ曲「コンプリケイション」演奏後は、「日本のために、今何ができるのか。その1つは、今ここでライブを楽しむことだと思います。僕らからのメッセージを聴いてください」(SHiNNOSUKEさん)と、最後の曲「stand up」を披露しました。
続いて登場したのは、jealkb。
演奏から入るのかと思いきや、「まさかのMC入りです! 日本一腰の低いヴィジュアル系バンド、jealkbです」と高らかに声を挙げるhaderu。
「僕らを初めて観たというか……(言い終わらないうちに、多数の手が挙げられていく様を見て)即行おろしてください! そんなにたくさん(知らない人が)いるんだったら、やりがいがあります。僕らには振り付け担当もいます。一緒にやってくれたら1つになれると思います」と軽快なトークで、まずは観客を引きつけました。
1曲目「誓い」では舞台の真ん中にhidekiを立たせて、観客に振り付けがわかりやすいように見せていくhaderu。その後も「聖飢魔IIさんへ思いを届けましょう!」と一体感を促しながら、「super special summer」「How much is your live」を披露します。
ノリのいいお客さんを前に、笑顔を見せるhaderuは「聖飢魔IIさんのミサに出るのは初めてですが、もっと怖い人が来ていると思っていました。楽屋(の雰囲気)もアットホームでビックリしました」とコメント。「短い時間なので、いろんな曲を聴いてもらいたい。後半は強めにいっていいでしょうか!」と丁寧な口調で語りかけながら、「かかってこいよ! 国技館!」と絶叫。「killss」では間奏中に「喘ぎ声ください!」と客席を煽りながら、また引きこもっている人達に向けて作ったという「shell」では観客との熱いコール&レスポンスを見せ、イベントを大いに盛り上げました。
序盤から「ゴッド・スピード・ユー!」「スタンディング・ニッポン」にてパワフルなパフォーマンスを披露し、観客を引きつけたのは氣志團。
綾小路翔さんは、「2つ約束します。まず、ここにいる全員と帰りまでに両思いになってみせるぜ! もう1つはここに集まってくれたみんなを、ピリオドの向こうへ連れて行くぜ!」と絶叫。さらに、「俺たちの憧れ……神……ではない悪魔、雲の上の……地の底の?……憧れの聖飢魔II兄さんに呼んでもらいました。ありがとう!」と聖飢魔IIへ感謝の意を述べつつ、「今年でメジャー10周年です。今日は夢のような共演ができて、(10周年の)お祝いをいただいたようなものです。不況でCDが売れないとも言われてるけど、こんなに音楽を愛してくれる人がいる。俺らが10年続けてこれたのは皆さんのおかげです。皆さんに恩返ししたいんです。そのためにも、もっとビッグになって帰って来たい。皆さんと1つになりたい。心をこめて歌います」と、3曲目「愛羅武勇」を熱唱しました。
「高校与太郎組曲〜喧嘩ボンバー〜」の演奏中、袖にはけたかと思うと、突然、巨人になった綾小路さんと早乙女光さん。「ビッグになって帰ってきたぜ!」と叫ぶと、会場は笑いに包まれました。
「One Night Carnival」の終盤では手を広げて静止したまま、観客の歌声を全身で浴びる綾小路さん……でしたが、「この曲をリリースして10年経ちますが、こういうイベントでこうして歌ってくれる人がいるのは、すげーことです。……でも、俺はちっちゃい男。ぽかーんとしている人がいるのは気になります」と、自虐ネタに走り始めます。「皆さん、わかっていると思うけど、俺達にはこの曲しかないんです!(「そんなことないよ~」という励ましの声に)いい加減なこと言わないでください。僕らは知ってるんです!」と語りながら、「歌ってもらえないと、腹いせに何かに当たりかねない。ゼノン和尚に迷惑をかけるかもしれない」と聖飢魔IIを絡めたトークで盛り上げ、見事、大合唱を成功させました。
トリを務めるのは、もちろん聖飢魔II!
まず、音声のみで行なわれたゼノン石川和尚&ルーク篁参謀によるカゲアナは、「もう師走ですね。大掃除はすみました?」という入りから、2人がボケとツッコミを入れ替わりながらの漫才トークになるという驚きの展開!
大歓声の中、登場した聖飢魔IIは「WINNER!」「真昼の月」「MASQUARADE」を続けざまに熱唱。約1年振りのライブであり、もう観られないかもしれないと思っていた夢のライブとあって、信者の皆さんも最初からヴォルテージが上がりっ放し。高く強く突き上げられた無数の拳が、照明に浮かびあがりました。
「『聖飢魔ⅡPresents Tribute to JAPAN』、2日目にして千秋楽。最後のアーティストである我々、悪魔の黒ミサへようこそ!」とデーモン閣下。「(本日出演した)アーティストは、どいつもこいつも賑やかしが好きな奴らだな。……我々は硬派だよ?現役時代にもやったことがなかった『3曲つなぎ』を今日はやったからな、まるでロックバンドみたいな。」と饒舌に語ります。
ゼノン石川和尚とルーク篁参謀の漫才さながらのトークにはデーモン閣下も随分と驚いたようでしたが、「jealkbも氣志團も話せるのは1人だけ。うちは全員しゃべりもいけるからな」と構成員達のトークの上手さを誇らしそうにしていました。
「昨年あんなに仰々しく(再解散を行い)、諸君らは涙ちょちょ切れながら『行かないで……もう観られないかもしれない……』と思った者も多いだろうが、舌の根も乾かないうちに訳あって再集結となった」と語り出すデーモン閣下。そんなバンドの現状を「体がぼろぼろで選手として無理だと思って引退を決意したのに、シーズンオフになったら主力選手がケガして、どうしてももう1回投げてくれって言われて、え? あんな会見やったのに……って思いながら、もう1シーズン投げることになった感じ」と喩えると、会場からは大きな拍手と笑いが起こりました。
「秘密の花園」「SAVE YOUR SOUL」を熱唱後、メンバー紹介としてそれぞれのトークタイムが設けられました。
「この2日間で面白いことがあった」と言うのは、ライデン湯澤殿下。殿下曰く「最寄り駅」から両国へ向かうために電車を待っていたところ、サラリーマンの方に「湯澤さんですよね? 今日、両国行くんですよ!」と興奮気味に声をかけられたとか。さらに、ライブの帰りには国技館の近くでいつもチケットを買って観に来てくれる従兄弟に遭遇。「今日も誰かに会わないかな~と思っていたら、電車に(デーモン閣下がCM出演中の)“アサヒ ダブルゼロカクテル”の広告が貼ってあった!」と、飄々と語っていました。
相撲好きで知られるデーモン閣下は、ここぞとばかりに国技館を探検したと嬉しそう。また、国技館に飾られている歴代の優勝力士の写真についてのうんちくで会場を沸かせました。
「我々は不吉な曲が多いので、こういうイベントに似合う曲がない。そんな中でもこれは最強の応援歌だ」と紹介し、続いて「闘う日本人」を披露しました。
スーツ姿の男性パフォーマーが頭に巻いていたハチマキには、“がんばれ相馬”という文字が。さらには、聖飢魔IIらしきメイク&コスチュームに身を包んだ氣志團も登場!「悪魔に身を売りました。鬼に死ぬと書いて、鬼死團(きしだん)です!」と綾小路さん。夢のコラボレーションが実現しました。
歌い終えたデーモン閣下は、気志團をまじまじと見つめながら「我々は打ち合わせの段階で、この曲のこの部分を気志團に渡そうという話をしていた。今日、リハーサルもやったが、その時はいつもの気志團だった。だが、“出番って何曲目ですか?”“間に合うかなぁ”という声が漏れ聞こえていたから、これは何かやるだろうと思っていたが。…………こう来たか! ここまでやってくれると嬉しいぞ」と感嘆した様子。
この日のため、聖飢魔IIにも内緒で用意したサプライズパフォーマンスだったようで、「この格好をすると、悪魔になりきってしまって。写真を撮り合ったり、喋り方も変わっていたんですけど、いざ舞台に立ったらいつもの感じに戻ってしまった(笑)」と綾小路さん。「みんなの悪魔ネームはなんだ?」とムチャ振りするデーモン閣下に戸惑う気志團の皆さんでしたが、「今後も活用して欲しい」という閣下の言葉には、「ツアーのオープニングアクトでやらせてもらいます!」と張り切っていました。
「蠟人形の館」で熱狂的な盛り上がりを見せた後、デーモン閣下は滔々と語りました。
「我々は3月11日に起きたことを忘れられないし、いつまでも忘れないようにしよう。思い出したくない思いもあるかもしれないが、そんなことを思い出させるのが悪魔の役目なのかもしれない。天災はしょうがないが、人災は人間の弱さ、未完成によって生まれるもの。うまく取り繕おうとか、自分だけおいしい思いをしようとかそういう考えが人災を招く。目先の勝ち負けしか観ていないから、大事なことを見逃してしまうのだ。ここ(両国国技館)では生臭い勝負が行なわれているが、例え今日は負けたとしても、その負けが納得のいくものであれば――必死で練習して納得して負けたのであれば――ずるいことをして勝つよりいいはず。そうなるためには、己に勝つことが大事だ。人間は弱い。ベストを尽くすのは難しい。そう感じた時、己の内にいる悪魔と接吻をしてほしい」
一言も聞き漏らすまいと、静かに耳を傾ける観客。デーモン閣下の言葉を胸に、最後の曲「HOLY BLOOD」では溢れる熱い思いを、体中で表現する観客の姿が印象的でした。
全ての演奏を終え、大きな声援を送り続ける観客に向けて、舞台の端から端へと何度も移動しながらずっと手を降り続ける構成員達。
別れを惜しむ声が響き渡るなか、光の中へと消えていった聖飢魔IIのあとには、美しい青空の映像が映し出されていました。