「エロは発想の原点!」笑い飯・哲夫がYCCで特別講義を開講
1月7日(土)、よしもとクリエイティブカレッジ大阪にて、笑い飯・哲夫が特別講義「笑い飯・哲夫の発想法」を行いました。
教室に集まったのは、クリエイティブな職業を目指す人たち。昨年12月25日に書き下ろしエロ小説『花びらに寄る性記』を発表したばかりの哲夫。今回の題材は「発想法」ということで、エロ小説を書き始めた中学生時代にさかのぼり、発想を生み出す大切さや想像力の育て方、発想を具現化にして作品に昇華させるプロセスなどを語りました。
中学生の頃、自分で書いたエロ小説が、思春期男子の健全な性を癒す「糧」だったと語る哲夫。「(アダルトDVDなどの)資源がなかなか手に入らない時代だったので、自分の究極のツボを押さえた何かを自分で作るしかない」と考えた哲夫少年は、その頃から妄想を膨らませてエロ小説を書き始めたといいます。「その妄想が想像力を育み、今の自分がある」とも。今の時代、アダルト画像が簡単に見られてしまう手軽さが、健康な青少年の想像力を奪うのではないかと懸念していました。
続いては、クリエイティブに欠かせないことについて話し始めた哲夫。
ホワイトボードに「0」と「1」、そして「100」という数字を書き、「1から100を作るのは、難しそうで意外と簡単なんです。でも、0から1を作るのが難しい。何もないところからひとつを生み出す、それを僕はやるんです。0から1を生み出したとき、その1を100に広げてくれる作家さんがいると、すごく仕事がやりやすい」とも。そして「0から1を生み出すことができるのも、中学時代からの妄想のおかげです」と、わかりやすく解説していました。さらに、中学入学時に不良に目を付けられたため、鬱屈とした日々を送っていたという中学時代の思い出に触れ、「不良になりたかったんですけど不良になれず、エロとお笑いに打ち込んだ結果、今があると思えば、感謝せなあきませんね」と当時を振り返っていました。
受講者からの質疑応答では、クリエイターを目指す人たちへアドバイスを送りました。「エロは、生きていくうえで大切なこと。義務というより、受け入れて発展させることが大事」とエロの大切さを語り、独自のSM論も展開。さらに、「クリエイティブで大切なことは、やさしい気持ちが大切」とも。「やさしさがなければ、誰かが何かを言っても『拾ってやろう』と思わない。やさしい気持ちがあれば、0から1の発想も拾ってもらえ、広げてもらえる」。そして、「おもしろい人はみんなゲラ。優しい気持ちがあって、ゲラやったらもうこれは最高です」とエールを送りました。
講義のあとに行われた会見は以下の通りです。
――講義を終えての感想を。
終わってすぐに「下品だ」というお叱りを受けました(笑)。非常に反省しつつ、いい講義ができたなと自負しております。最近、東大で仏教の講義を開かせていただいたりと、講義づいているので、これが本職に反映されることを願っております。何か、テレビ番組にならないかな、と(笑)。お笑いの題材にできたらいいのになと思っております。
――東大での講義との雰囲気の違いは?
前は、題材が「仏教」でしたので、お話させていただくことに大きな柱が1本あったんですけど、今回は「発想法」ということで、柱があってなさそうな感じの題材でしゃべらせてもらうということで、勝手に自分で柱を作らせてもらいました。仏教とエロの柱を立てられたらいいなと思って話し出したんですが、ずっとエロが柱になってしゃべってしまったんで、少し不快な思いをされた方もいらっしゃったんじゃないか、と……とくに思ってません(笑)。
――講義の構成も哲夫さんが考えられた?
そうです。思いつきで、行き当たりばったりでしゃべらせてもらって。そのあたりも「哲夫式発想法だよ」といったようなアピールだったり。後付けで思いついたんですが(笑)。
――講義の最後に「クリエイティブにはやさしさとゲラが必要」とおっしゃっていましたが、もう少し詳しく。
やはり、ゲラというのは、おもしろいことがわかるということなんで、わかろうとしていったほうが、何がおもしろいかというジャンルが増えてくると思うんです。そこにやさしさがなかったら、「こいつはいや」とか、人を勝手に差別してしまうような気持ちができてしまう。まず最初は前向きな気持ちが必要なことかなと思います。あと、最後にいいことも言うとかなあかんな、という気持ちもあって。「やさしい気持ち」と「ゲラ」については、普段から僕も心がけています。僕自身も、そういう風になれたんで、周りの環境ないしは遺伝子に感謝しています。そういう意味で先祖はすごいなと思うし、先祖を供養する仏教はええな、と思います。こうして因果応報をしているんやな、と。因果応報も、仏教の言葉ですし。
――これからクリエイティブを目指す人たちの前で講義をした手ごたえというのは?
YCCというところは授業料を取るわけで、授業料を取ってそれが僕のギャラの一部になるかもしれないわけですから、「入ってください」という思いを込めてしゃべりました。
――どんな人に来てもらいたいですか?
ちゃんと授業料を納めるような人に来ていただきたいです。
――昨年12月25日に出されたエロ小説『花びらに寄る性記』の反響は?
身近な芸人さんとかに配らせてもらってまして、その方からの反応は聞いています。ウーマンラッシュアワーの中川パラダイスが、新幹線での移動中に、東京駅から読み始めて、新大阪駅に着いた頃に読み終わったそうで、椅子から立とうとしても、勃っていたので立ちにくかった、と。そういう風な評価をいただいております。
――今回はエロ小説を出されて、今後も執筆活動をお考えかと思うんですが、次回は?
仏教の本を出したときに、「仏教系の本の第2弾を出してくれ」と求める声があったんですよ。今回のエロ小説については、そういう評判はまだ聞いていないんですけれど、第2弾の仏教、エロ小説の前に、やりたいなと思っている執筆が2つあります。ひとつはSM論文を書きたいな、と。あともうひとつは、僕、いじめを苦にして自殺する子はほんまに気の毒やと思うんですよね。そういう悪しき文化がメディアとかでも言われたりして、なかなかなくなっていかないと思うんですが、いじめられた子があまりにも不憫なので、いじめた奴らをほんまにスッとするぐらいお裁きする。それで、いじめた奴が「怖い!」ってなって、いじめがなくなる。若い子に向けて、そんな小説が書けたらいいなと思います。
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