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2012年2月14日 (火)

五代目文枝一門が立ち上がり、熊野記念碑を再建、「熊野復興寄席」開催!

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熊野地方が世界遺産に登録された記念に和歌山県新宮市から依頼を受け、故・五代目桂文枝が作り上げた渾身の創作落語「熊野詣」。2004年に発表した後、翌年3月に文枝が他界。同年5月には、文枝の絶筆となる文字「熊野川」を配した記念碑が建立され、以来、地元の皆さんや観光客たちに親しまれてきました。

しかし、昨年9月の台風12号で熊野地方が甚大な被害を受け、いまだ復旧・復興の途中に。そこで地元の皆さんの声、さらには7月16日に六代目桂文枝を襲名する桂三枝を筆頭とする五代目文枝門弟一同の思いにより、熊野復興支援を行うことが決定しました。既に1月には天満天神繁盛亭でチャリティー落語会を開催し、集まったお金を記念碑再建のために寄付。今回はこれに続いて、3月16日(金)に、熊野記念碑の再建・除幕式ならびに現地・新宮市民会館での熊野復興寄席が行われることになりました。

2月14日(火)の記者会見には、熊野三山協議会会長・和歌山県新宮市長の田岡実千年さん、新宮ロータリークラブ会長の植稔さん、五代目文枝一門より桂三枝、桂きん枝、桂文太、桂文福、桂文喬、桂坊枝、桂文昇、桂枝曾丸、弊社代表取締役会長・吉野伊佐男が出席。実現に至る経緯や支援への思いを語りました。

田岡市長は、「比較的雨の多い地域で、年間の降雨量が3000ミリ。ところが、この台風では72時間で1800ミリもの雨に見舞われた」と、被害の甚大さを紹介。本年を復興元年と位置づけ、なんとか市民の皆さんを力づけたいと思っていたところ、今回の「熊野復興寄席」が実現し、「一日も早い復旧・復興へ、決意を新たにしています」と述べました。植会長も、「復興寄席で、被災された皆さんに、少しでも笑顔を取り戻してもらえたら」との強い思いで取り組んでおられるとのこと。また、弊社・吉野は、「文枝一門の皆さんから『熊野復興の落語会を開催したい』と相談を受け、会社としても微力ながらぜひ協力させていただきたいと思っている」とコメント。東日本大震災時には、芸人・タレントのべ約400人が約100カ所の被災地を訪れ、笑いを届けてきましたが、「被災された方々への芸人・タレントの気持ちというものを、我々もなんとか実らせたいという機運が盛り上がっている」と述べ、今後もさまざまな“笑い”での支援を続けていくことを明らかにしました。

続いて、一門を代表して桂三枝より挨拶が。「『熊野詣』という創作落語を作ることは、ずっと古典で通してきた五代目にとって、非常にエネルギーが必要な作業だったと思う。それだけ熊野に思い入れがあって、取り組まれたはず」と、亡き師匠と熊野の強いつながりに言及。そして創作時、五代目文枝が新宮の皆さんにたくさんの応援をいただいたことから、「このたびの大きな被害において、我々にできる限りのことをやるのが師匠への恩返し。ひいては師匠を応援していただいた新宮の皆さんへの恩返しにもなる」と、復興寄席に込めた気持ちを明かしました。最後は「これをきちっとしなければ、六代目文枝を襲名するという意味もない」とキッパリ。市民の皆さんの期待に応えるべく、既に心は熊野へと向かっているようです。

きん枝は、「五代目が作られた碑が壊れてしまって、それを六代目が再建するということは、一門にとっても非常にいいこと」と一言。「周囲の建物がすべて流されているなか、少し傾いてはいたが碑が建っていたというのを聞き、我々も熱いものを感じた」といい、「同じ関西の人が被災されて難儀されている折に、できることを一生懸命させていただくというのが、うちの師匠の気持ちではないかと思っている」と締めくくりました。

今回の寄席に出演する文枝一門門弟からも、それぞれの思いが語られました。

桂文太
「師匠の遺作になった『熊野詣』は、私が受け継いでやらせてもらっています。熊野に参る登場人物2人が京都の人間ということで、京都出身の私がちょうどええんやないか、と。何年か前に新宮でやらせていただき、1月には繁盛亭でやらせてもらった。3月16日の舞台でかけるかどうかわからないが、楽しく面白い落語をご披露させていただき、復興に一役買いたいと思っています」

桂文福
「私も紀州の出身で、この地域には特に思い入れが強い。昨年12月には、天満天神繁盛亭で、『紀伊半島復興寄席』をやらせていただきました。今回も頑張りたい。私としては、昨日、新宮出身の田子の浦親方が亡くなったのが、涙の出る思いです。おそらく台風で辛かった新宮市民の皆さんが、今年とても期待してた人だけに、きっと悲しんでおられるはず。3月の落語会では得意の相撲の噺をさせていただき、新宮の皆さんを力づけ、明るい話題を提供していきたいです」

桂文喬
「新宮出身で、現在も新宮に住む大学時代の友人がいるが、台風以降、会えていないので、彼に会えるのも楽しみです。師匠の碑が再建された様子もしっかり見たいですし……。少しでも熊野の、とりわけ被災された皆さんのために、笑いでもって心の復興が少しでもできたらいいなと思っています」

桂坊枝
「師匠は晩年、熊野に魅せられ、足しげく通っていましたが、私も除幕式で初めて訪れ、本当に素晴らしいところだなと感動した。このたび台風でこのようなことになり、それを何とか元に戻すことへの、ちょっとでも力添えになれば、少し師匠の気持ちに近づけるような気がしてならない。微力だが、お世話になった新宮の皆さんとともにいい時間を過ごせたらうれしいです」

桂文昇
「師匠が亡くなる半年ほど前に、熊野三山など当地を一緒にめぐらせていただきました。そんな思い出の地が被害を受けたということで、心を痛めています。一日も早く皆さんが元気になれるよう、当日はひねてはおりますが、前座として一席させていただきます」

桂枝曾丸
「私も文福兄さんも和歌山が地元ですが、熊野からは遠い紀北(北部)の出身。しかし、同じ和歌山ということで、今回の被害に胸を痛めています。そこで、一門の先輩方に相談したところ、一丸となって頑張ろうとの言葉をいただき、今回の寄席実現に至りました。16日、そして翌日に県内3カ所で行う復興落語会が、一門にとって『落語家でよかったな』と思える日であってほしい。そして地元の皆さんにとっては、復興に向かう励みになってもらいたいと思います」

現在、新たにステンレス型に文字を起こし、作り直しているという記念碑も、2月中には完成する見通し。除幕式後は、世界遺産・熊野川を多くの人が訪れるよう、再び彼の地を見守っていきます。そして、新宮市、さらには和歌山の皆さんに大いに笑っていただき、復興への力を得てもらうべく、文枝一門が力を合わせる「復興寄席」にも、どうぞご注目ください。

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