桂かい枝の英語落語が全国各地の中学英語の教材に!
これまで世界16ヶ国93都市で英語落語の公演を行ってきた落語家・桂かい枝。2008年には約半年間、文化交流使として渡米し、アメリカ大陸を横断。現地の人たちと触れ合いながら『RAKUGO』を広めた『全米RAKUGO武者修行ツアー』を行いました。そして、そのゴールとなるニューヨークでは『ニューヨーク繁昌亭』を大成功に収めるなど、英語落語と『RAKUGO』を全世界に広めるための活動してきました。
そしてこの度、桂かい枝の英語落語と『全米RAKUGO武者修行ツアー』の模様が、教育出版発行の教科書『ONE WORLD中学3年生』ならびに東京書籍発行の教科書『NEW HORIZON中学3年生』に掲載、全国各地の中学校にて学習教材として使用されることが決定しました! 掲載されている噺は『動物園』という大正時代に作られた古典落語の英語版。何とこちら、オチは生徒さんが考えるような仕組みになっているのです。そして4月1日、桂かい枝が掲載に至った経緯や、その感想などを語る会見が開かれました。
桂かい枝「英語って文章なりセンテンスを記憶して、それを口に出すという練習の繰り返しで身に着ていくと思うんですけど、落語は当然、感情を込めて喋りますので、英語学習に向いていると思います。何より落語ですから一人で英会話の練習ができるんです。とってもすばらしいと思います! 英語落語がどういう形で授業に取り入れられるか非常に興味深いのですが、中学生の皆さんは教科書で初めて落語に触れるという方もたくさんいらっしゃると思うので、英語落語を通して落語に興味を持ってもらい、将来、落語を聴きに来てくれる方が一人でも増えたらいいなと思います。『動物園』のオチは生徒さんに考えてもらうようになっているのですが、いいものがあれば採用ということも考えています(笑)。どんな発想が出てくるのか、楽しみですね」
と、嬉しそうに語るかい枝。ところで、なぜ教科書に掲載されることになったのでしょう?
かい枝「半年間、アメリカに行っていたのが2008年だったんですが、ちょうど教科書の改訂時期だったようです。また、日本の文化を外に出すという大きな流れもありまして、そういう中で落語をアメリカ人に伝えようとしている人間がいるということで、2つの出版社から声をかけていただきました。また、教科書用に執筆してくださった関西大学の田尻悟郎先生が非常に落語がお好きで、僕の繁昌亭の会にもよく来ていただいていまして、ぜひ教科書に取り上げたいとおっしゃっていただき、形になりました」
なお、英語落語が教科書に掲載されるのは、実は2度目のこと。1度目は桂枝雀さんのネタ『ロボットしずかちゃん』(小佐田定雄作)が高校の教科書に掲載されたことがあるそうです。また、今回掲載される『動物園』という古典落語ですが、やはり現地の方にもウケのいい噺だそうです。では、どんなシーンがウケるのか、聞いてみたところ…。
かい枝「日本語で口演する時とほとんど同じですね。日本語では、檻の中からトラが子どもに『パンをくれ』と言うシーンがあるのですが、そこを外国では『ドーナツをくれ』に変えています。そのシーンもよくウケますし、『トラがものを言うた』というところもウケます。もちろんオチもですね。ストーリーのあるものは、国が違ってもちゃんと伝わるんだなと思います。また、これは有名なエピソードですが、『動物園』は元々イギリスの小話で、大正時代に桂文之助が創作したと言われています。ある意味、ウケて当然といえば当然かもしれませんね(笑)」
そして、英語落語はライフワークの一つと話すかい枝。これまでこつこつと実績を積み上げ、そうして教科書への採用という形で、今回、注目されることに。改めてこれまでの活動についての気持ちを聞きました。
かい枝「本当に英語が好きなんですが、僕は特に留学した経験もないし、基本的に日本でしか勉強していません。ネイティブ並みにも喋れませんが、ちゃんと目的を持って英語を勉強して、準備をすれば、外国の人を大いに楽しませることができると海外公演では実感しています。日本人が日本の教育の中で英語を勉強して、それを道具として使って、日本の文化を海外に紹介する。そういうことが落語でも可能なんだと示すことができたかなと思っています」
今後、ますます活動の幅を広げていきたいというかい枝。最後に今後の予定を聞いてみました。
かい枝「8月に(笑福亭)鶴笑兄さんとイギリスのエジンバラに行って、落語を中心としたコメディショーを行う予定です。それは、一つのエンターテイメントとして現地の方々に買っていただけるようなものを作れたらいいなと話しています。文化紹介だけでなく、お金を払って観にきていただけるようなものを何か作れたら。よしもとも今後、世界進出すると思うので、そのチャンスになるんじゃないかなと思います!」と、意気揚々と語りました。
ちなみに、会見では英語落語での『動物園』を口演してくれました! なるほど、こういうふうに見えるのかと、英語の授業さながら勉強なりました!
【桂かい枝】【笑福亭鶴笑】