「吉本百年物語」8月公演に出演の松尾貴史さんに直撃インタビュー!
8月11日(土)に幕を開ける吉本興業創業100周年記念「吉本百年物語」8月公演「わらわし隊、大陸を行く」。今回は、昭和13年、中国大陸へと派遣された出征皇軍慰問隊演芸班「わらわし隊」にスポットを当て、命をかけて兵士たちに笑いを届けたワカナ・一郎(水野真紀さん、木村祐一)らの葛藤や奮闘を描きます。松尾貴史さんが演じるのは、バイオリン片手に歌う『のんき節』で一躍人気者となった石田一松。「自分と重なるところもある」という個性的な人物像から舞台の見どころまで、根掘り葉掘りうかがってきました!
――「わらわし隊、大陸を行く」では、実在した芸人を演じることになります。
「コントでその人のふりをしたり、モノマネをしたことはありますが、それとはまた違うので……当時を知っている方もあまりおられないでしょうから安心はしていますが、その時代の空気感みたいなものを、どうやって出したらいいのかな、と考えているところ。広島生まれで、東京で仕事をしていて、それから吉本に入ったという人なので、言葉をどっちにしたらええのかもわからない。せっかくいろんな芸人さんとからむんだから、ちょっと関西弁でやってみたいなというのはありますけどね」
――石田一松については、以前からご存じだったんですか?
「名前だけは知っていました。『のんき節』などの歌は、皆さんも耳に馴染んでいるんじゃないかな。お上に対して不満があっても戦時中だから言いにくい、そんな時代に『ただの歌ですから』とごまかして面白おかしく表現していたわけじゃないですか。そういう部分は、自分と似ているのかなあと思います」
――実際はどんな人物だったんでしょう?
「一松さんは日本で最初の芸能人代議士になった人。もちろん社会に対する義憤は持っていたと思うんですけど、自らが立候補してしまうなんて、俗っぽい欲望もあったのかなと。『人気出てきたから通るで!』みたいな軽い気持ちでね。愛に囲まれて育ったという生い立ちでもないようなので、世の中に対する仇討ち的な気持ちで権力者になろうとしていったのかも。とても人間的な人だったんじゃないかという気がしています」
――そんな一松を、どのように演じたいと考えていますか?
「『におい』が出せたらな、と。もちろん『楽しかったなあ』と言って帰ってもらわなアカンので、そういうことには微力ながら気張りたいと思うんですが、世界観の説得力の材料にもなりたい。単に衣装や背景だけではなくて、しゃべり方なのか何なのか……とにかく、その時代や人物の『におい』を出すことが、やっぱり大事やと思うんですよ」
――ちなみにネタはバイオリンを弾きながらだったそうですが、舞台で再現は……。
「それ、どうしたもんかなと思って(笑)。さすがにバイオリンは、今からではもう無理ですからね。まだ実際のネタをやるかどうかもわからないので、まあ、本番まで楽しみにしておいてください」
――続いて、主演のおふたりについて聞かせてください。
「水野さんとは、僕が彼女の舞台を見たり、僕の舞台を見に来てくれたりというお付き合いで、共演は初めて。庶民的な役作りをされていても、隠せない気品みたいものがある人なので、ミスワカナに通じる“芸人の華”みたいなものも、しっかり出しはるやろうなと期待しています。キム兄は演技が省エネ(笑)。風貌もあると思うんですが、お客さんのイマジネーションをかきたてて、『何考えてるのかな?』と思わせる。フッと省エネで演じて、お客さんに効果大、みたいな。すごく地球にやさしく目つきのキツイ芝居をする人です(笑)」
――会場となるなんばグランド花月に立つのは初めてですか?
「実は20数年前に、文珍さんの独演会に出していただいたことがあります。打ち合わせと称して麻布十番ですっぽん鍋を食べさせてもらいました。隣の席にたまたま志村けんさんがいらっしゃって、打ち合わせにならなかった思い出が(笑)。そのときは落語家のモノマネと漫談をやったと思いますが、あまり覚えてなくて。今回は1カ月の公演ということで、急に出演記録が伸びますね」
――やはり他の劇場とは違うな、という部分があるのでしょうか。
「さっきまで演芸やってました、という場所で芝居をやるんですから、面白いですよね。通常の演劇ファンではない人たちが来られる率が高いかもしれないし……とても楽しみです」
――では最後に、ズバリ今回の舞台の見どころを教えてください。
「それはもう、ワカナ・一郎の漫才でしょう!(笑) 僕はそれを見て、ひっくり返りたいと思っています。そういえば、(山内)圭哉が林正之助会長っていうのもすごい。芸人をまとめるのに必死で、ずっとオロオロしてる役かも。あいつ、一番おいしいんちゃうかな(笑)」
ピリリと毒をきかせた笑いで一世を風靡した石田一松を、松尾さんがどのように現代によみがえらせるのか、今からワクワクしますね。出演者のチームワークもバッチリの8月公演「わらわし隊、大陸を行く」は、これからいよいよ本格的な稽古がスタート。どうぞご期待ください!
吉本百年物語 8月公演「わらわし隊、大陸を行く」
脚本:長川千佳子
演出:佐藤幹夫
出演:水野真紀、木村祐一、山内圭哉、松尾貴史ほか
公演日:8月11日(土)〜9月2日(日)※8月13・14・25・26・27日を除く
開演時間:平日・土曜・祝日19:00(開場18:30)/日曜16:00(開場15:30)
会場:なんばグランド花月
料金:全席指定 1階席6000円 2階席5000円
※チケット好評発売中!
お問い合わせ:チケットよしもとお問い合わせ専用ダイヤル ☎0570-036-912(10:00〜19:00)
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