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2012年8月 4日 (土)

「三枝改メ六代桂文枝襲名公演」が、東西落語界の大御所を迎え盛大に開催!

桂三枝が六代桂文枝を襲名することを発表して1年。
遂に、69歳を迎えた2012年7月16日、「三枝改メ 六代桂文枝襲名公演」が、なんばグランド花月で賑々しく開催されました。

トップバッターは、三枝門下の桂三歩が師匠作の創作落語「私がパパよ」を披露。
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続いて登場した弟弟子の桂文珍は、開口一番「ずっとアンちゃんが引っ張ってきてくれました」。
そして、東京と大阪で行われた襲名披露パーティーの様子の違いで笑わせた後は、
男女の艶っぽい噺「風呂敷」を表情豊か、滑稽味たっぷりに聴かせます。
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また、東京から来演の桂歌丸は、歌舞伎小屋を舞台にした「鍋草履」をさらりと好演。
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さらに、三遊亭圓歌の十八番「中沢家の人々」は、家族への愛情を毒気交じりのユーモアで描き出しました。
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仲入り後は、いよいよ口上です。

幕が上がると、拍手が鳴りやまず、「待ってました!」の掛け声も。
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東西の落語界の重鎮が居並ぶその後ろには、六代文枝の母校である関西大学から贈られた紺色の祝い幕が飾られました。
まずは、上方落語界の最長老・笑福亭松之助がご挨拶。
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一緒に居候をしていたという先代の五代目文枝との思い出を語った上で、
「非常に優秀な由緒のある名前を、師匠の名前はちゃんと継がないかんというので三枝君が継いでくれるというのは誠に嬉しいなと思ております。
加えまして、彼が大阪に天満天神繁昌亭をこしらえました。これからも、新しい文枝君は大阪の落語のために尽力してくれると思います」
と話しました。

続いてのご挨拶は、落語協会最高顧問の三遊亭圓歌。
「三枝さんが『今度文枝になるんですよ』と聞いた時に、凄い決意をしたと思いました。
落語家というものは、自分が持ってきた名前を大いに売り出したいというのが本当の気持ちです。
西では桂米朝、東では林家三平。
この両名は名前を替えないで一代で来ております。
三枝さんも一代で天下を取った男です。このままいても人様は何とも言わないと思います。
でも、師匠の名前を継げる。これが弟子としての本当の喜びです。
私も40何年前に襲名した時に、圓歌という名前を知らなくても歌奴は知ってるお客様がいっぱいおりました。
1年か2年は本人もご苦労なさると思います。
私ども襲名をしております連中にとりましても、良きライバルができあがりました」
とエールを送りました。

引き続き、ご挨拶が続きます。
上方落語協会相談役の笑福亭仁鶴は、
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「三枝君が名跡である文枝を襲うという決意をしまして。今日に至るまで気苦労があったと思います。聞けば、体重が落ちたと。今どのぐらいやと聞いたら、38kg…になりそうやと」
と笑わせつつ、
「文枝の名跡というものは5人のお師匠さん方が築かれてきた名前でございますので、重たいのは間違いありません。
この名前に馴染むまでには年月が必要。昭和から平成になった時は、どうも受け入れられませんでしたが、今やそれが普通になりました。
それとよう似たもんで、歴史が付着してくると自然になってくる訳です。
本人も努力するでしょうが、何よりはお客様方の励ましの言葉が一番栄養になってエネルギーになります。 皆様、ご贔屓賜りますように」。

落語芸術協会会長の桂歌丸は、
「7月16日は、ご本人にとりましてはもう一つのお目出度いことがあります。
 80回目?90回目のお誕生日? 文枝師匠は創作落語で人気を博していらっしゃいます。
 文枝という大きな名跡をお継ぎになって、ますます創作落語に磨きがかかることだろうと期待をいたしております。
 東京の落語家も文枝師匠からお稽古してもらって盛んにやっている人がおりますが、本人の足元にも及びません。
 文枝師匠が持っている創作落語が数百本で、それが全て爆笑落語だともうかがいました。
 これは凄いことだと思っております」
と、六代文枝の功績を称えました。

上方落語協会筆頭理事の桂ざこばは、まず先代文枝のモノマネも交え五代目との爆笑エピソードを披露。
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そして、
「私は凄いなと思います。桂三枝という名前を全国、いや世界にも広めてきはって。
こんな大きな名前を捨てて師匠の文枝を継ぐ。これは凄く勇気のいることですね。
会社の名前を替えるようなもんです。そら不安やと思いますけど、今日でも立派な六代文枝になっていると思います」
と語り、最後は
「文枝共々、ざこばもよろしくお願いします」。

口上のトリを飾ったのは、上方落語協会相談役で大御所の三代目桂春團治。
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「この度、先代の筆頭弟子に当たります三枝君が、六代桂文枝を襲名したします。
本当にめでたいことでございます。
私と五代目とは、桂米朝さん、そして亡き六代目笑福亭松鶴さん共々、手を取り合って、上方落語滅亡かという危機を乗り越えて頑張って来ました。
その名前がなくなり、寂しく思っていましたところ、三枝君が文枝を襲名するという話を聞きまして、青春に戻ったような気がいたします。
また、上方落語協会の会長に、師弟で就任されたことはかつてないことです。これも、五代目と六代が優秀であるという証拠です。
六代目と申しますと松鶴兄貴のことを思い浮かべますが、これからは六代といえば文枝だと言われるように頑張っていただきたいと思います」
と締めくくりました。

続いて、林家染丸と弟子の染弥、笑丸によるめでたい舞踊「松づくし」が披露されました。
最後には、「祝 六代文枝誕生」の垂れ幕も登場し、お祝いムードは一層盛り上がります。
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そして、三代目桂春團治が「お玉牛」を口演。
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計算され尽くした仕種やハメモノに合わせた豊かな表情と、年齢を全く感じさせない活き活きとした高座で、文枝襲名に花を添えました。

そして、いよいよ新出囃子「本調子・中の舞」で六代桂文枝が登場です。
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割れんばかりの拍手で迎えられると、
「生まれて初めて口上の真ん中に座らせてもらって、疲れるもんやと分かりました。
 噺家になって一言もしゃべれへんかったのは初めてです」
と、いきなり客席を沸かせました。
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襲名直前まで超多忙なスケジュールだったそうですが、それも笑いに変え、
自身が作った創作落語228作目で、襲名後初の作品となる「さよならサニー」へと入っていきます。

妻を亡くした中年男性が、家族との思い出が詰まった家を離れ、マンションへと引っ越すことになりました。
しかし、愛犬のサニーは大型犬とあって、マンションでは飼うことができず…。
実は「サニー」という名前は、文枝が「ヤングオー!オー!」に出演した頃に名乗っていた愛称。
中でも、噺の中でホロリとさせられたのが、父親が愛犬・サニーに語りかける場面。
文枝が紡ぎだす台詞は、「三枝」という名前に対する深い愛着の情がこもり、また「文枝」を襲名する決意表明のようでもあり…。
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まさに、この晴れの日にふさわしい、感慨深い演目となりました。

カーテンコールで再び登場した文枝は、
「今日から文枝としてやっていきます。よろしくどうぞお願い致します」
と深々と頭を下げました。
鳴りやまない拍手に再び幕が開くと、そこには五代目文枝一門と、六代文枝一門34名が勢揃い。
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代表して桂きん枝と桂文珍がご挨拶をしました。
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そして、3度目のカーテンコールでは、
「本当に今日はありがとうございました」
 と手を振る新文枝。晴れがましくも、清々しい表情が印象的でした。
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「三枝改メ 六代桂文枝襲名公演」プログラム
桂三歩「私がパパよ(桂三枝作)」
桂文珍「風呂敷」
桂歌丸「鍋草履」
三遊亭圓歌「中沢家の人々」
仲入り
口上(司会・桂きん枝)
<出演>六代桂文枝、三遊亭圓歌、桂春團治、笑福亭松之助、桂歌丸、笑福亭仁鶴、桂ざこば
「舞踊 松づくし」(林家染丸、林家染弥、林家笑丸)
桂春團治「お玉牛」
六代 桂文枝「さよならサニー」

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