「我々のプレゼンもひと工夫が必要」ピース・又吉宣伝部長、『笑いと平和の百冊シリーズ』公開プレゼン祭りで反省!?
8月7日(火)、東京・神保町花月にて『笑いと平和の百冊シリーズPresents「真夏の朝の読書会」「目指せ書籍化! 公開プレゼン祭り」』が行われました。
ご賛同いただいた出版社とともに“笑いと平和”をテーマとしたよしもと芸人&弊社にまつわる書籍&ムックを百冊出版するという、こちらの書籍シリーズ。エマミ・シュン・サラミ著書『イラン人は面白すぎる!』を皮切りに、さまざまな本が続々と出版中です。
この日開催されたのは、『「真夏の朝の読書会」「目指せ書籍化! 公開プレゼン祭り」』と銘打たれたライブ。
舞台中央にピンスポットがあたるなか、同シリーズ宣伝部長のピース・又吉直樹が着物姿で登場します。薄暗いなかに着物姿の又吉……。「怪談話をするみたいですけど……」と本人がためらうのもうなずけるほどの不気味な雰囲気に、客席もざわめきます。
「今日は今まで自分で書いたものから朗読を命じられました」と語る又吉は、『第2図書係補佐』(幻冬舎・刊)という自身の体験を交えて本を紹介していくエッセイ集から、尊敬する古井由吉さんの『杳子』を紹介した文章を読み上げました。
なぜ、この文を読むことにしたかというと、「10年前の8月6日から始まる話だったから」だとか。ある神社に植えられていたある木から青い実が落ちた瞬間、同じ場所で見ていた見知らぬ女性に声をかけ、親しくなっていく様が切なくも鮮明に描かれていたエッセイなのですが、読み終わった又吉は「昨日、その木を観に行ってきたんですけど、(落ちた実は)どうやら柿でした。……読めるものは本だけではありません。今朝買ったファミリーマートのレシートを読もうと思います」と、レシートの項目を読み始めます。
そこへ現れたMCのあべこうじによって静止された又吉。「なんでレシート読むのよ?」と問われ、「恥ずかしくて……」と照れくさそうです。
昨晩、その場所へ仕事終わりに向かったという又吉。今日のために、その場所で朗読の練習をしている最中、気配を感じて振り返ったら、建物の一室のカーテンの隙間から観てる人がいたとか。又吉らしいエピソードに、会場から笑いが起こりました。
又吉の朗読について、「よかったですよ。雰囲気があって」とあべ。「自分の思いがわかっているから(読んでいても気持ちが)乗ってくるのかな。聞いている分には心地よく、涙が流れるような、笑顔がこぼれるような感じでしたよ」というステキな感想に、又吉の顔から自然と笑みがこぼれました。
又吉の朗読後は、「目指せ書籍化! 公開プレゼン祭り」がスタート。我こそは本を出したい!と自信満々の芸人たちによる書籍企画の公開オーディションに臨みました。別室には、全26社38名の出版社&書店の方々が集結してくださいました。レポーターを務めるミルククラウン・竹内は「非常に大人な雰囲気です!」と実況。前回のプレゼン大会では出演芸人全員の企画に出版社が賛同したとあって、又吉宣伝部長も気合い十分です。
まず登場したレギュラーは、「宮古島ガイドブック」をプレゼンします。
1年間、宮古島にて生活していた経験を武器に、ハイシーズンである7~8月以外での楽しみ方を本にしたいという2人は、漫才師らしい見事な掛け合いで観客を引き込みます。そんなレギュラーのプレゼンに、2社からオファーが。JTBパブリッシングの担当者からは「最初は、るるぶの別冊ふろくでいかがでしょう? 当たれば大きい企画だと思います」という提案も。幸先のいいスタートに、又吉も安堵の表情を浮かべます。
ですが、続くオモロー山下は、ぐだぐだのプレゼンに。「山下本気うどん」というお店を自らオープンするほど、うどんが大好きな山下はうどんについての書籍を出版したいようですが、「エビ天がXになってる」などと、ただうどんの種類を紹介していくだけで、企画の的を射ません。
さらには自らを“うどんソムリエ”と称し、「食べたい場所と血液型を教えてくれたら、その人に合ったオススメのうどんをお伝えします」と豪語するも、お客さんから仙台を指名されて困惑。「関東、関西、香川でお願いします!」と限定して、再びお客さんから「有楽町」というお題をいただいたにも関わらず、「有楽町……?」と固まってしまう始末。慌てて「ゆであがりました!」とどこかで聞いたことのあるようなフレーズを決めゼリフにオススメのうどん店を紹介するも、出版社からはオファーなし(書店の方が1人札をあげてくれました)。あべからも、「全編通して、プレゼンが下手!」と容赦ないダメ出しを受けていました。
又吉の推薦枠での登場となったのは、タモンズ・大波康平。相方・安部浩章も「お金の匂いを嗅ぎ付けた」と一緒に舞台へ立ちます。
大波は、12歳までの超絶貧乏生活を「貧乏自叙伝」として発表したいとプレゼン。「ファミコンを買ってくれと言ったら、おばあちゃんから段ボールで作ったコントローラーを渡された」「冬に寒いと言ったら、“これを巻いていけ”とカーテンを渡された」など想像を絶する貧乏話を時間の許す限り語ると、「おもしろかった」という1社からオファーの札が挙がりました。
推薦枠2人目は、ミルククラウン・ジェントル。「サッカーのデータが欲しい時は、芸人はこぞって彼に訊きます。彼にサッカーの本を書いて欲しい」と又吉の絶賛を受けて登場したジェントルは、ライト層に向けたさまざまなサッカー知識を披露します。
プレゼンの的確さに観客からは拍手が起こったものの、出版社からのオファーは0本。「もう少し専門的な内容のほうがいいかなと思います」という出版社の方からの意見を受けて、食い下がるあべは「次につなげるためにも、帰りにさっきの出版社の人をつかまえよう」と、ジェントルへアドバイスを送っていました。
ソラシド・本坊元児は、自らの過酷なバイト経験を書籍化したいとプレゼン。日雇い、解体工事、搬入……などの肉体労働を、今も月20日行っているという本坊。自身のTwitterに書いてある「関東ローム層固い」「ユンボ使えや(注:運転免許を誰も持っていない現場だったそうです)」など日々の叫びを紹介すると、「現代のルサンチマン的なものを感じた」と1社からオファーが。「一緒に解体作業を体験することになるかもしれませんよ?」というあべの問いかけにも、「望むところです!」とキッパリ。頼もしい編集者を味方につけることに成功しました。
イシバシハザマ・硲洋平は、パンのレシピ本についてプレゼン。「食べたいパンが売ってなかったから作り始めた」という硲。出版社&書店のみなさんに自らが作ったパンも試食いただきながらプレゼンするも、出版社からのオファーは0本。唯一興味を持ってくれたのは、紀伊國屋書店の書店員。山下の企画にも札を挙げてくれたため、あべは「山下さんのと抱き合わせで、“粉もん、ゆであがりました!”っていう本でどうですか?」と新たな提案を試みていました。
「このプレゼンに参加するために、わざわざアメリカから帰って来た」と息巻く野沢直子は、「こういう小説を書きたい」とイメージ映像を使った斬新なプレゼンを披露します。
小説のタイトルは『あまね』。「反抗期の子どもがいるんだけど、どうして反抗期があるのかなって思ったところから構想した」という説明に、「おもしろそう!」と食いつくあべ。「やだぁ? そう? 札が見えるー!」と自信満々の野沢は、見事に1社のオファーをゲット!「読ませていただいた上での判断になると思いますが……」と語る編集者に、野沢は「もう全部書いています!」とキッパリ発言。驚くほかの出演者に「何も書いてなくて、ここへ来てるの? お前ら~!」と喝を入れていました。
イベント終了後の囲み取材で、本日の成果を訊ねられた又吉は「思ったよりも厳しかった」とコメント。「もうちょっとノリで(札を)挙げてもらえるかなと思いましたけど、ライブの最中にシビアな結果が出てしまった」と残念そうに語ると、「もっと本屋さんが挙げてくれるかなと思ってたけど、けっこう渋ってたね」と野沢。
「コメントを振られるのが嫌やったから(札を)挙げなかった人もいたらしくて。我々のプレゼンも、もうひと工夫必要なのかなと思った」と、宣伝部長らしく反省していました。
「笑いと平和の百冊」シリーズでは8月の1ヵ月間、全国300書店にて夏のフェアを開催中です。開催書店には「笑いと平和の百冊」シリーズコーナーが設置され、宣伝部長の又吉のポスターやポップなどが店頭に彩られています。公式サイトでは、又吉デザインの特製ブックカバーのプレゼントも実施中です。公式サイトともども、開催書店もチェックしてください!
●笑いと平和の百冊シリーズ
公式サイト:http://www.yoshimoto.co.jp/100th/books/
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