【ライブレポート】ビッグポルノ〜アメイジング〜
8月8日(水)、東京・新宿MARZにて『ビッグポルノ〜アメイジング〜』が開催されました。
ビッグポルノとはご存知のとおり、吉本新喜劇座長を務める小籔千豊とレイザーラモンによるお笑いヒップホップユニット。“伝統のエロスのコラボレーション”をテーマに、本気で表現したいコントや下ネタ満載の過激かつクールな楽曲を披露するなど、コアな活動を繰り広げています。
アーティストとしては、2010年に「KING TIGER」でメジャーデビューを果たした後、2011年にセカンド・シングル「La buffo」をリリースしています。
イベント前には、TOKYO No.1 SOUL SETのBIKKEさん、そしてハクシュウさんが登場。前説らしく「関係者はお酒いっぱい飲んで、お金使ってください! ケータイ切ってください」と客席に語りかけるBIKKEさんでしたが、ハクシュウさんへふと「でも、撮影オッケーにしたほうが、ビックポルノも広まると思うんだけど、どう思う?」と問いかけます。ハクシュウさんも「まぁ、隠れて撮るくらいのほうがこれは面白いんじゃないっすか?」と返すなど、非常にゆる〜い雰囲気のなか、ライブはスタートしました。
宇都宮まき、今別府直之、男前による弟分ユニット「スモールポルノ」、楽曲すべてを手がけるspeedometerさんとともに、登場したビッグポルノの面々。
「テレビ、ロンドンオリンピック、インターネットなどの楽しみがあるなか、貴重なお時間を我々に割いていただいて、ありがとうございます。新喜劇と同じくらいマジメにやってるユニットです。いや、NHKの『基礎英語』も真剣にやってます!」と真摯に語りかけながら、1曲目「KING TIGER」を歌い出したメンバーでしたが、小籔が突然静止します。
「緊張のあまり、大事なことを忘れていました」と笑いながら、「僕たちには欠けてる部分があります」と話し始めます。
「ミュージシャンの方には“曲はカッコいいのにね……”と言われます。speedometerさんの曲はいいのになぜ売れないのか考えた時に、つたないラップで下ネタを歌っている僕らには、ファンキーさが足りないんじゃないかなと思いました。このライブでは、そんな僕らと一緒に活動してくれたらいいなという人をお招きしています。その人を紹介せずに、始めるところでした」と舞台へ招いたのは、世界的にも著名なヒューマンビートボクサーのAFRAさん。「NHKの自分の番組紹介して、僕をスルーしてる(笑)」とAFRAさんにからかわれながら、「今年のコヤブソニックでは、このメンバーでいきます!」と高らかに宣言しました。
まずは「KING TIGER」「BUG IN NOW」「OH! SHIT REAL」「珍言 Oh! 名言」を立て続けに披露。AFRAさんの素晴らしいパフォーマンスを間近で体験した小籔は、「ちゃんとした人が入ると、こうも違うのか」と思わず嘆息。メンバー紹介では、スモールポルノの今別府が大阪で大人気(?)のギャグを披露しました。
続いて、「Wake Up People」「All Night Need」「CLICK TRUTH」「SUNRISE SUNSET」を熱唱。「SUNRISE SUNSET」では客席に降りて、男性のお客さんへプロレスパフォーマンスを見せるレイザーラモンRG。楽しそうにノってくれたお客さんに目を合わせた小藪は、笑顔でペコリとお辞儀。座長らしい細やかな気配りが光りました。
ここで、一昨日できたばかりという新曲「Tea! Tea! No! oh…喫茶?」を紹介。小籔が大きく書き出された歌詞を見ながら説明していきます。女性のある身体的な特徴について綴られた歌詞なのですが、「小3のうちの子どもにも大きいほうがええと、すでに思わせている現状に腹が立って。大人になった時、もし小さかったら困るやんけ! どうしてくれるねん!と思ってできた曲です」とメッセージ性を強調しました。
初お披露目となった「Tea! Tea! No! oh…喫茶?」は、speedometerさんが手がけた耳馴染みのいいトラックと、笑い&メッセージが詰めこまれた歌詞が見事に融合した注目作です。小籔も「コヤソニ前には発売したいと思っています。オリコン20位以内、狙ってます!」と自信をのぞかせました。
続いてのコーナー「歌ネタの先輩にお話を聞いてみよう」では、ゲストのmckj、永井佑一郎、レギュラー、ムーディ勝山が登場。
小籔がMCを務める音楽と笑いが融合した番組『バカソウル』で人気者のこりゃめでてーな・大江ことmckjは、自作のラップを披露。永井佑一郎は久しぶりにアクセルホッパーネタ、レギュラーは人気を博した“あるある探検隊”、ムーディ勝山は200万以上のダウンロード数を誇る一世を風靡したあのネタで、会場を沸かせます。
その後は、それぞれが「このネタをやっていてよかったことや大変だったこと」を発表しました。
有名人がファンになってくれたエピソードや、番組収録での思いも寄らないハプニングを語るゲストたち。そんななか、大阪のクラブで「テレビを利用してんじゃねぇよ」と若手のラッパーに絡まれたというのは、mckj。ラーメンとつけ麺を例に出して理論的に攻めるmckjが圧倒し、最後は相手がおいしいつけ麺屋を教えてくれるというかたちで仲直りできたそうですが、「今の話、カチンと来た!」と息巻く小籔。「なんやそれ。今度そんなんあったら、言うてきぃや。俺は何もでけへんけど、ラッパーのえらいさんにチクるから」と、後輩思いの優しい一面をのぞかせていました。
大ブレイク後、人気が急落してヒマな日々を送っていたというムーディ勝山。1ヵ月のスケジュールが真っ白だったこともある彼はある日、ケンドーコバヤシらと居酒屋へ行き、クエン酸サワーなるものを頼んだそうです。「これ、忙しい人ほど酸っぱさを感じるらしいんですけど、コバヤシさんは口をつけた瞬間、“うわっ! 酸っぱい。アゴが痛い”と言い出したんですよ。でも、僕にはただの水にしか感じられませんでした」という悲しいエピソードに、笑いが起こりました。
ゲストの話を静かに聞いていたHGこと住谷は、感想を訊かれて「みんな、実力がある」とポツリ。「そうやな。みんな面白いけど、宝を見つけてしまったばかりに人生が狂ってしまった」と続けた小籔は、HGを指しながら「こいつはなんにもおもんない。ただただマジメなヤツで、池乃めだかさんにも“あいつおもろいな”じゃなく“あいつ、芝居できるな”という誉め方をされた」と笑います。「そうなんです。だから、僕はあのキャラを見つけてよかったんやと思います」と、最後までマジメに答えるHGでした。
コーナー後には、お客さんへのプレゼント大会を実施。レイザーラモンRG賞が当たった男性には、その男性限定の“あるある”をプレゼント。周囲のお客さんからは「いいなぁ!」と羨ましがる声が聞かれました。
エンディングでは再び、新曲「Tea! Tea! No! oh…喫茶?」を熱唱。AFRAさんとゲストによるスペシャルコラボに会場が沸くなか、伝統芸にしたいというレイザーラモンHG(というより住谷?)全力の「フォー!」で、イベントは締めくくられました。
後説的おまけコーナーでは、レイザーラモンが漫才を披露。RGのネタをベースにしたそれは、2人のコンビ愛を感じさせる結末に。肩を組んで舞台を去っていく2人の姿に、思わずじーんとしてしまいました。
●イベント情報
ビッグポルノ〜アメイジング〜
日時 8月29日(水) 開場/19:30 開演/20:00
会場 大阪・心斎橋JANUS
料金 2,500円(オールスタンディング)
出演者 ビッグポルノ、スモールポルノ、DJ・speedometer
ゲスト AFRAほか
●コヤブソニック2012
日時 9月29日(土)30日(日)
会場 大阪・舞洲コヤブソニック特設会場
料金 1日券=6,900円 2日通し券=12.000円
公式サイト:http://www.koyabusonic.com/