【ライブレポート】吉本ラグビー新喜劇2012
昨年9月に上演され、大好評を博した『吉本ラグビー新喜劇』が今年も帰ってきました! 芸人を中心に、ラグビーを愛するメンバーが一堂に会する、笑いとラグビーのコラボレーション。2回目となる今回は、9月4日(火)なんばグランド花月にて開催されました。10月28日~11月4日に行われる『2012ゴールデンオールディーズ・ワールドラグビーフェスティバル福岡』に向けて結成されたホストチーム「JAPAN LEGENDS」から、難波英樹選手(元トヨタ自動車ヴェルブリッツ・CTB)、網野正大選手(NECグリーンロケッツ・コーチ)、田沼広之選手(リコーブラックラムズ・アドバイザー&採用)、中村直人選手(元サントリーサンゴリアス・PR)、淵上宗志選手(元コカ・コーラウエストレッドスパークス・SO)が参加。さらに、ラグビー解説でお馴染みのジャーナリスト・村上晃一さんやラグビー実況ならお手のものの井上雅雄アナウンサー(MBS)など、ますます強力になった布陣で、新喜劇やトークを繰り広げました。
物語の舞台は、とある街。ライバルの花月一高にふがいない負け方をしてしまった吉本高校ラグビー部が、主力部員の退部騒ぎや顧問の入院など逆境をはね返し、再び前へと歩み始めるという青春ストーリー。豪華キャストが次々と登場し、客席からは、歓声と爆笑が絶え間なく沸き起こっていました。
公園でたむろしてタバコを吸おうとしている部員の松浦真也とタックルながい。に、通りかかった中華料理店の未知やすえは激怒。NGK土建の社長(池乃めだか)とともに厳しく注意しますが、同じく部員である自らの弟・直樹(シャンプーハット・小出水)も酔って帰って来て「オーマイガットトゥギャザー」を連発する始末。OBであるNGK土建の二代目・川畑泰史らが聞けば、ライバルの花月一高に大敗したとのことで、みんな意気消沈している様子です。しかも、チームの主力である真栄田(スリムクラブ)が、理由も告げず退部すると言い出したからさあ大変! 一方、末成由美扮する謎の女社長が、「背が高くて色の黒い高校生」を探していますが、それはいったい誰のことなのか……?
ここで花月一高のラグビー部員つばさ・きよしが登場。ふたりが呼び込んだ仲間は、ご存じ「JAPAN LEGENDS」のメンバー5人です! いったんお芝居を中断し、さっそく自己紹介コーナーへ。ラグビーに詳しい芸人たちからさまざまなマル秘エピソードが披露されたほか、中村選手は自身が営む酒店「なおかつ」を繰り返しPRするなど、予想外の展開に客席は大いに盛り上がっていました。
どうやら吉本高校の不調の理由は、コーチの内間(スリムクラブ)が病気療養中で指導できないことのよう。点滴をしたまま部員たちのもとへやってきた内間は、自分がいない間、練習を見てくれる特別コーチを連れてきたと告げます。それがなんと、『スクール・ウォーズ』の熱血先生役でお馴染み、山下真司さん! 思わぬビッグゲストに、会場は大きくどよめきます。さっそくコーチとして真栄田を説得する山下さんですが、彼が出した条件は「イソップ(『スクールウォーズ』に登場するラグビー部員と同名)が逆上がりを1回すること」。イソップとは部員のひとり、Mr.オクレ。その弱々しい体躯はもちろん、舞台には鉄棒もありません。すると、網野選手と中村選手が、その鍛え上げた腕で「腕鉄棒」を作って協力を! 周囲からは「絶対ムリ!」と心配されたオクレでしたが、なんとか成功させ、大喝采を浴びていました。
新たなコーチがやってきたことで、「これで大丈夫」と気を抜く部員たちを、山下さんは「くやしくないのか!」と叱咤。気合を入れるべくビンタをしているところにやすえが戻り、「うちの弟に何すんの!」と誤解によるケンカが勃発。うっかり山下さんが「この白ブタ!」と口を滑らせてしまい、やすえのスイッチがオン! あまりのキレっぷりに山下さんは「すいません! もうノーサイドにしてください」とギブアップ宣言。しかし怒りの収まらぬやすえは、さらに「JAPAN LEGENDS」メンバーにも妙に詳しい個人情報をおりまぜながら強烈なツッコミを。最後は中村選手が、「なおかつ」のテーマ曲をアカペラで歌わされるなど、出演者の熱演に、またまた大きな笑いが起こっていました。
ドラマさながらの熱血指導が部員たちの目を覚ましますが、花月一高から顧問のチャーリー浜が山下さんを引き抜きにやってきて再びピンチに。ところが、ひたすらギャグを連発するチャーリーに、出演者はコケまくり。もちろん「JAPAN LEGENDS」メンバーや山下さんもしっかりコケて、盛り上げます。結局、誘いを断り「男の約束」を守った山下さん。大きな歓声を受けながら、舞台を後にしました。
いよいよ物語も大詰め。再び末成が現れ、探していたのは真栄田だと言い、父親の借金を代わりに払わせるため連れ去ろうとします。しかし、めだかややすえの夫・烏川耕一が奮闘し、高校卒業後にNGK土建で働いて返せることに。一件落着の後、OBである川畑も一緒になってボールを追うフィナーレは、温かい拍手に包まれました。
後半は、ラグビー経験のある芸人とラグビー選手が一緒になっての「ラグビー×芸人スクラムトーク」。MCは、こちらもそろって元ラガーマンの中川家が担当します。ここからは解説者の村上さん、井上アナウンサーも加わり、より深く、さまざまな角度からラグビーの魅力を掘り下げていくことに。
まずは「どうする?どうなる?日本のラグビー生トーク会」と題して、赤裸々トークを展開。「どうなるトップリーグ」では、今年のリーグ戦の勢力図のほか、注目選手としてパナソニックのソニー・ビル・ウィリアムズ選手を取り上げ、村上さんがじっくり解説。途中、ラグビー経験ゼロという内間から「(ラグビー選手は)休日は何をしてますか」というズレた質問が飛び出し、爆笑をさらう一幕も。さらに「どうなるJAPAN」というテーマで、日本ラグビーの未来を占うトークでは、芸人からも真剣な質問がぶつけられ、白熱の議論が展開されていました。
続いての「ラグビーあるある選手権」では、芸人たちが、経験者だからこそわかる「ラグビーあるある」を発表。会場にも多くのラグビーファンが詰めかけているだけあり、ひとつ出るごとに「そうそう!」と大きな共感と笑いを呼びます。中村選手が代表して選んだMVPは、川畑の「雨の日にひとりで試合を見に来ている女の子は、いけそうな気がする」。数ある秀作のなかから、まさかのエロ詩吟風あるあるが選ばれ、芸人たちは驚きを隠せませんでした。
エンディング、この日の感想をきかれ、「いい経験をさせてもらいました」(中村選手)、「ラグビーって笑えるなと思った」(村上さん)、「皆さんのラグビーを好きな気持ちが2019年(日本でのワールドカップ開催年)までにもっと大きくなれば」(井上アナウンサー)と、楽しそうに語った皆さん。舞台も客席も「ラグビーが大好き!」という気持ちで満ちた、笑いいっぱいの2時間超。もちろんラグビーをよく知らない人でも存分に楽しめたこのイベント、早くも来年の開催が楽しみです!