【ライブレポート】演説王決定戦2012〜CHANGE〜
12月14日(金)、東京・ルミネtheよしもとにて『演説王決定戦2012〜CHANGE〜』が開催されました。
このライブは、芸人がテーマに沿った3分間の演説を行ない、聴衆(観客)にケータイの投票システムを駆使して賛同の可否を投票してもらうというもの。最も多くの賛同票を獲得した芸人1名が、栄えある“初代演説王”に決定します。
博多華丸・大吉 大吉がMCを務めるなか、まずはゲストの杉村太蔵さんが登場します。
開口一番、「難しいですよ! 演説って!」と声を張り上げる杉村さんに、「いきなり4速出ましたね」と苦笑する大吉。奇しくも16日の衆議院選挙&都知事選挙直前に行なわれたとあり、元衆議院議員の杉村さんに選挙における演説について訊ねると、「我々のような平議員は2分とか、時間配分が決まってるんです。その時間内に、みなさんのハートをつかまないといけないんです!」と演説口調で力説。大吉が「悪徳商法みたい(笑)」と言ったように、杉村さんの勢いに押されたお客さんも若干引き気味でしたが、「今回の選挙は国民の期待に応えるべく、出馬を辞退しました! これがいちばんお国のためになります! 日本はいま、そんな場合ではない!」と絶叫した杉村さんに、「自覚していただいて、ありがとうございます!」と大吉が答えると、会場には大きな笑い声が起こりました。
今回は“CHANGE”をコンセプトに、共通テーマ「コンビニ」とフリーテーマという2種類の演説を3分間敢行。演説を行なった芸人は、バッファロー吾郎・竹若元博、野性爆弾・川島邦裕、カラテカ・入江慎也、佐久間一行、ロバート・秋山竜次、ロバート・山本博、椿鬼奴、しずる・村上純、ハリセンボン・箕輪はるかの9名です。
ケータイ投票の練習をすべく、デモンストレーションとしてレイザーラモンRGが演説を行ないました。
テーマは「Twitterのやりとり」。自身のつぶやきに対して、「うざいんだよ」などの悪意のあるコメントを返して来た一般人(RGは“サイバーテロリスト”と呼んでいるそうです)に対し、怒るのではなく質問し、原因を語り合うように努めているというRG。「そうすると、必ずブロックされます! ですが、こういうやりとりが始まったら、ぜひともみなさんにはリツイートしていただいて。やりとりを見守っていただきたい」と訴えました。
この演説を聴いた杉村さんからは「素晴らしかった!」とのお誉めの言葉をいただいたものの、賛同表は過半数を大幅に下回る結果に。「この忙しい年の瀬に、こんなイベントに来ているなんて、よほどの物好き。その物好きの心を動かせなかったとは……」と冷ややかに評する大吉でした。
いよいよ、本番がスタート。まずは共通テーマ「コンビニ」にて、9人が持論を展開します。
「雑誌のように、新聞も立ち読みができるようにしてほしい」と訴えた入江の演説に、大吉&杉村さんは「よくわかる」と賛同したものの、聴衆の反応はイマイチ。箕輪は「大好きなようかんを“何か買った時のついでに購入するもの”として、陳列しないでほしい」と独特な視点で訴えます。また、川島はなぜか70歳の老人として、世界観溢れるコンビニ強盗の撃退方法を猛アピール。秋山は、飲み物やアイスなどの温度をきちんと設定してほしいという消費者目線の光る演説を披露しました。
それぞれ個性が光るなか、1位となったのは佐久間一行による「おでんの位置」。レジ近くに置かれているおでんは、買いづらい。レジの近くに置かれていたら、本当は玉子が1つだけ買いたいけど、見栄を張って2つ買ってしまう。恥ずかしいという内容。最後は、お馴染みの「伝われ〜!」で締めくくるという佐久間らしいほっこりした演説に、聴衆の心も大きく揺さぶられたよう。杉村さんも「いい視点ですね」と絶賛していました。
RGによる“演説あるある”が発表された中断を経て(「演説は緊張する〜♪」だそうです)、いよいよ後半戦のフリーテーマがスタートします。
「祝いの樽酒」について熱く語ったのは、竹若。共通テーマ同様、まるでバッファロー吾郎のコントを見ているかのようなマンガ的な視点に、会場には困惑した雰囲気が充満。また、村上は大好きな三浦知良選手ことキングカズについてを、時間配分を気にしてか、異様なほどの早口をまくしたてます。鬼奴は大好きなパチンコにおける日々の愚痴を吐露。箕輪は“一口ちょうだいの罪深さ”について、またも大好きな羊羹を例に出し、珍しく声を張り上げて語りました。
トリを務めた佐久間が大好きなザリガニについて愛のこもった演説を繰り広げたこともあり、優勝者発表前から“佐久間優勝”の空気がびんびん漂う会場……。ですが、いざ蓋を開けてみると、劇場に配置された大型スクリーンを用いて“工事現場の看板”のおかしさについて語った山本が僅差で佐久間を破り、優勝します。
思わぬ結末に、投票者である聴衆からも「えぇ〜!」と驚きの声が。「本当のチャンピオンは、青色のネクタイをしている」「民意が反映されていない」など出演者からも多くを指摘される中、山本は特別ゲストの松沢しげふみから黄金のマイクと賞金10万円を受け取ります。「マイクはあれだから、お金だけ(佐久間に)あげよう」と秋山に促されるなど、バツが悪そうな山本でしたが、フリーテーマに掲げた工事現場のイラストを真似て謝ると、会場からは笑い声が響きました。
大吉曰く、「日比谷野外音楽堂での開催を目標として立ち上がった」というイベント。次回は、来年5月に開催予定(会場は未定)。杉村さんも「面白い! 各政党も参考にしてほしい」と太鼓判を押しただけに、第2回も期待できそうです。