三浦マイルドが、なんばグランド花月で単独ライブ開催! “不可能を可能にした男”の意地がここに!
今年2月に開催されたピン芸日本一決定戦『R-1ぐらんぷり2013』で見事、優勝を勝ち取った三浦マイルド。そうしてアンダーグラウンドを這うようにして生きてきた男は、“R-1王者”の称号とともにメジャーフィールドへひとっ飛び。ついには9月20日(金)、笑いの殿堂・なんばグランド花月にて『三浦マイルド単独ライブ MGK~マイルドグランド花月~』を開催することになりました! そこで、この単独ライブに賭ける思いを三浦マイルドにインタビュー、その胸の内を聞きました!
--『MGK~マイルドグランド花月~』についてお伺いする前に、今年のマイルドさんと言えば何といっても『R-1ぐらんぷり』の優勝が挙げられます。そこで、優勝する前と後での心境の変化をまず、教えてください。
三浦マイルド「舞台に立つごとに責任が生まれているというか。“R-1王者”というふうに紹介されますし…。今までは自分の好きなことをただただやるというか。お客さんの反応が悪くても、“自分は面白いと思ってるんだ、これがやりたいお笑いなんだ”ってバーンっとやってたんですけど、それが許される状況だけじゃなく、“R-1王者”としてちゃんとネタをしなければいけない場所がたくさんあって…。ちょっと伝わりにくいことや、自分が面白いと思っていることをわがままにできる場所が単独ライブだけになってきましたね。『R-1ぐらんぷり』がとれてうれしい反面、そういう制約もあるというか…」
--その一方で変わらないことはありますか?
「アルバイトしながら芸人をやっている頃も、芸人の仕事でちゃんとお金がもらえるようになった今も、根本にある”お笑いをやれている幸せ”は全然、変わらないです」
--“R-1王者”としてのネタをする場所というのは?
「例えば、なんばグランド花月であったりとか、お祭りの余興であったりとか。見てくださる方が僕のことを“R-1王者”だと知らないのだったら、知らないままやりたいぐらいです。“R-1チャンピオン、三浦マイルドさんの大爆笑ステージです! どうぞ~”とか、“はちゃめちゃステージを皆さんお楽しみください!”とかって、えらいやり辛い紹介をされるなぁと(笑)。この前、東京03さんに相談したんです。“余興とか営業とか、チャンピオン!!っていうふうに紹介されて、やり辛くないですか?”って。そしたら、“やり辛いよ~。でもまあ、1年だからね”って。それで、残りのあと半年は逆に楽しもうかなと思ってます。そうやって言われるのも今年いっぱいですしね。また来年優勝したらわからないですけど」
--確かに、そういうご紹介のされ方というのは、ハードルが上がりますね。
「そら僕も、爆笑ステージ、はちゃめちゃステージにしようと思って(舞台に)出ますよ。ただ、先に言わんといてくれよって思います(笑)」
--では、9月20日の『MGK~マイルドグランド花月~』ですが、まず、なぜなんばグランド花月で単独をされることになったんですか?
「やっぱりまだまだ、会社、世間の人たちは、マグレやろうと思っていると思うんです。いやいや、違うよ、実力で獲ったんだよって僕は思ってますので。なので一発、これを成功させて。……世間までは響かないかもしれないですけど、お笑いを愛して、劇場に来てくれているお客さんに“三浦マイルドはこれだけのことができるんだぞ”ということを一発、示さないといけないなと思いまして」
--NGKからオファーがあったんですか?
「いや、僕からやらせてほしいと。支配人にやらせてくださいと」
--ここはひとつ、NGKで行こうと。
「そうですね、お笑いの劇場の中でで最高の劇場なので、そこで最高のことをやろうと」
--いつごろから、この単独をお考えだったんですか?
「やろうと決めたのは6月くらいです。ほかにももっとやりたいことがあって。それをやらせてほしいと言った時、大丈夫なのか?とか、ちゃんとお客さんが入るのか?とか、なかなかOKが出なかったりするので、一発、この単独ライブを成功させて、今後、僕がやりたいことを推し進められるようにしたいんです」
--周りの人にちゃんと示しを付けて。
「そうですね」
--6月に決めて、OKをいただいて。OKはすんなりですか?
「最初は、まだ世に出ていない後輩を出して、“どうでしょ、こいつら面白いでし?ょ”っていう形でやりたかったんですけど、いろいろ相談していく中で、″絶対にそういう無謀なことはやるな”と。NGKという場所なんだから、ふさわしい人を出して、それでちゃんと三浦マイルドは面白いんだということを見せたらいいじゃないかとなりまして、先輩をゲストにお呼びすることになりました。笑い飯の哲夫さん、ヤナギブソンさん、同期ですけどモンスターエンジンの西森くん、中山功太さん、ヒューマン中村、あと、ハリセンボンの箕輪はるかさんで大喜利をしようかと思いまして。世間の方には僕のことはあんまり響いてないかもしれないですけど、お笑いファンには″やっぱり、三浦マイルドは劇場で見てもめちゃくちゃ面白いな”っていうことをしっかり示したいので、ゲストの方と大喜利で対決します。みんな大喜利がすごい方たちばかりなので、″絶対勝ちます!”って言いたいところですけど、本当にすごい方たちなので…。でも、この方たちを相手に三浦マイルドがどれだけやれるのか、観に来てほしいですね。前半がネタで、後半が大喜利です。あと、ちょっと生意気と思われるかもしれないですけど、大きい会場でのお笑いライブってお祭り的になると思うんです。それはそれですごく楽しいし、素晴らしいものだと思うんですけど、僕は絶対、熱湯のように熱いお笑いをやりたいんですね。なので、そういうところをお見せしたいと思います。芸人が本当にプライドを賭けて戦うような舞台を」
--熱湯のように熱い笑いとは?
「芸人がプライドを賭けてちゃんと立っているかどうかですよね。プライドを賭けずに立ってる場所なんかないかもしれないですけど、より負けたくないという気持ちが弾けあっているようなものを僕は熱い場所だと思ってます」
--マイルドさんが今まで出られた中で、そういう「熱いライブ」は何ですか?
「やっぱり『ダイナマイト関西』ですね。2005年か2006年に出させてもらった時、その前日は眠れなかったんです。当日も負けて。もう悔しくて悔しくて、1年ぐらい引きずってしまいました。そういうふうな熱い場所を求めているというか、そういう場所に立てるのは本当に最高だなと思います」
--ご自身のライブも、いつもそういうお気持ちで?
「そうですね。単独ライブも僕だけに期待して来てくれるので、そんなお客さんを満足して帰せないとなったら僕の負けなので、本当に勝負だと思ってます」
--単独ライブの前とか、結構、気持ちががーっと入り込んでしまいませんか?
「もう気持ちも高ぶりますし、夜も何回も目が覚めたりしますね。でも、こういうことを定期的にやっとかなあかんなとは思うんです。僕、これをやらんかったら“R-1王者”っていう肩書にだけすがりついて生きて、どんどんダメな芸人になるような気がするので。やっぱり、自分の中でしんどいなとか、きついなっていうことは絶対にやっておきたいです」
--“R-1王者”という称号に寄りかかってしまいそうな時があるんですか?
「いやもう、普段はすがりまくってます、本当に(笑)。ほんまにもう…。それがあるから会社も僕にえさを与えてくれているなと思いますし」
--その称号を手にして、やっぱり違いますか?
「そうですね。昔だったら許されないようなこととか…。このNGKの単独もそうですけど、普通の出番もいただけていますし…」
--なるほど。自分を奮い立たせるために定期的に…。
「やりたいなと思うんですけど、ほんまに今回のNGKの単独がコケたら、次はないですから。次はないですし、僕がこれからやりたいと思っていることもできないでしょうし、ある意味命が懸かってますよね」
--会社の方、お笑いファンの方、世間の方に“こういうことができるんだ”って見せるためにイベントを開かれるわけですし。
「それでNGKの800人以上入るキャパでお客さんが200人とか、300人だったとなるのは悲しいので」
--動員のプレッシャーもあると思いますが、今の心境はいかがですか?
「あの、ノイローゼになりそうなくらい悩んでます。本当に。僕も人気がないので、″800人も呼べるのか”とか、社員さんから、芸人さんから、いろんな人に心配されて聞かれるんですけど、僕は1回、不可能を可能にしたので。はっきり言って『R-1』の優勝も僕がするって、思っていたのは僕だけでしょう。誰ひとり、思ってなかったと思うんです。それを僕はやれたので、だから今回も不可能は可能にできると思うし、不可能っていうのは臆病者の言葉だと思ってるので、できると思ってます」
--不可能を可能にできるという自信も、『R-1ぐらんぷり』のたまものですね。
「そうですね。あきらめなくなりましたね。一番変わった部分はそこかもしれないです。今年の『R-1』では、自分でも自分じゃないくらい、よく自分を持てたというか。35歳にもなって、人ってこんなにも変われるんだなって。もっといいふうに変わっていけたらいいなぁって思いますね」
--それはすごくいい経験ですね。あきらめなくなった。NGKの単独を経て、やりたいことというのは何ですか?
「2つあるんですけど、年内にやりたいのは、チャリティーライブです。お笑いでチャリティーをやるのってすごく難しいと思うんですけど、僕にしかできない形でやりたいです。でも、会社がOKを出してくれるかわからないですけど。もう1つが、どうしようもない芸人を集めて下ネタライブをやりたいです。どうしようもない芸人を集めて」
--チャリティーと真逆そうですね。下ネタライブはとことん、ゲスくですか?
「そうですね」
--では、今回のNGKではどのように?
「そうですね…僕は僕のやりたいようにやりますとだけ、お伝えします」
--チャリティーライブについてもう少し教えてください。
「チャリティーライブは、僕がまだオーディションを受けているような頃からやってたんです。難民を助ける会にも送ったことがあります。今度のは、東日本大震災の義捐金とか、何らかの形でできたらなと思うんですけどね…」
--この2つを今後やっていくためにも、NGK単独をがんばって。
「そうですね、ちゃんと発言力を持てるように。発言力というか、三浦マイルドはやるじゃないかっていうところを見せないと。僕がこれやりたい、あれやりたいって言ってもなかなか難しいと思うので、ここは絶対に成功させたいです」
--今、お話を聞いていて、物事を順序立ててお考えの方だなと思ったんですが、そういうふうに物事を進めていくタイプですか?
「どうなんですかね~、思いつきでやったりとか、すぐ感情的になったりもしますし。最近になってからですかね、物事を進めるにはちゃんと段階や順序を踏まなければならないとわかってきて。少しずつ、真人間になりつつあるという感じです」
--真人間に。結果を一つ出しているというのは大きいですね。
「大きいですね、本当に」
--NGKの単独に話を戻しますが、前半のネタはどのようなものをお考えですか?
「新ネタもやるんですが、ありネタをパワーアップさせて出したいと思ってます」
--大体何本くらい?
「おそらく5本ですね」
--それは、三浦マイルドという芸人のすべてがわかるようなネタですか? それとも片鱗ですか?
「劇場によく観に来てくれる人には、こういう引き出しもあることをわかってくれていると思うんですけど、その一握りの方にも、″こういうところもある、こういう面もある”というところを見せたいと思います。新たな発見をしてもらいたいと思います」
--今回は800人以上というキャパで、中にはマイルドさんを『R-1』で知ったという方も来られると思いますが、どういうところをお見せしたいですか?
「僕、腹を抱えて笑っている人を見るのが好きなんです。もう、苦しい!!っていうくらい笑っている人。僕ももちろん、そういうネタをやりたいと思って作っていて…。ほっこりや、ほほえましいことであったりと、そういう笑いはそういう笑いで本当に素晴らしいし、素敵だなと思うんですけど、僕は絶対、腹をよじらさせたいと思っているので、それをやります!」
--舞台からその、お腹がよじれている光景を見るのはどういう心境ですか?
「ほんまにしんどい思いをしてでも作ってよかったなぁっていう快感がありますね。子どもの頃に腹がよじれたものは忘れないですからね、一生。数えるぐらいしかないと思うんですよ。苦しい!!っていうくらい笑うことって。 『MGK~マイルドグランド花月~』では、それをやりたいと思います!」
●『三浦マイルド単独ライブ MGK~マイルドグランド花月~』
9月20日(金)
開場18:40 開演19:00
前売・当日共/1階席2,000円、2階席1,800円
出演:三浦マイルド
ゲスト:ヤナギブソン(ザ・プラン9)/笑い飯 哲夫/中山功太/モンスターエンジン 西森/ヒューマン中村/ハリセンボン 箕輪
チケットよしもと http://ticket.yoshimoto.co.jp
【三浦マイルド】