やくみつる・デーモン閣下『勝手に大相撲審議会』刊行記念トークショー
やくみつるさんとデーモン閣下による相撲対談本『勝手に大相撲審議会』が3月10日(火)に刊行したことを記念し、2人によるトークショーが3月15日(日)、東京・池袋コミュニティ・カレッジにて行われました。
同じ好角家と知られ、高校、大学の同窓生がゆえに閣下がやくさんを「先輩」と呼ぶ間柄の2人。
そんな2人が2013年3月~2014年10月にかけて対談を実施し、「四股名」「相撲ファンへの提言」「逸ノ城」といったテーマで、長年の相撲ファンから初心者までが楽しめる内容の本となっています。
満員御礼となった会場に歓声と拍手を浴びながら登場したやくさんと閣下。
閣下が「盛り上がってるのか?」と煽れば「イエー!」とのレスポンスがあり、その熱狂ぶりに「ほとんどの方、信者?」とやくが訊き、「率は高そうだな(笑)」と閣下が客席を見回します。
本書で構成を担当した松尾直俊さんが進行を務めるなか、まず、本書が刊行に至るまでの経緯について、当初は一昨年の8月頃に刊行予定だったことを明かし、その平坦ではない工程を回想。
但し、このタイミングでの刊行は「相撲を取り巻く状況も変わってきて、結果、旬になってしまってるよね」(やく)、「売れ行きを考えてるとね。わかってたんだ(笑)」(閣下)と、まるで今の相撲人気を予見していたかのような口ぶりです。
また、2人は同じ相撲ファンながら、詳しい分野が微妙に異なるそうで、「どっちかというと先輩は現在の相撲、見てきた相撲の中の"そんな人まで知ってんの?"」「30年前の幕下力士とか」と閣下がやくさんの記憶力や情報量を称えれば、「それ以上、歴史を遡ると閣下の方が詳しい。伊達に10万年生きてない」と神事としての相撲にも精通する閣下を持ち上げるやくさん。
話題は、このイベントのまっただ中だった大阪場所へと移り、白鵬のマスコミ対応についても及びます。
「年がら年中、白鵬をかばったような発言をしている吾輩ではあるけども、今回、あれはかばえないな」と閣下がコメントすれば、やくさんは「閣下が仲を取り持つしかない。白鵬とマスコミの間を」と提案し、謝罪会見のシミュレーションなども披露。
続いて今場所の注目力士を訊かれた閣下は「てるちゃん」と照ノ富士の名を挙げると、やくさんは逸ノ城との"逸照(いってる)時代"到来を延べます。
すると閣下は「"いってる! いってる!"って誰のギャグだっけ?」とジミー大西のギャグ「やってる!やってる!」との勘違い発言で爆笑!
「こんなに四股名の話する本、ある?」と四股名にページを割いた本書ですが、この場でも輝(かがやき)、阿炎(あび)といった四股名やその由来について言及し、大相撲入りしたばかりの宇良の技について盛り上がります。
すると、「技を教えたい時は、動いて説明するのが一番」(閣下)として、立ち上がった2人は、白鵬の攻略法や、伝え反り、鴨の入れ首といった珍しい決まり手、技を実演しながら解説。
また、昨今急増した女性相撲ファン(通称:スージョ)について話題が及ぶと、やくさんから「あくまでお客さんもお相撲の構成要素のひとつ」「歌舞伎あたりはそれが守られてる」といった観戦マナーへの厳しい発言も出ました。
そうした流れで、相撲ファンのアイドルとして脚光を浴びている山根千佳さんについては「付け焼き刃じゃないから頼もしいなと思いますよね。ようやく紺野美沙子も肩の荷をおろせる」とやくさんもその知識量や熱心さに一目置く様子。
話は尽きなそうですが、本書について「初心者にもわかりやすいところはわかりやすいと思うし、かといって言ってそんなに生易しいことばかりが語られるわけではなく、通も唸ると思うね」と閣下がPRしたところで、終演を迎えました。
直後に行われた囲み取材には、2人揃って出席。
改めて閣下は、「さっき舞台の上でやったようなことを毎回、延々3、4時間やるんだけども、会うたびに何場所か経ってるんですよ。注目ポイントが変わってくる。それをどうしてもフォローしたくなるので、お互いにフォローしていくと次が会って、イタチごっこのようにキリがない」と改めて本書が刊行に至るまでの過程を語ります。
第二弾の予定は未定ながらも、「節目節目にね、何か出来ればいいんでしょうけど」とやくさんが意欲をチラつかせると、閣下もまだ切り込んでいないテーマがあるとして、「吾輩が理事長だったらこうする」といった角界への提言のような話も掘り下げていないとのこと。
また、本日の衣装について触れられた閣下は、「国技館の中で売られてる手ぬぐいなんですよ。それをコラージュして1枚にした」と自慢気に語り、背面には雲龍型の綱も結ばれています。
一方のやくさんのシャツは「高見盛が現役の頃の浴衣地」だそうで、現・振分親方との交流での逸話も披露。
最後に、閣下は「最近、相撲ファンになったばっかりの諸君も、前々から好角家でならしている諸君もどちらも唸らす内容になっている。まあ、読んでみりゃいいじゃないか。相撲協会の人にも読んでもらいたいね」と改めてPRしました。
●書籍情報
『勝手に大相撲審議会』
出版社:中央公論新社
http://www.chuko.co.jp/tanko/2015/03/004707.html
定価:1600円(税別)
【デーモン閣下】