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2015年4月 3日 (金)

ピース 又吉直樹 書籍出版記念イベント「火花」の秘話(ひばな)

3月21日(土)、東京・草月ホールにて『ピース 又吉直樹 書籍出版記念イベント「火花」の秘話(ひばな)』が開催されました。

登場した又吉は「みなさん、来ていただいてありがとうございます。チケット(の値段)、まあまあしましたよね?......大丈夫ですか?」と気遣いながら挨拶。「僕は普段、芸人として渋谷にあるヨシモトホールでライブとかをやっている時、(オープニングで)お客さんの雰囲気を感じ取ってるんですけど、今日は......シンポジウムみたいな雰囲気ですね」と発すると、大きな笑い声が。「気楽に楽しめるライブなので、それぞれ面白いところを見つけてください」と緊張感をほぐすように、声をかけます。
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ゲストとして登場したのは、著書『サラバ!』で第152回直木賞を受賞した作家・西加奈子さん。「『火花』について何話そうと思ってたら、泣けてきた!」と手で顔を覆った西さんは、『文學界』での発表時に何度も読み、単行本が発売されてからも何度も読んでいるそうです。
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「私の書いた『サラバ!』は神様の話で、自分の神様を見つけることの大切さを書いたんですけれど、『火花』はその先をいっていて。"神"という字が付いてるように、(登場人物である主人公・徳永の先輩芸人である)神谷は神々しい。けど、みっともなくて、人間としてあかんところにもある。徳永くんはそういう人やとわかっているし、その上で大切な存在やと思っている。(2人の関係性は)なんて美しいんやと思います」と、切々と感想を伝えます。
受け取った又吉は「嬉しいですね」と喜びを噛み締めながら、「芸人の先輩と後輩の関係性を書いたんですけど――コントも書くときもそうなんですけど――1人の変な人を書くんじゃなくて、2人の関係性を考えるようにしてるんです。1人の変人に対してまともな人がツッコむのはリアリティがないというか。まともな人なんて、あんまり観たことないですもん」と説明しつつ、「西さんも変でしょ?」と投げかけ。笑いが起こる中、「変が悪いということじゃなくて」と補足します。

また、西さんは「又吉さんの作者としての佇まいに品がある。物語のために無理矢理、誰かを動かそうとしていなかった」とコメント。「場面転換する時に、私はよく"雨が降った"とかやっちゃうのね。だけど、『火花』が嘘くささがなかった」と続けると、又吉は嬉しそうに頷きつつ「ただ、(自分の)技術のなさは感じましたけどね」とぽつり。も、西さんに「わざとらしくないし、小説家として優れているなと思った」と言われると、「マジっすか!」と急にテンションを上げます。
そんな彼を見つめながら、「うん、小説家としての資質があるなと思った。結構引くもんな。............引いたわ。小説、こんなにすごいんやって。......嫌いかもと思った」と呟き出した西さんに、又吉が「嫌われることってあるんですか?」と返すと、ドッと笑いが起こりました。
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「直木賞受賞、おめでとうございます」と改めて西さんを祝福した又吉。「ジャッキー・チェンの映画を観たあと、自分が強くなった感じがするように、『サラバ!』を読んだあとは"今、俺はなんでもできるぞ!"と思えた」と感想を。登場人物について「ひとごとじゃないな」と思ったと明かしながら、「この辺で個性をどう扱うべきかを決めたい」と切り出します。「35歳になるんですけど」(又吉)「え、人間の歳で?」(西さん)というやりとりで笑わせながら、学生時代のエピソードを語り始めました。
「体育祭の行進で、だらだらすることって1つのアイデンティティじゃないですか。僕はモテる男だけが許される特権やから、他の男子はそいつらより下やから(だらだら)したらあかんと思ってたんです。もちろん知らんかったらできるんですけど、俯瞰で観たら先生や女子の反応がこわくて、どうしたらいいのか考えたんですけど、わからへんから全力で行進したんです。そうしたら、保護者の方々に"あの子の行進すごい"って逆に注目されてしまったんですよ」(又吉)
初対面のときから「何を考えているかわからない人」と興味を持って、又吉を研究し続けてきたという西さん。「又吉さんは徳永くん的なところもあるけど、神谷さん的なところもある。たまにひやっとするようなことをしてる......。すーーーっごい変な顔してる時とか」と考察。絶妙な間を挟みながら行なわれる2人のやりとりは非常におかしく、そのたびに客席からくすくすと笑い声が起こります。
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「『火花』はすごく素直な小説。これ書いたほうがかっこええとかではなく書いたものでしょう?」と言う西さんに、「書きながら、(普段、本についてなどのコラムを書いていることもあって)いろんな声も聞こえてきたけど、ええわと思った。文学もお笑いもポイント制じゃない」と返す又吉。「"けど、ええわ"っていう視点がすごい。尊いよね」と驚く西さんに「後輩にすごく慕われるでしょ?」と訊かれると、「綾部に対する挨拶と僕に対する挨拶は違いますけどね。僕、やたら体を触られるし、ナメられてんのかなと思いますよ」と自虐的に返します。
「普通、肩書きとかポイント制で信用しようとするじゃない?(小説の中で)徳永くんも言ってたけど、又吉さんは世間と違うベクトルにいる。心臓をつかんで信用している」と分析しながら、「私もできたらいいなぁ。嫌なときを思い出して泣けてきた......」と落ち込み出す西さん。続けて、「よく"裏切られた"っていうけど、観た時に好きになった自分の責任もある。神谷さんはああいう人やけど、"でも好きだ"っていうのがいい。私が知っている又吉さんもそう。急に芯をぱっと捕まえちゃう」と論じました。
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2人の出会いは、又吉主催のイベント『太宰ナイト』にて。この話から、「『走れメロス』という言葉は、誰目線で付けられたタイトルなのか」と言い出す又吉。「研究したんで、観てもらっていいですか?」と告げて、いきなりフリップネタを始めます。さまざまな視点で変えられていく"走れメロス"。最後には『走れメロス』から全くかけ離れた言葉遊びも飛び出します。
座って観ていた西さんは大笑い。「秀逸やわ。どうやって考えたんやろな?」と言いつつ、「太宰が現代にいたら芸人になってたと思うし、又吉さんは太宰みたいやなと思ってたけど、いよいよやな!」と絶賛していました。
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この流れから呼び込まれたのは、又吉の後輩であるしずる・村上純と井下好井・好井まさお。村上は「呼んでいただいたのは有り難いです。西さんとのお話も盛り上がっていたので、僕ら出なくていいんじゃないかなと思ってたんですけど......さっきのフリップなんですか?」と困惑気味にツッコみます。
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『火花』を読んだという2人。「この本に見えるのは、芸人のリアリティ。(心情として)痛いよな?」(村上)「そうですね。生々しくて、これ、芸人やめろって言われてんちゃうかなと。売れてない芸人、全員やめてくださいって言われているような気がした」(好井)と、芸人として思うことがいろいろとあった様子。特に、好井は「自分とかぶるところがあった」と主人公・徳永に自身を投影しながら読んだようで、「冒頭の営業のシーンあるでしょ? はんにゃさんと花火大会の営業に行ったら、俺らだけ楽屋も弁当もなくて......」と自身の経験を。あまりに感情移入し過ぎて「俺も芸人やめなあかん」と思ったそうで、相方・井下とも作家を挟んで感想を言い合ったとか。又吉は、「好井にそんなことを思わるなんて、まったく想像してなかった」とつぶやきます。
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お笑いライブを観たことのないお客さんもいるであろうとのことで、村上と好井、それぞれとの出会いを説明する又吉。村上については自分大好きエピソードを、好井についてはパンサー・向井と3人で体験したエピソードを語ります。
村上は「又吉さんは本当に優しい。芸人への愛がすごくあるから、この本も『火花』じゃなくて『LOVE』なんです!」と彼らしいクサい言葉で語り、又吉を困らせます。また、西さんの「又吉さんは神谷さん的な部分も持っている」という意見に同調する2人。「急にベロベーって言い出しますけど、あれなんすか?」(好井)「ベロ、好きですよね?」(村上)と語りかけます。
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今日のトークイベントを濃い内容にすべく、事前に集まったという3人。ですが、結局お酒を呑み過ぎてしまい、後半しゃべったことの大半を忘れてしまったそう。
「ただ、座敷を出る時に又吉さんが"やってやろうぜ"って言ってたのは覚えてます」(好井)
「熱くなり過ぎたことに気付いたのか、そのあと"ベロベー"って言ってました(笑)」(村上)
そんな3人のやり取りを楽しそうに観ていた西さん。「芸人以外の仕事できる?」と明るく訊きますが、その瞬間、おしゃべりをピタッとやめて固まった3人を観て、「あ、これ無理やな」と笑いました。
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ひと通り語り合ったところで、「いいお話をしていただいたので、お礼を込めて見せたいものがある」と言い出した又吉は再び、フリップを舞台中央へスタンバイ。「いいって! めっちゃネタするじゃないっすか!」という村上の静止も聞かず、"かわいいものを怖くする"というかなりブラックなフリップ芸を披露します。
さらにお題を変えて三度フリップをめくり、「『そうだ、京都へ行こう』みたいな都道府県キャッチコピー」を発表し出す又吉。若干、困惑気味のお客様に「みなさん、もう少しですからがんばってください」と声をかけながら、いくつものネタを見せました。
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「本が好きな人が来てくれているとは思うんですけど、せっかくですからネタっぽいことを観てもらおうと思ってやっていたら、(自分が)気持ちよくなってしまいました」と笑う又吉。いつもイベントの締めがうまくできず、ずーっと話し続けてしまうのですが、本イベントでも然り。「春は出会いのシーズンやから、しんどい」とつらつら綴りながらもなんとかイベントを締めくくり、著書お渡し&握手会に臨みました。
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