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2015年5月23日 (土)

桂三金 20周年記念落語会「三金の日」FINAL

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5月16日、大阪・テイジンホールにて『桂三金 20周年記念落語会「三金の日」FINAL』が開催されました、。ゲストに桂文枝を迎えた当公演は2014年、桂三金が落語家生活20周年を記念し同年6月から今年4月まで開催した『三金の日』(※2014年8月、10月を除く)日の集大成として開かれたもの。まさに"FINAL"に相応しい落語会となりました。


1994年に銀行員生活から一転、桂三枝(現六代桂文枝)に入門し、古典はもちろん、120キロという自らの体型を生かしたネタや、趣味のゴスペルやダンスを取り入れた創作落語を演じてきた三金。この日は、創作、師匠の作品、そして古典の三席を披露しました。


開口一番は桂三実。「待ってました!」と自ら掛け声をかけ、鼓舞します。1993年生まれの22歳、三金が入門したときはまだ1歳だったと、自身の生い立ちと三金の落語家生活を照らし合わせたマクラで笑いを誘います。「昨年結婚した三金兄さんは、家族が増えたらもっと幸せになる」と前ふりをして「熱演家族」(桂三枝作)を口演。AKB48、嵐、氷川きよしさんに綾小路きみまろさん、そしてレディ・ガガさんと、家族それぞれが有名人に夢中でまったく相手にされないお父さんの悲哀と、その実を描いた噺で盛り上げました。


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続いては主役の三金。「今回、初めて師匠にゲストで出演してもらいます。信用金庫時代の上司も来られていて、20年の集大成となれば」とご挨拶。この日は三席すべてネタおろし。「基本的に怠ける方なので、自分を追い込んでいかないと流されてしまう」と並々ならぬ覚悟で臨んだようです。創作落語にも熱心に取り組んでいる三金ですが、その体型をいじった"デブネタ"が主流。ですが、昨年結婚したことを気に、"デブネタ"ではない身の回りの出来事を落語に落とし込みました。それが「温度差」。一緒に暮らしてみて初めて分かる夫婦それぞれの生まれ育った環境の違い。その違いに戸惑う夫と妻の互いの愚痴を面白おかしく聴かせました。

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ネタ下ろし二席目は師匠の文枝が創作した「恋は待ったなし」。相撲取りが主人公のネタだけに、三金の体型はリアリティがある上、親しみもわきます。マクラでは大食いの思い出などを語り、徐々に"相撲取り"に近づけてゆきます。コンパで出会い、一目ぼれした女の子の応援を糧に好成績を上げてゆく相撲取り"猛栄道(もうえいどう)"の奮闘ぶりを熱演しました。



ここでゲストの桂文枝が登場。この会のため、始まる前に美容院で髪の毛を整えてきたそうです。入門から20年を「本当に早い」と振り返る文枝。中学、高校、大学と落語研究会に所属していたということで、金の卵の意味も込めて「三金」と命名したと明かし、「なかなか孵らない。孵ったと思ったらこれがエサばっかり食べて飛び立たない。体が重いんでしょうね...」と笑わせます。「太っているのも一つの特徴でいいけど、過ぎたるは及ばざるが如し。もっと歩きなさい!」と厳しい指導(!?)が。三金も「歩きます!!」と舞台袖から応えていました。ネタは自身の創作落語「世界ふしぎ体験!」。生前にお葬式の雰囲気を味わうという"体験葬"を描いた一席で、おじいちゃんの体験葬に振り回される家族の姿を面白おかしく演じました。


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中入り後は最後のネタ下ろし、古典の傑作「はてなの茶碗」です。骨董品の目利きでは右に出るものはいないと都中で知れ渡っている古物商の大旦那"茶きん"さん"が、茶店で使った何の値打ちもない湯のみをしげしげを見つめながら「はてな?」とつぶやいたことから始まる騒動を描いた一席で、湯飲みを手に入れた油屋に茶きんさん、関白に公家までと様々なキャラクターが登場します。三金はそれら人物を巧みに演じ分け、ただの湯のみが千両にまで値を上げてゆく様を揚々と描きました。


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そして『20周年記念落語会「三金の日」FINAL』はお開きに。20周年の集大成をしっかりと魅せた三金にお客様から惜しみない拍手がいつまでも注がれました。


公演終了後には、文枝、三金そろって登場、FINAL公演を終えた感想などを語りました。

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まずは三金から「マクラでも言いましたが、自分が怠けてしまわないように三席、ネタ下ろしをしました。うまいこといったかどうかは...(笑)。何とか頑張ってやらせてもらいました。お客様にたくさん入っていただいて、師匠も盛り立ててくださって、ありがとうございました。お客様が最後まで笑って帰ってくださったのが一番嬉しかったです。また精進していきますのでよろしくお願いします」と、『FINAL』を無事に終え胸をなでおろしました。


そして文枝は「弟子はいろいろいるのですが、一人でも何とかなってくれたらなぁと。本人は一生懸命やっているんですが、僕から見るともっともっと足らへんのちゃうかなと思います。何かをきっかけにちょっとでも皆さんに知られて、売れてほしいなと常々思っております。自分で何が足らないのか探して、頑張ってほしいですね」と厳しくも温かい言葉をかけました。


「はてなの茶碗」を選んだ理由は昨年8月、アフガニスタン周辺の国々で物の価値の変化を体感したことが大きかったとか。また、元銀行員ということもあって、お金の話にも縁があることから取り組んだそう。そんな三金の挑戦は文枝から見ると「はてながつきますね」とばっさり。「非常に難しい落語なので、挑戦していくのは悪くないと思いますが、もっと勉強が必要だと思います。身を引き締めて!」とエールを送りました。

続けて「この身がどこまで引き締まるか...。僕は"デブネタ"をやめた方がいいと思います。健康のこともあるし、痩せて、スリムになって、いらないものを落として」とアドバイスも。デブネタではない、新境地ともいえる三金の創作落語『温度差』については、「いつもぼやいていたので、そういうことをネタにしなさい、自分が体験したこと、感じたことをネタにするのがいいから」と話していたことを明かし、「今までデブネタをいろいろ聴いてきましたが、どれよりもよかったです」と二重丸をつけました。


師匠から「痩せなさい」というアドバイスを受け、「長生きしたいので...! 目標は100キロ...」と意気込んだ三金ですが、間髪いれずに「70キロ!」と文枝からの助言が。最後は「デブネタに頼らんようにしたいと思います」と気合を入れました。


落語家生活20年を超えて、これからどんどん"変化"していくであろう三金を、今後もどうぞ応援してください!

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