RGが劇団あるある座を旗揚げ、大衆演劇で恩人たちと原点回帰
昨日5月30日(土)、京都・よしもと祇園花月にて、八坂ある之介座長率いる「劇団あるある座 旗揚げ」公演が初開催されました。
これは、今年2月に行った自身のバスツアー「おばちゃんになりきって大衆演劇をはしごツアー、最後大衆演劇かと思って入ったら舶来寄席やんかいさツアー」にて、初めて大衆演劇を生で観たレイザーラモンRGが立ち上げた公演。その際観劇した、近江新之介率いる浪速劇団に感銘を受け、かつて自分もお世話になった吉本新喜劇の協力を仰ぎ、同劇団を立ち上げることになりました。
この日リハーサルを終えたある之介は、楽屋で着物に着替えながら「とんでもない新しいコンテンツができたと、すでに手ごたえを感じています」と気合十分。その頃客入り中の会場では「京都慕情」琴バージョンが流れる中、吉本新喜劇の前田まみが"大衆演劇感"たっぷりのナレーションで、「盛大な拍手、ご声援を、よろしくお願い申し上げます!」と、会場を盛り上げます。
舞台のストーリーは、田舎から都に出てきてブラブラしている男(くるくるコミック・おぎの)のもとに、吉本新喜劇の高橋康子演じる美しい町娘が、悪党(くるくるコミック・よね皮ホホ骨)に追われて逃げ込んでくるところから。ある之介は町人に扮し颯爽と登場すると、小さく拍手をするポーズで拍手を誘い、観客を笑わせます。しかし、「江戸八百八町の」「天下の水戸黄門も頭を下げる」云々と長い口上をまくし立てたあとは、あっさりやられたうえ、町娘に助けられてしまう体たらく。面目の立たない町人は、「お礼にあるあるを歌います」と提案し、いつもカラオケ機材が置いてある場所に、デカデカと置いてある"歌う岩"のリモコンを操作。町娘のリクエスト「韓流あるある」を、ZIGGY「GLORIA」に乗せて、いつもよりたっぷり溜めた歌い方で、「大好きな人がすぐ死ぬ」と熱唱し、町娘も大満足の様子でした。
聞くと町娘は、父親の借金の形に女郎屋に売られそうになっているとのこと。それを聞いた町人が「そんな暗い気持ちをあるあるで吹き飛ばしましょう!」と、約400人の町人たちにお題を求めると、大勢の町人が勢いよく挙手。「ビアガーデン」あるあるをリクエストされるも、1曲目のためか、なかなか曲が決まりません。田舎の男が心配して「あるあるが浮かばないですか?」と尋ねると、「曲が現れたら浮かぶのがあるあるでござます」と涼しい表情。今度は町娘が、あるあるを待っている町人たちを心配すると、「娘さん大丈夫です。この400人からの町人たちは、待つことを仕事にしています」と、あるあるの心得を伝授していました。さらにチョイスが季節外れのGLAY「Winter,again」だったため、田舎の男の心配は募るも、町人は「夏とか冬とか関係ございません。私はただ、あるあるが歌いたいだけ」とキッパリ。その言葉通り、「ビアガーデン雪路を急ぐ」という矛盾した歌詞を気にも留めずに、「からあげが冷たい」というあるあるで400人の町人たちを喜ばせます。
その後、妹たちを呼びに行った町娘を追って行ってしまった町人。すると、悪党の仲間(カートヤング)が、剣術の達人と言いながら次々と諸芸を披露し、観客の心を掴んでしまいます。そこへ、悪党が娘と妹2人(吉本新喜劇・前田真希、前田まみ)を捕まえ再び登場。「助けてください!」と叫ぶ娘たち。するとどこからともなく「夢芝居」のイントロが。下手袖のセリからゆっくりと上がってきたのは、姉妹の長女役として、見事な女装姿に変身したある之介です。ゆっくりと舞台に向かうある之介に、ファンたちはプレゼントを渡したり、あるある紙幣で作られたお札のレイをある之介の首にかけたりと、ある之介大人気です。
悪党たちを追っ払い、「怖かっただろ。ここは歌と踊りで怖さを吹き飛ばしましょう」と妹たちに優しく声を掛ける長女。「冷やし中華」のお題を、小林旭「熱き心に」にのせて、「ああ~春には~冷やし中華がない~、ああ~夏には~冷やし中華が~ある~」とのびやかに歌い、「練りからし要らない」というあるあるを生み出しました。歌の間は、日本舞踊の名取でもある真希がある之介のバックダンスを務め、まみが「ある之介!」「座長ー!」と、観客を煽る掛け声を。ノッてきたある之介は、舞台袖に時間を確認すると、続く「トランペット」あるあるに、6分近くあるQUEEN「ボヘミアン・ラプソディ」をチョイス。日本舞踊&QUEENのコラボと、「放課後うるさい」というあるあるに、観客からは盛大な拍手が送られました。
それでも悪党たちを追い払えず、長女は窮地の策として父親を呼びに行ってしまいます。その間、真希が持ちネタ「マイケル・ジャクソンで日本舞踊」を披露し許しを請うも叶わず絶対絶命。ここでいよいよ吉本新喜劇のベテラン、ある之介の同郷でもある、青野敏行の登場です。威厳たっぷりに登場した青野は槍を振りかざしたかと思うと、突如「俵星玄蕃」を熱唱。最初は大人しく聞いていた一同でしたが、次第に飽きて、舞台上で飲み物を飲んだり、写メを撮ったり、席を外したりと、退屈そう。やっと終わるも、父親は悪党にあっさりやられて、今度こそ絶体絶命のピンチに陥ります。
そこで「待ちな!」とセリから登場したのは、まさにある之介その人。悪党たちを華麗にやっつけると、「さあ、踊れや歌えの大騒ぎ」と、最後のあるあるタイムへ。
「乳酸菌あるある」をBOOWY「Dreamin'」にのせたところ手こずり、2曲目の「君は1000%」で「乳酸菌1000%!」と調子を取り戻すと、「Lカゼイ・シロタ株って何」と歌い、会場の気持ちが1つに。途中、写真撮影を解禁し、「これを世界中に流すのが、みんなの役目」というお達しも。最後は客席を練り歩きながら、「イルカ」あるあるを、お気に入りのTHE YELLOW MONKEY「JAM」にのせて、「かわいいあるある」と「厳しいあるある」の2つを歌い上げたある之介。あるあるが終わると、「また祇園に帰ってまいります。もしくはあなたの町に」と挨拶しました。
改めての挨拶で、ある之介は、フォローに務めたおぎのに「今後は君が(ザ・プラン9)浅越ゴエの役をやってもらうよ」と大きな期待。逆に青野からは「素晴らしい! もうしっかり座長としてやっていける」と太鼓判を押されます。その青野がある之介にエールを送るように、「これからも御贔屓くださいますよう、隅から隅までずずずいーと、よろしくお願い申し上げます」と、見事な口上で締め。「日本一!」「ある之介!」「座長ー!」と客席から声が響く中、無事旗揚げ公演が終了しました。
公演後ある之介は、「手ごたえがありすぎてビックリしてます」と感無量の様子。「大爆発コンテンツをいくつか持ってるんですけど、そのうちの1個に入ったでしょうね、完全に」と確信を得ました。そして、「新喜劇でお世話になった青野さんとか、靖子さんとか、僕がまだあるあるをやってない時期に『チャンバラ新喜劇』に出してくれたカートヤングに、なんか恩返しできたなというのがすごくうれしいです」と、かつて自分を助けてくれた人たちに感謝。「漫才もそうですけど、今までやってきたことに1つも無駄なことはなくて、全部帰ってきました」と語りました。
また、「ここ最近のあるあるイベントは、アーティスト気取りだったというか、上から目線だったところは否めないというか。大衆演劇を見に行って、お客さんに喜んでもらうことこそ、という気持ちを思い出して。今日はその気持ちでやりました」と、これまでの自分を振り返ったRG。「あるある信者の皆さんはほんとにノリがよくて、1を投げたら1000で返してくる人たちなので、初公演なのに、偽物ですけど御札のレイとか、お花とかいっぱい持ってきてくれて。なんかもう今日はいろんな原点に立ち返れたような気がします」と、あるあるを支えてくれたファンからいろんなことを学んだよう。「今後は、温泉宿めぐりの案もでてますし やっぱり1人1人によろこんでもらいたいので、公民館、市民会館や、大衆演劇が好きなお年寄りのところなど、幅広く行きたいと思います」と意気込みを見せていました。