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2015年7月20日 (月)

『文枝SHOW2015』

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7月16日、なんばグランド花月にて桂文枝の旭日小綬章の受章を記念する落語会『文枝SHOW2015』が行われました。開催前には、今年3月に亡くなられた桂米朝さんを偲んで18年ぶりに古典落語に挑戦することも話題となり、多くのお客様がNGKにお越しになりました。あmた、ゲストの春風亭小朝さんの落語も堪能できた、贅沢な一夜となりました。


7月16日は文枝の誕生日でもあり、場内はお祝いムードいっぱい。そんな中、まずは桂三若が登場し、『秘伝書』を披露しました。開口一番「寝起きのジュリーです」と自称し、笑いを誘う三若。現在は東京在住、大阪は安心して落語ができるとマクラで。落語では秘伝書を口上師の口調で語る三若。リズミカルな語りと現代の世相も取り入れた分かりやすさで魅了しました。


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続いてゲストの春風亭小朝さんが登場。文枝に古典落語を勧められた、まさに張本人であられる小朝さん。一席目は『大名の茶の湯』を披露されました。お茶の会に有名な戦国大名が次々と出てくる噺は親しみやすく、コミカルかつさっぱりとした江戸の雰囲気も味わわせてくださいました。


そして文枝の登場です。創作落語『別れ話は突然に...』を口演。この日、台風に見舞われた関西地方。高座に上がると「今日は呼んでもない台風も来て...」と足元の悪い中、お越しくださったお客様に感謝の言葉を述べました。旭日小綬章の受章、1971年1月から司会を務めるテレビ番組『新婚さんいらっしゃい!』が、同一司会者のテレビトーク番組最長放送としてギネス世界記録に認定と、おめでた続きの文枝。そんな中、自身の誕生日に触れ「まさか72歳になるとは思いませんでした」としみじみ。また、『新婚さんいらっしゃい!』の名物ともいえる文枝の"コケ"が、新婚さんからいつも期待されていると番組プロデューサーから聞いたそうで、無事にコケるためにも健康を常に意識していることを話し、「歩くのが一番」と毎日、散歩をしていることも明かしました。日々の散歩コースには、なじみの喫茶店もあり、そこで他のお客様たちが繰り広げるエピソードでも笑わせました。そんな方々を見ているだけでも元気が出ると文枝。披露した『別れ話は突然に...』は、ある老夫婦の熟年離婚の騒動を描いた一席です。夫と妻、もう我慢できない互いの言い分は第三者からすると「どっちもどっち」なのですが、当人同士は日々の生活にかかわる重大な問題。そんな夫婦に翻弄される息子と娘の心情も描いた、家族の物語で沸かせました。


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中入り後、ほんのりとした灯りの中で小朝さんが『男の花道』をたっぷりと。医者と歌舞伎役者の約束を描いた噺は、スリリングな展開にハラハラドキドキ。江戸時代の芝居小屋やお座敷の風情も楽しめました。


そして最後は文枝の『抜け雀』です。古典落語を高座にかけるのは実に18年ぶりのこと。『抜け雀』は桂米朝さんの十八番の一席。宿賃の代わりに絵師がつい立てに描いた雀が命を宿す奇跡を描いた古典の大作です。高座に上がると「いよいよでございます」と文枝。『抜け雀』は米朝さんが四代目文枝に稽古をつけてもらったそうで、三代目、四代目文枝の十八番だったとのこと。「一代置いて文枝に戻ってくる瞬間を観てほしい」と期待を煽ります。また、なぜ先代文枝は手掛けなかったか、ということにも触れ、「この噺はさほど面白くないんです」と笑います。「五代目は派手で見せ場のある落語を得意としていたので」と文枝。そして「米朝師匠がお亡くなりになって、何とか師匠がおやりになった、四代目につけてもらった噺をしたかった」と挑戦するにあたっての思いを語りました。


『抜け雀』に登場する無一文の絵師が宿泊した舞台は、東海道57次の56番目に当たる枚方。その昔、江戸時代の枚方がどんな様子だった、活気に満ちたその光景を丁寧に描き、噺の世界へと誘いました。そしてとある宿屋での絵師と主人とのやり取りを面白おかしく語りながら、つい立ての雀が起こす奇跡を臨場感たっぷりに魅せる文枝。クライマックスでは浄瑠璃も語るなど見せ場も盛りだくさん。約1時間に及ぶ熱演で終始、惹きつけました。


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無事、高座を終えた文枝に降り注いだ万雷の拍手。お客様も大満足されているご様子でした。サゲに工夫したことなどを明かし、「米朝師匠のおかげです。今日はありがとうございました」とご挨拶。そしてゲストの小朝さんにもお礼を述べると、舞台袖から小朝さんが登場されました。「普段のNGKとあまりに違いますね」と小朝さん。水を打ったような静けさの中、お客様が集中して聞かれていた様子に感銘を受けられていました。また、小朝さんには「ウケが悪かったら二度とこの噺はやらない」と事前に話していたという文枝。小朝さんが「(次は)どうですか?」と聞かれると、「もっとウケが悪いと思っていました。でもやる気がでました!」と語り、「もちろん米朝師匠と比べるとまだまですが、これからもっと練り上げて。そして小朝師匠に勧められた『紙屑屋』もチャンレジしていきたいと思います!」とますますの落語への挑戦に意気込みました。

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『文枝SHOW2015』を終えた直後に感想を語った文枝。「(お客様)よく台風の日に来てくださったなと感謝します」とお礼をのべました。そして18年ぶりの古典落語については、「古典は難しいなと思いました。古典をやっていきながら創作落語へと傾倒していったのですが、やっぱり難しい古典からいろいろ学ぶことが多かったです」と改めて自身の礎になっていることを話しました。そして「気がついたら1時間しゃべっていました。よう倒れんとやったなと思いました。1時間クリアできた、元気にしゃべれたことが、自分へのいい誕生日プレゼントになりました」と安堵した様子でした。

米朝師さんへの思いを改めて尋ねると、「亡くなられてますます師匠の偉大さがわかってきました」と偲びます。戦後、存亡の危機にあった上方落語を復興させたお一人として、「中興の祖」と語られる米朝さん。「米朝師匠はいろんな師匠から噺を聞いて、ネタを本に残されました。それは我々にとっても大変な財産です。『抜け雀』は(現代では)分かりにくくなっている部分もあるので、私も少しでも頑張ってできれば、師匠のお礼にもなるかなと思います」と敬意を表しました。


またこの日は、ピース・又吉直樹が芸人で初の芥川賞を受賞したニュースも駆け巡りました。文枝も250作を超える創作落語を生み出しています。同じ表現者として「『火花』を読んで感動しました。(受賞して)本当によかったです。誕生日もさることながら、又吉くんの受賞も嬉しく思います」と称えました。そして「素晴らしい才能をお持ちだと思います。私も創作落語を250作以上、作りましたが、又吉くんは才能にあふれています。漫才師でこんなに文才がある人はよしもと100年の歴史でも初めではないかと思います。今度は創作落語を書いてほしいですね。『火花』は落語にしにくいです(笑)。本当によかったです」とエールを贈りました。


創作落語に古典落語と、72歳を迎えたこれからもあくなき挑戦を続ける文枝をどうぞ応援してください!


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