「銃後を考えるきっかけに...」 『この国の空』公開記念イベントに荒井晴彦監督と青山真治監督が登壇
8月8日(土)公開の映画『この国の空』の公開記念トークイベントが、7月29日(水)に都内で行われ、上映後、本作の監督、脚本を務めた荒井晴彦さん、映画『共喰い』でタッグを組んだ映画監督の青山真治さんが登壇。
『キネマ旬報』の明智編集長の司会のもと、日頃の親密さを伺わせるざっくばらんな口調ながらも有意義なトークを40分ほど繰り広げました。
青山監督は、本作をこれまでDVDで3回鑑賞し、今日の4回目で初めてスクリーンで観たそうですが、「大変感銘を受けました。こういうことやるのが、我々の仕事だよねって最初っから思ってたこと...」と改めて感想を述べます。
特に感銘を受けたのは、「特に川べりで母と娘が歌うシーンは、ちょっと...泣けましたね」と告白。
それを受けて荒井監督は、ロケ地の河原が殺風景だったため「どうしようかって、ただ川が流れて...(笑)」と呆然としたとのエピソードで笑いを誘います。
他にも主演の二階堂ふみさんの声の出し方、セリフ回しについて意見を交わしたり、成瀬巳喜男監督作品における戦時中の暮らしぶり、ロケハンの苦労話など、とっておきのエピソードが続出。
また、18年ぶりにメガホンを取る荒井監督ですが、その18年前のスタッフルームが青山監督と隣同士だったとの奇遇も明かされます。
その時、青山監督から見た荒井監督は、そっけない態度に見えたそうですが、「単に人見知りしているだけ」と荒井監督は弁明し、さらには「あの時も、評価してくれた数少ない監督の一人だよね」と青山監督に好印象を持った様子。
終盤に入ると「こんな映画、めったにないと思いますよ」「戦争の時代を描きながら、そこからの距離を持ってるみたいな...」と青山監督の熱弁が加速し、「銃後ということを改めて考えるきっかけになるんじゃないかと思います」と現代日本の世相を重ねあわせます。
そして「こういう人が粘り腰でこういう映画を作っちゃうっていう重要さを声高に語っていただきたい。あっちこっちで」と来場者に訴えかける青山監督。
一方の荒井監督は「映画じゃ世の中そんな変わんないですよ。反戦映画っていっぱいあるけど、戦争ってなくならないじゃないですか」との見解を述べながらも、「映画対映画で闘っていきたいですね」として、同日封切りの日本映画にライバル心を燃やすのでした。
『この国の空』は、8月8日(土)より、テアトル新宿、丸の内TOEI、シネ・リーブル池袋ほか、全国ロードショー。
詳細は、公式サイト(http://kuni-sora.com/)でご確認ください。
(c)2015「この国の空」製作委員会