ピース・又吉、芥川賞贈呈式にて「お笑いも執筆も両方必要なもの」と表現の場があることに感謝!
8月21日(木)、都内にて『第153回芥川・直木賞 贈呈式』が開かれ、初めての純文学作『火花』にて芥川賞を受賞したピース・又吉直樹が登壇しました。
今年2015年1月に発刊された文芸誌『文學界』に初めて掲載されて話題となり、3月に単行本になってからはさらに注目は加速。第28回三島由紀夫賞は惜しくも逃したものの、7月に発表された第153回芥川龍之介賞を、羽田圭介さんの『スクラップ・アンド・ビルド』とともに受賞しました。
多くの招待客、報道陣が詰めかけた同贈呈式には、羽田さん、そして『流』にて第153回直木賞を受賞した東山彰良さんとともに出席しました。
まずは贈呈式が行なわれ、目録と記念品の懐中時計が授与されました。
選考委員を代表して挨拶された島田雅彦さんは、「この度、芥川賞は又吉さんと羽田さんという秘密兵器を世に送り出すことになりました。選考委員のみなさんの強力なライバルとなるにも関わらず、世に送り出した自殺行為は大いに誉められるべきだと思います」と笑わせながら、「かつて日本近代文学の役目は終わったと言われました。政治は先祖帰りをしているようですし、歴史はさらにまた繰り返されようとしている中で、近代文学の役目が終わりということも撤回せざるを得ない気配です。青春小説といってもいい異質の2作は、今後の文学の行方を占う上で目安となる作品と考えています」とコメント。「お2人とも30代で、これからより優れた作品を書き継がれていかれるだろうt思いますが、お2人ともどこか青二才っぽさが好感を持てるところとして挙げられます。又吉さんは芸人としてテレビに出演されているときに、"なんでここに(自分が)いるのだろうか"という雰囲気を漂わせています。」と印象を。「小説家というのは、お山の大将になる人間や長いものに巻かれる人間は不向きです。王様は裸だと言う子供に似ているような人間が存在しているというだけでも、文学の存在価値は辛うじて残ると思いますし、お2人には今後そういう役目を担っていただかないといけない訳です」と期待を寄せつつ、「たかが新人賞ではありますが、かなりのプレッシャーを背負わないといけなくなった訳で、必ずしもめでたいことではないと嫌みを言って、この場を去りたいと思います」とウィットに富んだコメントで場を湧かせながら、「改めて受賞おめでとうございました」と祝いました。
羽田さんに続いての挨拶となった又吉。
「『文學界』2月号に『火花』を発表させていただき、(同誌が)増刷になってすごくビックリしたんですけれど、僕が主催のお笑いライブをやるとき、1~2万人という人数を集めることは正直できないんですね。そこで、僕が思ったのは小説を普段読まなかった人、興味があるけどなかなか(小説を)手に取る機会がなかったという人がそれだけいた(注目してくれた)というのが嬉しかったんです」と静かに振り返ります。
「芥川賞の候補になってより多くの人に読んでいただいて嬉しかったんですけど、考えることがありまして」と切り出し、「よく"芸人と作家どっちや"と聞かれることが多いんですけど、デビューしたての頃はあまり仕事がなく、アルバイトの面接も受かるタイプじゃなかったんで生活が苦しかったんです。その頃、よしもとの社員さんが"本が好きやったら、文章を書いてみたら"と言ってくれて。400字から始まって、そこからいろんな方にチャンスをいただきまして、2009年に作家のせきしろさんに誘っていただいて、自由律俳句とエッセイの本『カキフライが無いなら来なかった』(幻冬舎・刊)を出版することができたんです。それが芸人としても、大きな自信につながったというか。芸人をやる上でも、文章を書かせてもらうことは大きかったんですね」と当時を思い出すように、一言ずつ丁寧に滔々と語ります。
また、「よく"芸人100%で、それ以外で文章を書いていく"と話していますが、僕にとってはどっちが上とかではなく、両方必要だと考えています」と断言。「島田さんが先ほど仰ったように、芥川賞の候補になったときから次はどうすんねんみたいなことを聞かれてプレッシャーを感じるでしょうと聞かれるんですけど、確かに最初の何日かはゲェ吐きそうやったんですけど」と笑わせながら、「仕事のない時期が長かったんで、どうなろうとも表現する場を与えてもらっていることを(今、)嬉しく思っています」と現状に感謝。「今回受賞することによって書かないのは失礼な気もしますし、今後書くべきだと思っています。面白いものを書いて、またみなさんに読んでもらって率直な感想をいただけば励みになりますので、今後ともよろしくお願いします」と締めくくりました。
授賞式後は、祝賀パーティへ。お祝いに駆けつけたのは相方・綾部祐二、平成ノブシコブシ、ジューシーズ・児玉智洋、サヨナラダンス・中村元樹、パンサー・向井慧。
平成ノブシコブシ・吉村は「一生出られない、しかも観たことない格式のある式に出させていただきました。飯がとにかく美味かったですし、普通に文豪の方がいらっしゃったり、きれいな方もいらっしゃったりして貴重な経験をさせてもらいました。今後も又吉に乗っかっていきたいと思います!(笑)」とコメント。同居人である向井も「人生でなかなか経験したことのない場所に連れて来ていただいた」と感謝しつつ、「いつも又吉さんの近くにいるので、この前、FUJIWARA・藤本さんに"お前、又吉に乗っかりすぎやぞ"と言われました(笑)。でも、これからも又吉さんの近くにいて、僕なりに頑張っていこうと思います」と刺激を受けた様子。児玉は贈呈式には間に合わなかったものの、祝賀パーティの途中で到着。「前の仕事は、日ハム対オリックスの始球式で。そこから祝賀パーティと、一生味わえない体験をさせてもらいました。その始球式も、松橋が東急ハンズさんにお世話になっていることからいただいた仕事で。相方と又吉さんのおかげで、いい1日になりました」と感無量の様子でした。
また、選考委員の島田さんや公私ともども親交のある作家・中村文則さんと談笑したりと終始なごやかなお祝いとなりました。
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