聖なる夜、シスター・エリーとシスター・郁子がみんなの心にイルミネーションを点します――。12月24、25日「物語の生まれる場所 at 銀河劇場 vol.2」開催!
12月24、25日、東京・銀河劇場にて、大宮エリーさんと原田郁子さんによる朗読と音楽との一夜限りのセッションイベント「物語の生まれる場所 at 銀河劇場 vol.2」が開催されます。
昨年に引き続き、2度めの開催となった本公演。映像クリエイター、脚本家、CMディレクター、作家、エッセイストなどマルチな才能で人気の大宮エリーさんがプロデュースする朗読と音楽のセッションイベントが、今年はゲストにクラムボンの原田郁子さんを迎え、24日はバンド編成、25日は2人による朗読と音楽とライブペインティングという2daysでの開催となりました。
以前から親交があるというお2人に、本公演を開催することになったきっかけや意気込み、またクリスマス開催にちなんでクリスマスの思い出などもたっぷり伺ってきました!
(左:原田郁子さん、右:大宮エリーさん)
――昨年に続いて「物語の生まれる場所vol.2」が開催されるということですが、まずは今年も開催することになったいきさつから教えてください。
大宮 理由は2つあって。まず、去年やってみて手応えがあったんですね。「感動しました! またやってください」みたいなメールもいただいて、「こういうことを毎年できたらいいなぁ」って思ったというのがひとつ。あとは、5年前から原田さんとは仲良くしていて、3年前に『変わる』っていう曲を作ったんですけど、その曲を今年のクリスマスに発表したいなという思いがあって。それと、以前プラネタリウムの演出をやってほしいという依頼があったとき、いろんな星座がそれぞれの人に話しかけるようなお話にしたんですよ。で、その物語を原田郁子ちゃんの音楽が紡いでいくんですけど、それが結構好評で。じゃあ今年どうすんの?って思った時に、みんなでその空間を共有できたらいいなって思って、"耳で楽しむプラネタリウム"みたいなことがやれたらいいなって思ったんです。
――じゃあ、今回の公演は昨年のこのイベントの発展形でもあり、プラネタリウムのイベントの流れを汲むものでもあるんですね。
大宮 そうですね。しかも今年、開催がクリスマスなんですよ。だからいろんなことやらなきゃいけないな、みたいな(笑)。来てくれた人に「来てよかった」って思われるような演目にしようと思っています。前回の朗読と音楽のステージだけじゃなくって、星の個展の一部、「星をかき分けて歩く」とか、「天の川が体にうつる」などを会場内に再演したりとか......。小さかった頃、亡くなった父がクリスマスには絶対家に帰ってきてくれてたんですね。ふだんは仕事が忙しくてあんまり帰ってこなかったんですけど、クリスマスだけは一緒にレコードを聞いてくれて、1年どうだったかって話をして。ロウソクをつけて、その熱で回る天使のオモチャがあって......、そこでクリスチャンでもないのに父がみなの健康を祈り、それぞれ来年からどうしていくか、などを考えるっていう(笑)。そういうのを毎年やってたんですけど、みんなとそんな、あたたかな、家族的で、そしてそれぞれにとって内面的な時間ができないかなと思ったときに、郁子ちゃんとならできるなって。郁子ちゃんには、会うたびに気づかされる。心に光が差し込むようなことがあったりして、そういう心のつながりみたいなことってやっぱり大事だよね、今発信していかなきゃいけないことって、そういうことなんじゃないの?って、思ったんです。焦りにも似た気持ち。いろんなエンターテイメントがあるけど、みんなに大宮チャペル的なことをやらないといけない!と勝手に思って(笑)。だからシスター・エリーとシスター・郁子がみんなの心に、なにかそれぞれが変わるきっかけや、きらきらしたものを点火する!みたいな。みんなの心の中をイルミネーションするぞ!みたいなことをやりたいんですよ。
――原田さんは今回、ライブという形で共演されることについてどう思われていますか?
原田 そもそもエリーとは、たしかスチャダラパーのBOSEさんに「今から大宮エリーと会うんだけど、よかったら一緒に行かない?」って誘われたのが最初で、共通の知人がいたりすることもあって、仕事相手と思ったことはないです(笑)。ただ、同い年で、お互いがむしゃらに20代、30代をすごしてきて。私は音楽のことだけをずっとやっていて、彼女はいろんなことをものすごくエネルギッシュにやっていて。嬉しいときの「嬉しい!!!」とか悲しいときの「悲しい......」とか感情の振り幅が子どもみたいにむき出しで、「面白い人だな~」って。でも時々「大丈夫?」って思うときがあって。「このままだと転ぶよー。エリー! ストップ! いったん落ち着こう」って言いたくなるときがある(笑)。本人はやるべきことに向かってただただ猛進してるんですけど、そこに集中するあまり、どっかで自分のこと――体とか気持ちとかを置いてきぼりにしちゃってるところがあるんですよね。私もそういうところがあるんでわかるんですけど。で、そういう時にたまたま会うんですよ。今年でふたりとも40歳になって、そろそろペースとか呼吸法を考えないと、体力も時間も限られてるから。そんな感じで、他の人にはあんまり話してない悩みとかそういうことをふたりで会って話すっていう時間があって。......だから、初めて曲を作ったときも早かったね。
大宮 うん。
原田 彼女が「言葉を書く!」ってなって、パソコンの前に座って一気に書き上げて。その集中力もすごかったんですけど、その言葉を見たときに、もうメロディが聞こえていて。で、「あ、できるかも」ってピアノに向かったらそのまま『変わる』っていう曲ができた。歌ってそんなにたくさんの言葉がいらないから、彼女の長い文章を要約したんですけど、「言いきれてないところをエリーが間奏で朗読してみたら?」って言って。一回ライブでやってみたら、歌と言葉と音っていうのが混ざりながらひとつの物語ができていくような感じがあって、「なんかこれ、新しい!」って(笑)。ものすごくプライベートなところから出てくる何か。「ああ、こういうふうに歌ができることもあるんだな、ふたりにとってきっと必要だったんだな」って思ったんです。で、その後もエリーの言葉から『つぼみ』とか『きどく』って曲ができて。どれも一見、元気で明るそうにふるまってるんですけど、その人の内側ではこんなこと思ってたんだ、ってちっちゃいものを見せてもらったような言葉なんですよね。それが歌になったときに、映像みたいにすごく立体的に見えてくるっていうか......。だから、この2人でやってることのジャンルをなんて呼べばいいかがまだわからないんです。
――24日と25日でやることが違いますが、それぞれどんな感じなんでしょうか?
大宮 24日はクリスマスパーティみたいな、大勢でわいわいやって音があふれるような感じ。スペシャルゲストも決定しました! まだシークレットですが、あっと驚くあの方が、飛び入り参加で歌ってくれます。そして、25日は来年にむけて2人だけで向き合って。巨大な絵を描きます。見ていてスカッとしますよ。色があふれる感じ。バイオリンも弾くし絵も描くんですけど、いろいろありすぎて2人でやってる活動を1日ではできないなと思って(笑)。ライブペインティングは以前にも一緒にやったことがあって。郁子ちゃんが歌を歌うんですけど、2曲ぐらい聞くと絵が浮かんでくるんですよ。で、「海だな」と思って海を描くと、みんなもそう思ってたみたいで、「はいはいはい」みたいになるんです。私がみんなの最大公約数のきもちを、絵として描いていく。たとえば、聞いてると不安な感じがするなと思ってグレーの空を描いたらみんなが「そう~、不安な感じ」を感じてたな~って気づく(笑)。で、「あれ、まずい。不安にさせすぎちゃったかな?」って思ってたら、郁子ちゃんの音が救いっぽくなってくる。それで、「虹だ!」って思い、虹を描いたらみんなが「オー!」と、そうそう虹だ!と。だから、三者で物語を作ってるライブ。まさに「物語の生まれる場所」。お客さんが第3の共演者なんです。そういうライブペインティングとさっきのプラネタリウムの話を同じ日に楽しめるのは、なかなかないかなと。24日は、みんなが盛り上がるクリスマスソングや懐かしの曲もやりますし、わーわー歌っていただけたら。スペシャルゲストがあんな曲歌う、ってのも面白いと思います。2日来ていただくのも、楽しいですよ。きっと、達成感あると思います。私たちと一緒に、やりきったな~!って(笑)。
――先ほど、言葉と歌が映像みたいに見えてくるという話がありましたが、ちなみに、昔と今とでは見たい映画に変化はありますか?
大宮 私は『サウンド・オブ・ミュージック』っていう映画が大好きで、何十回も見てるんですけど、テレビでよく見ちゃうのがスター・ウォーズの『ジェダイの復讐』(※現在は『ジェダイの帰還』に改題)(笑)。最初のお話から見たいと思うんですけど、いつも見ると『ジェダイの復讐』なんで、何に復讐してるのかさっぱりわからない(笑)。だから(新作が公開される)今こそ最初から見よう!と思ってます。
原田 私も『サウンド・オブ・ミュージック』はすごく好きですね。最後の「エーデルワイス」のシーンが大好きなんですけど、最初はお父さんが歌い出して、途中で詰まって歌えなくなると家族みんなが出てきて一緒に歌って、それからだんだん劇場中の人が歌うんです......。その声がすごい。子どもの頃は、どういうことかよくわかっていなかったんです。戦時中で、歌の中には何一つそのことは歌ってないんだけど、それぞれ故郷のことを想ってるっていう......。毎回泣いてしまいますね。
大宮 でも、そういうことがやりたいんだよね。『変わる』っていう曲も、「変われるよ、きっと。私もあなたも、そしてこの国も」って朗読するんですけど、今いろいろあるじゃないですか、日本が。不安だし......。そういうときに、いろんな活動がありますけど、私たちはこういう曲を作っていくことをひとつの活動としたいっていうか。渋谷でライブをやって、『変わる』を歌ったときに、さっき言ってた「エーデルワイスをみんなが歌う」みたいな感じになったんですよね。
原田 うーん。ひとつのことについて、反対とも賛成とも言えない心情ってあるんですよね、すごく。でも今は息をつめて見守るしかない、みたいな状況が続いてて。『変わる』ができたときも地震の後の、どうなっていくんだろうっていう不安が渦巻いてるときで、違う言い方ではあるけど、そのとき思ってることがそのまま歌になったというか。
大宮 だから、一体感でぐっとなったときに「みんな思ってたことだったんだなぁ」って思ったんですよ。みんな泣いてたから、「ああ、みんなやっぱり不安なんだな」って。みんな不安だったんだってわかるとホッとするじゃないですか。そういう体験をしちゃったから、これはやめるわけにはいかないって思ったというのはありますね。
――じゃあ、これからもお2人でコンスタントに活動されるんでしょうか?
大宮 そうですね。ここから先も郁子ちゃんと一緒にいろいろやっていきたいなと思っているので、それの生誕祭っていうか。
――ちなみに、開催日がクリスマスですが、ご自身の思い出のクリスマスは?
大宮 昔、20代の頃に付き合ってた人がいて、彼氏に「クリスマスだからどっかゴハン連れてってほしい」って言ったら「オレはクリスチャンじゃない」って言われて、いつもの中華料理屋に連れていかれて。で、ビアジョッキで乾杯したときに「メリクリ!」って言われたんですよ(笑)。そのとき担々麺を食べてたんですけど、担々麺が辛すぎたのか悲しすぎたのか、すごい涙が出てきて......(笑)。うまくいったクリスマスよりも「なんだコレ?」みたいなクリスマスの方が記憶に残ってますね。でもそういう、ちょっと切なかったりさみしいのがクリスマスなのかなって気もします。
原田 私は......、ちっちゃいときってクリスマスは特別だったんですけど、サンタさんをまぁまぁ大きくなるまで信じてたんですよ、本気で(笑)。
――それは、中学生ぐらいまでですか?
原田 高校を卒業して、18歳で上京するまで、です。
大宮 え~っ(笑)!?
原田 今となっては親もよくやったなって思うんですけど。
大宮 親も心配になってたんじゃない? 「まだ信じてるよ......」って(笑)。
原田 終わるに終われないって思ってたのかな(笑)。東京に来て「えっ、信じてたの!?」って言われて......。なんか、人に言っちゃいけないって思ってたんですよね、大事すぎて(笑)。
大宮 (爆笑)。
原田 (サンタさんが)来たか来ないかは、聞いちゃいけないって思ってて。
大宮 ああ、来ない人もいるもんね。
原田 そうそう(笑)。そんな感じで、子どもの頃は特別だったんですけど、最近はライブだったりすることも多くて、プライベートでクリスマス感ってずっとないかな。
――でも今回は、ライブにもクリスマス感があるんですよね。
大宮 そうですね。そのクリスマス感を出すために、私の父の形見のアンディ・ウィリアムスのボロッボロのレコードと、あと"パンダちゃん"って呼ばれてる、LPレコードを聞くプレイヤー......パンダの耳が抜けるようになってて、それがマイクになってるんですけど、かじりすぎたみたいでマイクがボロッボロなんです。それを貸し出して聞いてもらおうと思っていて。
原田 "パンダちゃん"とレコードで、うちにもクリスマスがやってきました。
大宮 そうそう。父親の念が入ってるからね(笑)。
原田 そのガジガジのマイク見てたらなんか涙が出てきて(笑)。エリーはこれでどのぐらい歌ったんだろう?って。やっぱりクリスマスソングってすごいなって思いますね。だってこの時期にしか聞かないじゃないですか。でも聞くと「わー! もうそんな時期?」ってなるし。
大宮 私は、クリスマスソングには『マッチ売りの少女』のマッチを擦ったら炎の中に見える幸せな映像みたいなイメージがあって、聞くとハッピーな気持ちになれるんですよね。で、父親がレコードを止めた瞬間「あ、(クリスマスが)終わった」という感じがして。あれをみんなで体験したいなって思ってます。あとは当日スペシャルドリンクみたいなのを出して全員にプレゼントしたり。料理人の青山有紀ちゃんと友達なんですけど、有紀ちゃんも「行くがな!」って言ってくれて、この日の為にケーキとか、お酒に合うクリスマスフードを劇場で作ってくれることになって。そういうスペシャルなこともいっぱい用意してます。
原田 あと、CDもすこしだけ販売することにしました。
大宮 会場用にMIXしたんだよね。
原田 エリーが、「せっかく来てくれた人に、クリスマスプレゼントみたいなものをつくりたい」って言って。全部手作業なんです。ジャケットが巾着袋みたいになってて。
大宮 それも郁子ちゃんが手作業で布をカットしてくれて。そこまでやる?って思ったけど(笑)。「人と人との温かさとか、人との向き合いみたいなのを表現したい」って言ったら、「じゃあもう徹底した方がいい」って言われて、なぜかチラシも手作りだし、しかもそれを自転車で配ってるっていう(笑)。
原田 2人で実行委員会を作って。
大宮 2人しかいないんですけど(笑)。でも、かかわってくれたみんなは実行委員会、みたいな感じで。だから今日ここにいるライターさんたちも実行委員会です(笑)。
――では最後に、意気込みとお客さんへのメッセージをお願いします。
大宮 仲良しコラボと思われがちですけど、3年前から2人では何かやっていきたいねって言ってたこともあって、本気でやるので、安心してクリスマスという大事な日に劇場に来ていただいて大丈夫です。必ず心にイルミネーションを点したいと思ってるので、ぜひ来てください!
原田 この、「物語の生まれる場所」っていうのはエリーの本のタイトルなんですけど、すごくいい言葉だなと思うんですよね。「大宮エリーと原田郁子の物語を見てください!」じゃなくて、どんどん俯瞰して見ていくと、ホントにひとりひとりに物語があって、いろんなことがあって。だから、せっかく集まれるならそれぞれの物語をそっと見てみる、みたいな時間になったらいいなと、そんなふうに思っているので、年の瀬の忙しいときですが、よかったら遊びに来てほしいと思います。
●公演情報
「物語の生まれる場所 at 銀河劇場 vol.2」
◎12月24日(木) 言葉と音楽、そして、クリスマスソング
開場18:00/開演19:00
出演:大宮エリー、原田郁子、バンドメンバー:芳垣安洋、高良久美子、鈴木正人
◎12月25日(金) 言葉と音楽、そして、ライブペインティング
開場18:00/開演19:00
出演:大宮エリー、原田郁子
会場:天王洲 銀河劇場
料金:【前売券】全席指定 4,500円(税込)
【2日間通し券 】8,000円(税込)
*通し券は銀河劇場チケットセンターのみの取り扱い
【当日券】全席指定 5,000円(税込)
<お問合わせ>銀河劇場チケットセンター:03-5769-0011(平日10:00~18:00)
<チケット>
◎銀河劇場チケットセンター:03-5769-0011(平日10:00~18:00)
◎銀河劇場オンラインチケット:http://www.gingeki.jp/(PC&携帯)
◎チケットぴあ:0570-02-9999(Pコード631-035)/http://pia.jp/t/ (PC&携帯)
◎イープラス:http://eplus.jp/ (PC&携帯)
◎ローソンチケット:0570‐084‐003(Lコード33188)/0570‐000‐407(オペレーター) http://l-tike.com/ (PC&携帯)