林家染丸が噺家生活50年、染丸襲名25年を記念して『うのひ座』を開催!
上方落語界の重鎮のひとり、林家染丸が2016年に芸能生活50年、染丸襲名25年を迎えます。それを記念して、2016年1月17日(日)から1年を通して月に一度、天満天神繁昌亭で染丸精選落語会『うのひ座』を開催することが決定しました! 『うのひ座』は、林家一門や講談師など染丸とゆかりのある人々を交えて染丸の芸能生活50年、襲名25年をお祝いする会。林家一門にゆかりのあるネタや上方落語の大ネタはもちろん、染丸のうんちくなどさまざまな演目で染丸が長い演芸生活の中で得た知識を楽しく見ていただける内容になっています。
それに先立ち、12月21日(月)に天満天神繁昌亭に林家染丸と弟子が集結。『うのひ座』への意気込みや、師匠である林家染丸への思いを語りました。
花丸は「この会は『染丸精選落語会』ということで、それぞれの演者がかける落語のネタは、すべて師匠からの指定のネタです。弟子が自分の持ちネタを師匠にお伝えし、その中から師匠が『ほな1月は誰それのこのネタ』や『トリはこのネタで』という風に、師匠がすべてプログラムを組みました」とのことで、染丸のこの会への熱意が感じられます。
染二は「師匠から、『持ちネタのリストを出しなさい』と言われ、持ちネタリストを出しました。その結果、私は1月の会が『鹿政談』をやることになっているんですが、これは今までいっぺんしかやったことのない噺でございまして...。今、非常に焦っているところでございます」と本音をポロリ。
菊丸も「ちなみに私は1月に『崇徳院』と師匠からご指定いただいたんですが、私、持ちネタリストに『崇徳院』は挙げてなかったんです...。なぜか『崇徳院でいきなさい』と言われまして、今、一所懸命取り組んでいる最中でございます」とのこと。すると染丸が「お前のガラやからや」と指定した理由を明かします。
すかさず染二が「『崇徳院』は、師匠が芸術祭大賞を受賞した記念すべき演目でもあります」と言うと菊丸は「それはそれで、プレッシャーでございます」とやんわり返し、「このように、和気あいあいと、そして余計なプレッシャーをかけ合いながらやっていこうと思っておりますのでよろしくお願いします」と挨拶し、記者陣を沸かせていました。
染丸も、「彩があるし、顔ぶれもおもしろい」と弟子たちの出来に期待を膨らませている様子。
染二が「2月は筆頭弟子の僕と、いちばん下の愛染くんがリレー落語をやるなんて、これは師匠じゃないと考え付かないことですね」と言うと、染丸も「さすがやね!」と自画自賛し、またも記者陣は大笑い。落語の出来栄えを見て、弟子たちがどれくらい力をつけたのかを確かめるのもこの会の醍醐味になりそうです。
染丸から「私が見て、『こいつ、ええな』と思ったら敢闘賞をあげます。現金で!」という言葉が飛び出し、弟子たちの目の色が変わる一幕も。
記者から「敢闘賞の内容は?」と尋ねられると、「毎回、会が終わったらひとりに敢闘賞をあげます。芸に対して意欲につながるように」という染丸の粋な心遣いに弟子たちはますますやる気に。賞金の額は「ないしょ(笑)」とのこと。
会の呼び物のひとつ、対談コーナーの「染丸のうんちく」についても説明が。「師匠に舞台に上がっていただき、普段の落語会ではなかなか取り上げないようなテーマでお話をしていただきます」と説明。1月17日(日)の第1回目のお題は「衣装」だそうで、高座に染丸の思い出深い衣装を並べ、その衣装にまつわる思い出や衣装の解説が聞ける内容を予定しているとのこと。毎月、彩りが変わる見応えのある番組になりそうです。
質疑応答では、「噺家生活50年を迎えてどうですか?」と尋ねられた染丸は「早かったですね。本当に、飽きもせんと」とあっという間だったことを明かします。また、筆頭弟子として31年間、染丸と長い時間を過ごす染二が師匠への思いを語る場面も。
「私が入門したのは師匠が35歳の時でした。師匠は、上方落語のなかでお囃子さんの育成もして、資料も残してきました。書き物をしたり資料映像を見たり、つねに勉強をされていて、パンツ1枚でひっくり返っているなんていう姿は見たことがありません。神様が、上方落語の世界に師匠を生んでくれたのではないかと思うほど芸と共に生きてきた方です。師匠がいなければ、残らなかった噺もたくさんありますし、お囃子さんの育成という大きな大きな功績もあります」と改めて師匠の偉大さに思いを馳せました。また、「幅広い分野で、今回の演目は師匠のDNAそのものであります。師匠の50周年に恥じない芸を、それぞれが自分のキャラクターで演じていけたら」と改めて決意を固めていました。
花丸も、「ひたすら高座にかけてがんばる噺家もいれば、知識を蓄える噺家もいると思うんですが、その頂点にいるのがうちの師匠ではないかと思います。弟子が言うのもなんですが、頂点がいくつかあるとしたら、その頂きのひとつは間違いなく師匠だと思います。師匠の知識の引き出しや、長い演芸生活のなかで見てきた他の芸人さんの姿も合わせてお客さんに紹介してもらいながら、お客さんには『演芸タイムスリップ』みたいな体験をしていただけたらおもしろいのではないかなと思っています」と語りました。
また、体調のことを尋ねられた染丸は「なんか知らんが、舞台に出ると元気になる。不思議やな。高座に上がると調子が上がって、サービス精神が湧いてくる。燃料が自分のなかで作られていくような感じがします。やっぱり(力の源は)お客さんやね」とやる気まんまん。
竹丸は、「私は3月と5月に出番をいただきました。3月は『阿弥陀池』、5月は『いらち俥』をやるんですが、たぶん師匠がご覧になって、『竹丸はこの噺が不得意だろう』と思ってらっしゃるのかな、と。確かにしょっちゅうかけているネタではないので、師匠から課題をいただいたのかな、と思います。一気呵成でいかないといけないネタですので、師匠からの思いをしっかり受けとめてがんばろうと思います」と意気込みを。
笑丸は「私は『植木のお化け』という、滅んだ落語を復活させたんですが、一切笑いどころがなかったので違う方がいいというので『鍋草履』に変えました。こちらも資料を見つけて復活させたんですが、ひょっとしたら5分もないかもしれないです(笑)。びっくりしましてね。これは膨らまさなあかんな、と...」というと、「それでええ」と染丸。果たしてどのような結果になるのでしょうか?
卯三郎は「師匠の目の前で落語をやらせていただいても、直接ご指導いただける機会があまりないので、今回は師匠に見ていただけるということで一所懸命やらせていただき、勉強させていただきたいと思います」と語りました。
愛染は、「『うのひ座』の話が出たのが今年の夏ぐらいでした。それから師匠は毎日のようにこのことを考えてはりました。番組はどうしようとか、誰を呼ぼうとか、すごく楽しみにしてはるんです。それでご自身もしゃべることに意欲が出てきたのか、体力をつけようということで毎日お肉を食べるようにしてはるんです。お肉を毎日食べるので、わたしも結構ご一緒させていただき、お肉を頂戴する機会が多くなりました。これからも、毎日お肉を食べていただきたいです(笑)。師匠がとても楽しみにしている会ですので、我々も期待に応えられるようにがんばっていこうと思います」とのこと。
2016年1月から1年間、林家一門が勢力をあげて毎月お届けする染丸精選落語会『うのひ座』。落語の醍醐味はもちろん、対談から講談、三味線なども楽しめる、染丸の演芸生活50年がぎっしりつまった内容となっています。ぜひお越しくださいね!
はなしか生活五十年 染丸襲名二十五年記念
染丸精選落語会『うのひ座』
場所:天満天神繁昌亭 (大阪市北区天神橋2-1-34)
開催日:1月17日(日)、2月21日(日)、3月19日(土)
※4月以降のスケジュールは決まり次第随時発表
開催時間:17:30開場、18:00開演
料金:前売3,000円、当日3,500円(全席指定)
チケット:
●チケットぴあ ☎0570-02-9999 Pコード597-700
(ぴあ店頭、サークルKサンクス、セブンイレブン)t.pia.jp
●繁昌亭チケット窓口 ☎06-6352-4874(11:00〜19:30受付)
お問い合わせ:林染会事務所 ☎・FAX 06-7850-8849