3月11日(金)、宮川大助・花子が平成22年度芸術選奨文科大臣賞・大衆演芸部門を受賞することが決定し、記者会見を行いました。漫才師で大衆演芸部門を受賞したのは昭和57年度の内海桂子・好江さん、平成4年度の夢路いとし・喜味こいしさんに次いで3組目となり、関西の漫才師としてはいとし・こいしさんに次ぐ2組目。また漫才師の大衆演芸部門受賞も18年ぶりとなり、男女のコンビではなんと、初の受賞なります。まずは、受賞の知らせを聞いた直後の、喜びの胸のうちを語りました。
宮川大助(以下、大助)「本当にうれしいですね。ありがたいというか…」
宮川花子(以下、花子)「夫から『こんな賞をもらえるらしいで』と聞いたたときに、私は彼の横顔をずっと見ながら、わ~、この夫は…私を…」と、涙ぐむ花子。そして、「この夫は私をどこまで大きくしてくれるねん!っていう感謝の気持ちがこみ上げましたね」と言葉を続けました。
また、「大助が倒れたりして、もう漫才でけへんのかなって思ってたんですが、一昨年にコンビ結成30周年を迎えさせてもらって、漫才師としての宮川大助・花子が第一歩を歩ませていただきました。そして1年、2年経ちまして、大助が病気して過激な漫才もできへんかったときに、彼が言ってくれたんですよ。『(これからの漫才は)メッセージやな。メッセージがお客さんに届いたらいいな』って。自分は笑わせた方が…とずっと思ってたんですけど、彼は出番前にも『ゆっくりな。メッセージな。メッセージがお客さんに届くようにな』って言ってくれて。その言葉がずっとありまして。そして今回の賞をいただいたときに、『わ! 見てくれてはってんな~!』っていう気持ちと、倒れてからもまだ、大助には漫才師としての気持ちが輝いててんなっていう思いがいっぱいで、夫には感謝いたしました。そして漫才師・宮川花子としても育ててくれた夫にも感謝しました。それから、見てくださる方にも感謝の気持ちでいっぱいです」と語った。
4月9日(土)には、なんばグランド花月で『宮川大助・花子 結婚35周年記念「つないだ手と手」』を行うふたり。夫婦円満であるポイントは?
花子「何でもイエスですよ」
大助「奥さんの言うとおりにね」
花子「そうですよ。何でもイエスですよ、あなたね。ノー言うてどないになった?」
大助「脳卒中!」
と、新ネタ「Yesといおう」よろしく披露した。
そして記者からの質疑応答へ。
Q.大助さんはいつも『メッセージを届けよう』とおっしゃっているとのことですが、大助さんはどういったメッセージを伝えたい?
大助「師匠に正式に弟子にしてもらうときに、新しい色紙を持って行って『僕に言葉をください』って言ったんですね。師匠自身、心の中に刻む言葉があったようで、古い色紙を持ってきて、そこに『初心と素直な心をいつまでも』とあったんです
。それから、だんだんオッサンになってきて、夫婦の間にもある程度、倦怠期がありますし、漫才にも倦怠期があります。そういうこともありつつ今回、賞をいただいきまして、『Yesといおう』ということで、女房と子供に素直になれるということは家庭が一番平和な状態だなと思って、そこらへんをつついてみたんですけどね。自分たちが灯せるメッセージといったら夫婦円満、家庭円満、それが中心になるものですから」
Q.今、夫婦の仲でも倦怠期もあったとおっしゃいましたが、仲良しの秘訣を。
花子「あなたは(私の)敵か?」
大助「味方」
花子「よ~し! 夫婦といえば史上最強の味方です」
Q.これからも順風満帆にいけそうですか?
大助「順風満帆に? もう、僕の素直ささえあれば大丈夫だと思います。いかに僕が文句を言わないか。これからは大助の努力と忍耐だと思います。もうね、オッサンになると頑固になる、自分の意固地が出てくるし、だんだん暗くなるんでね。ところがおばちゃんっていうのはどんどん明るくなっていく。だから家庭では、お母さんの言うことを聞いとくのが一番ええねんね。子供も明るいし」
花子「そやね。結婚して35年経ったら、女が反撃する年になってくるんですよ。私たちも『おお、来た来た』って思ってたんですけど、夫が倒れてしまって。夫をいじることがほんまに弱いものいじめになってしまったので、労わる気持ちが浮かびましたね」
Q.大助さんにお伺いしたいんですが、これまで漫才はどういうことにこだわってやってこられましたか。そして、今後さらにどのような芸を披露していきたいと思われますか?
大助「年も取ったんでね、和やかで、子供らが見たときに『ああ、こんなおじいちゃん、おばあちゃんええやろうな』って思うようなおじいちゃんでもおりたいし、家庭のハーモニーが自然のハーモニーであって、日本の経済でも何でも、すごくいいバランスになってくれたらいいかなと。そのうち、娘も結婚したら孫もできるだろうし、花子のお母さんもまだいてはるんでね、おばあちゃんを大切にしたり、お母さんが子供を大切にしたり、下の世代が上の世代を敬う姿をもうひとつ下の世代が見ると、ちゃんとした子もできるんじゃないかなっていうのもあるんで、そういうお手伝いができればいいかなと思ってますね。僕がよく言うのは、家庭のハーモニー。父と母と子がいい和音で鳴れば一番いいかなと。嵐も吹けば、断崖もあるしね、病気とか、いろんなものを僕らも経てきて、僕らも全く順風満帆で来たわけじゃないんでね。これは夫婦の話でね、嫁はんも離婚届けも用意してましたからね」
花子「そういう言葉が載るから気をつけてね。こういうことだけすごい載るからね!」
大助「いやいや…、そういう酸味も辛味も全部わかってきた上で、今、いい感じで受け止めてもらえている芸風とか、年齢にもうなってきたんだなっていうのがあった上での話なので。和音。家庭の和音を皆さんに感じてもらえたらいいなって思いますね」
花子「今、すごいわくわくしていますね。この後、なんばグランド花月で漫才するんですけど、早く今、舞台に立ちたいです! 自分たちの舞台を皆さんに見ていただいて、このうれしさをお客さんと一体感を持って共有したいっていうのがすごくありますね。夫が病気したとき『ああ、漫才やっててよかったな~』って自分の口から出ました。それまでは、自分が病気になったときは、『漫才さえしなかったらこんなことにはならなかった』とか、ずっと思ってきた人生ですけれども。一昨年にコンビ30周年公演をやらせていただいたときに、漫才やっててよかったな~って。それに輪をかけるように今回の賞をいただいたこと、自分の頭に王冠を乗せてもらったような気持ちです。それを1分でも1秒でも早く、皆様にお披露目したい気持ちです。漫才でしょ、芸術でしょ、すごいな! うれしくて仕方がないです!」
Q.関西の漫才師では、いとし・こいしさん以来、男女では初めてです。これからまだまだ漫才師の人生が続いていくと思うが、これからをどんなふうに考えてますか?
花子「2年前から大助の『メッセージ』という言葉でやってきましたので、この大きな同士というエンジンをぶら下げて、走り続けていきたいなって思いますね。こうしよう、ああしようというのはありません。自分の現実のこと、皆様方に支援いただいたことをもうちょっと広げて、世間に言っていきたいなって思います」
大助「自分が健康で若いときには全然わかりませんでしたけど、脳卒中でひっくり返ったり、嫁さんも病気したり、そういう病気をしたときの家庭の不安とか不和とかすごく出てきて。そんな中で、今回賞をいただいた理由のひとつであるネタも『素直にイエスと言おう』という前向きなものと、自分の闘病生活をミックスしたネタなんですけど、病気も食生活一つで大分防げる。それを相当勉強したんで、それをバカ笑いしながらひとつずつ勉強できていけたらいいなと思います。それと、自分たちがこうして病気して戦っているときに、若い人から見たらどう思うのかなって思うんですよね。そこで、自分たちは、もうひとつ上の世代、おじいさん、おばあさんを大切にすると。そしたら自分たちの下の子供の世代が自分たちを見てくれるんじゃないかなっていう。そうすると、上の世代に対する尊敬の念とかが出てくるのではないかと思います。また、この賞は、文部科学省からいただく賞で、こういう賞をいただいたというのは、漫才の歴史の積み重ねの中の1ページで、その中で僕らが今、選択されたということで。僕らだけじゃなしに、漫才のレベルがこれからアップしていくんじゃないかと。ましてや若い人たちの漫才ブームのど真ん中で、俺らが60歳を過ぎてからこういう賞をいただくというのは、漫才の役割の中のひとつの働きを僕らがなせたんかなって、ありがたい気持ちで受け止めるところもありますね」
Q.今、闘病ネタとありましたが、ご病気を経てネタに微妙な変化とか、ありますか?
花子「変わりました。『一球入魂』とか、『舞台で死ねたら本望や』とかありましたけど、それは絶対本望じゃないなって。今日は8割かもわからへんけど、その2割は体力温存しといてとか思うし。今までは過激すぎたね」
大助「今までの漫才といのは野球の応援団とかと一緒で、進軍だったんですね。とにかく行って行って。ほんで、嫁がガンで、僕がひっくり返ることによって、仕方なしに別の路線を選ばざるを得ないことがあって。そこに優しさとか思いやり、和とか、いっぱいあったことに気がついたと思います。そっちの方を重視しようかなみたいな」
花子「今、若手の漫才師さんに会いたいね。『見て、こんなん賞、もらえんねんで! 漫才は芸術やで!』っていうことを言って、みんなとハイタッチしたいね!」
大助「彼らのお陰で取れたんや」
花子「そうや。ほんでうちのお弟子さんからも連絡があって『おめでとうございます。宮川という名前を汚さないように引き継いでいきたい』とか、そういう言葉をいただいたりとかもして」
--大きい賞を受賞されて、お互いに声をかけあうとしたら?
大助「(花子に向き合って)愛してます。これだけでしょうね。長いこと抱き合ってもないしね(笑)」
花子「私は冒頭に申したように、自分をすごく大きくしてくれる夫であるので、もう、この人すごいなって思いましたね。いただいた瞬間、思いました。この2年間、ずっと大助がメッセージやでって言ってて。こういう芸術的な賞をもらったときに、先に彼のすごさを感じましたね。やったな~と思って」
大助「何かこう、すごく美にこだわるので、お笑いの中に美学があったらいいのになみたいな」
花子「大助くんは美しいものが好きなんです。そして、あなたが選んだものは?」
大助「あなたです」
一同笑い。
花子「そうやって振らな絶対言わへん(笑)」
大助「そら、若いときの話やで」
--今の若手芸人さんにメッセージを残すとしたら?
花子「会う人に必ず言う言葉なんですけど『辞めるな』と。『絶対いいことあるから』っていつも言うんですけど。漫才を辞めたいときとか、挫折を感じたこともあったけど、それを乗り越えていったら絶対にゴールが見えると思うので。自分たちもまだまだゴールは見えていませんが、『辞めなや』って。今の若い人の方が漫才にメッセージ性がすごいあるし、自分らの感性と違う、すごい素晴らしいものを持ってるから、ネタへのアドバイスはないよね。それぞれ個性を持ってはるから」
大助「若いときは競技の中で生きてるんですよね。アスリートですよ、漫才師は。競争、競争、オーディションがあって。誰が一番とか。僕らも、若いときはそうやってきて、この年になって競争というところから完全に外れていたんですね。完全に競争じゃないところで、ぼちぼち漫才の楽しみがわかりかけたころに突入した。その中で、自分たちの夫婦で一番必要なものを漫才の中に入れてみようかなと思って。例えば、今回の賞みたいな感じで認められたなら、その楽しみは今のアスリートの若い人たちにはわからない。これはまた、別の楽しみ。金銭抜きの楽しみ。そこまで皆さん、がんばってと。故障もあるし、コンビ解散とか、そういうのもあるんですけど、その楽しみめがけて行ってほしいと思いますね。この年になったらエベレストには上れなくても、六甲山や生駒の尾根には登れるんでね。夫婦仲良くっていう美もあるんで、そういうことも表現して、メッセージとして残せたらいいなと思いますね」
さまざまな試練を乗り越え夫唱婦随、二人三脚で歩み続けた大助・花子。コメントのひとつひとつに、受賞の喜びがあふれているようでした。その喜びをともに祝福し、そしてなお、元気ももらえる結婚35周年イベントもどうぞお越しください!
宮川大助・花子 結婚35周年記念「つないだ手と手」
日時:4月9日(土)開場19:00 開演19:30
会場:なんばグランド花月
出演:宮川大助・花子、桂三枝、今いくよ・くるよ、彩風蘭・水穂野清香(元宝塚花組)、Wヤング、オイカワタカアキダンススクールほか
料金:前売3500円 当日4000円
お問い合わせ:チケットよしもと 0570-036-912(10:00〜19:00)
【宮川大助・花子】
「宮川大助・花子結婚35周年記念イベント第1弾「つないだ手と手」開催決定!」
http://news.yoshimoto.co.jp/2011/02/351-0041.html