竹中直人監督最新作はロックな“縛り”を意識した初の官能映画
「第4回沖縄国際映画祭」2日目の3月25日(日)、沖縄コンベンションセンターで映画
『R-18文学賞 ~vol.1 自縄自縛の私~』の製作発表記者会見が行われ、監督の竹中直人さん、主演の平田薫さん、奥山和由プロデューサーが出席しました。
これは、吉本興業創業100周年プロジェクトの一環として、新潮社主催の公募新人文学賞「女による女のためのR-18文学賞」作品の映画化を企画したもの。第1弾として、特殊な性の形を求める女性を描いた蛭田亜紗子さん原作の「自縄自縛の私」を、『無能の人』『東京日和』を生み出した日本映画界の奇才・竹中さんが、独自の描写と世界観で新しいエロティシズムを演出しました。平田さんが演じるのは、3兄妹の末っ子として育てられた百合亜。大学の卒業論文の作成中に見付けたサイトがきっかけで、自分を縛る「自縛」行為にハマっていくという難しい役どころです。
会見では、奥山さんが「女による女のためのR-18文学賞は、2~3年前から映画化しようと進めてきました。竹中さんには『無能の人』『119』でお世話になっていて、そろそろ何かやりたいねと話していたんですが、これ(この作品)じゃないと思っていたので、今回は“奇跡のドッキング”です。竹中直人初の官能映画なので楽しみにしてください」と、あいさつ。まだ作品の詳細を明らかにできないとしながらも、LOVE PSYCHEDELICOが音楽を担当することも発表されました。
次に、監督を務めた感想を聞かれた竹中さんは「まず、『俺でいいのか!?』という感じでしたねー。でも撮っていて楽しかったです。今回は“縛り”をロックっぽく撮れたらいいなと思っていました」と、演出の方向性を告白。また、平田さんを主役に抜擢した理由を「色がついていない豊かさというか、声のトーンが役にピッタリだった」と話し、「縛りも完璧でカッコ良かったです!」と、絶賛していました。
続いて、平田さんは「不安な顔をしていると、いつも監督が『大丈夫だから。ちゃんと見ているから』と、すごく声を掛けてくれて本当に助かりました」と話し、さらに「はじめの2日間、全力疾走しなければいけないシーンがあったんですが、荷物を大量に持っていたので全然前に進まなくて大変でした(笑)」と、撮影中の苦労話も披露してくれました。
質疑応答では、「“自縛”が趣味の女性をどう思いますか?」という質問が飛び、「エッチな本を見るのは好きなんですけど、SMの気はないみたいです。縛りのシーンを見ても何も感じなかったので…」と、竹中さんから意外(?)な回答が。続けて「今回は台本を持たずに演出したり、とにかく即興を大事にしたかった。縛る時の縄が軋む音とか自分にとっての“縛り”を撮りました」と、本作に対する意気込みを口にしました。
最後に、前日のレッドカーペットでの入場について、竹中さんは「二度と歩きたくないと思いましたねー。恥ずかしくて全力疾走で駆け抜けたかった!」と語ったのに対し、平田さんは「監督がどんどん先を行くのでついて行くのが大変でした(笑)。でもあの巨大スクリーンを見られたりして、普通に楽しんでしまいました」と、対照的なコメントを残した2人。集まった記者たちの笑いを誘い、和やかなムードの会見となりました。