【ライブレポート】5upよしもとゼロメンバー全国ツアー~0crew~大阪公演
5upよしもとのトップ組・ゼロメンバー10組による全国ツアー「0crew」も5月27日(日)でいよいよファイナル! この日は地元・大阪で笑いの殿堂なんばグランド花月をジャック、超満員のファンを前に、一夜限りのスペシャルなライブを繰り広げました。
真っ暗なステージに現れた人影……照明がつくと、そこにはDJケリーことギャロップ・毛利の姿が! オープニングMCとして、お得意のコール&レスポンスで会場を煽りまくります。毛利の紹介を受け、ゼロメンバーたちはなんと客席の通路を通って舞台へ。思わぬ急接近に、会場は騒然となりました。全10組が舞台にズラリ並ぶと、マイクは毛利からジャルジャルとモンスターエンジンへ。さっそくオープニングトークに突入です。
会場いっぱいに集まったお客さんを見て、「5upって、たまに入ってへんときあるやん。ああいうとき、みんなどうしてんの?」と素朴な疑問をぶつけるモンスターエンジン・西森。ジャルジャル・後藤は「大林さんがやろうと言い出したこのイベントで……」と切り出しますが、大林からすかさず「言い出してません。そこまで熱入れてないですから」と否定されてしまいます。この発言に、メンバーたちからの非難が集中! 追い詰められた大林は、いつしか全く関係ない「足が短い」といった個人攻撃にまでさらされる羽目に。この後も、誰かがボケるとさらに別の誰かがボケる――“いつものメンバー”ならではの息の合ったトークを展開し、初っ端から会場を大いに沸かせました。全国ツアーのファイナルということで、「スペシャル企画を用意しています」(福徳)と告げられると、お客さんの期待値はさらにアップ。全員揃って「スタート!」の掛け声で、いよいよ幕が上がりました。
と、ここで舞台後方に映し出されたVTRは、東京公演終了後の舞台上の様子。プロデューサーから「コンビをシャッフルしてネタを」という衝撃の指令が伝えられ、メンバーたちは動揺を隠せません。相方はくじ引きで決定し、本番までの1週間でネタを作って披露、その出来を審査されてしまうというのです。
思わぬサプライズ企画に、どよめく会場。ここからは、司会の浅越ゴエが登場し、「一夜限りのゼロメンシャッフルネタバトル」が開催されることに! まずは、優勝賞金10万円がもらえることや、1分を超えるとそのぶん減点されていくといったルールが明らかにされ、客席に設けられたスペースに座った4人の審査員も紹介されました。審査委員長は後藤ひろひと。以前、自身が演出した舞台によしたかが出演した縁もあり、「僕の教え子と付き合って、捨てられたよしたかがどこまでやれるかに注目します」といきなりの裏ネタ暴露で笑わせます。「楽しみながら審査したい」と語ったのは矢野・兵動の兵動。笑い飯も2人揃って審査に当たることに。哲夫は、「僕らがbaseにおったころ、こんなキャーキャー言われたことなかったです」とちょっぴりジェラシーを感じているようで、辛口審査をにおわせていました。このほか、お客さんからの投票も集計し、1~3位のコンビには得点が加算されるシステムで採点されます。
トップバッターは、スマイル・瀬戸×学天即・奥田というツッコミ同士の組み合わせ「ブランニューZ」。VTRでは、コンビ決定直後に「しゃべれる相方を持つのは初めて」と戸惑う瀬戸と、「何もわからない……」と呆然とする奥田が映し出されましたが、いざ舞台に上がれば、モノトーンのスーツに身を包み、急造とは思えぬ王道漫才を見せました。「コンビ名、ダサー!」(ゴエ)、「服が死ぬほどダサい。これも減点の対象」(西田)とのダメ出しもありましたが、一番手の重責を十分に果たしたと言えそうです。
続いては、銀シャリ・鰻×藤崎マーケット・田崎の、ほっこりムードあふれる顔合わせ。その雰囲気は、コンビ名「温野菜」にも表れています。ふたりでスケッチブックを持ち、絵描き歌でボケるネタを披露しましたが、怒涛の展開を見せたのは終盤。互いの服をやぶくと、下は揃ってタンクトップ姿! ご存じ「ラララライ体操」で会場の度肝を抜きました。これにはゴエも、「最後の展開、すごすぎるやないですか」と思わず絶句……。
三番手に登場したのは、モンスターエンジン・西森×藤崎マーケット・トキ×かまいたち・山内のトリオです。くじ引き後は異常にテンションの低かった3人ながら、極悪連合改めモストデンジャラストリオの逆を行く「極良連合」として、舞台狭しと暴れまわりました。客席に下りて飴を配り、「ええことばっかり言うぞ!」と善行自慢。「わっりぃ~」の代わりに「いい~!」を連発するネタに会場は大爆笑。衣装もすべて本物を借りたという本格的ななりきりぶりでしたが、ゴエから「次はホンモノとのコラボを」と提案されると、揃って首を横に振っていました。
天竺鼠・川原×学天即・四条という予測不能のコンビ、その名も「五条」も注目を集めました。金ラメジャケットに身を包んで登場し、漫才に挑戦です。しかし、ツッコミ・川原のスタイルは、どこまでもフリーダム。舞台袖からバイクに乗ってツッこむという史上初の試みも飛び出し、審査員をあぜんとさせていました。後藤(ひろひと)だけは、「相当ハマるね! 家に帰ってから、もう一度笑いたい」とすっかり気に入っていましたが……。
モンスターエンジン・大林×ジャルジャル・後藤の「カーペンターズ」も、シュールなネタで勝負。コンビ名のとおり、往年のポップデュオ・カーペンターズに扮し、大林のギターに乗せて「トップ・オブ・ザ・ワールド」を熱唱するふたり。ところが、歌も終盤になったあたりで、突然、後藤が銃弾に倒れるという急展開。その後、何事もなかったかのように歌い終えた大林、そして暗転……不条理すぎるオチに会場からは「えー!?」と大きな声が上がっていました。講評では、「こうなってくると、最初のブランニューZをどう判断していいのかわからなくなる」(哲夫)と頭を抱える審査員が続出。
六番目に登場したのは、中川パラダイス×銀シャリ・橋本の「パラダイス橋本」。くじ引き後、「マジでババ引きましたね」とうなだれていた橋本でしたが、蓋を開けてみると、破天荒な中川のボケに橋本がツッコミまくるテンポのいい漫才で、会場は爆笑に次ぐ爆笑。兵動からは「素晴らしい!」と絶賛を受けていました。一方で、橋本のツッコミ力に頼り切ったネタには、「これで優勝したら、9万円は橋本に渡さないと……」という厳し~い指摘も。
ウーマンラッシュアワー・村本×スーパーマラドーナ・武智×スーパーマラドーナ・田中という、同期3人が顔を揃えた「泥の22期」。気心の知れた間柄ならではのネタに期待が高まったものの、村本と田中はなんと下ネタを連発。ゴエは「いや~、下品な漫才でしたね~」と開口一番グサリ。哲夫は「お客さんは結構、笑ってくれてた。いいお客さんやなと思いました」と、芸人ではなく観客をほめたたえていました。
八番目に登場したのはジャルジャル・福徳×かまいたち・濱家の「ファンタジスタ」。ツイッターをテーマにした漫才は、細かいボケがぎっしり詰まった濃密な構成で、ゴエをして「うわ~! 勝ちに来てる!」と言わしめたほど。審査員たちの講評にも、一つひとつ「ありがとうございます!」と頭を下げるなど、あくまで勝負にこだわった(?)ふたりの姿が印象的でした。
トリを飾ったのは、これまた異色の顔合わせとなった、スマイル・ウーイェイよしたか×天竺鼠・瀬下の「よしゆたか」。この企画で唯一ともいえる正統派コント仕立て……と思いきや、力士ふたりのおでかけを描いたネタは、すべてを超越したよしたかワールド。「これを問題作と言うんですね~」(ゴエ)、「内容ぐちゃぐちゃやのに、細部にはこだわってるし」(兵動)と、賛否両論の嵐が巻き起こる結果となりました。
全9組のネタを終えたところで、全員が再び舞台へ集合。コメントを求められた審査員は、「トップバッターとラストの幅の違いがえげつない」(西田)、「基準となるコンビがいないので、ちょっとだけ適当に採点しました」(兵動)と、一様に困惑の表情を見せています。別室での審査を待つ間は、ゴエの仕切りによるゲーム大会を開催。各ゲームに勝利したコンビには得点がプラスされるとあり、熱のこもった勝負が繰り広げられました。
さあ、ついに結果発表のときがやってきました。見事優勝を勝ち取ったのは、「パラダイス橋本」! 全身で喜びを表現する中川に、なぜか引き気味の橋本。とはいえ「これまでいただいた、どの賞よりうれしいかも!」という言葉は、素直な喜びにあふれていました。ちなみに2位以下は、「カーペンターズ」「ファンタジスタ」「五条」「極良連合」「温野菜」「ブランニューZ」「よしゆたか」という順位で、「泥の22期」が屈辱の最下位に! 罰ゲームとして川原&田崎のコーディネートによる「恥ずかしい格好」でお客さんのお見送りを行うこととなりました。
エンディングでは、8月に行われるオールスタンディングの“夏フェス”「Super 0crew Fes」の開催も発表され、最後まで客席は大盛り上がり。すべてがスペシャル尽くしのゼロメン祭りは、こうして熱狂のなかで幕を閉じました。