【ライブレポート】KOYABU SONIC 2012 2日目
台風が近畿地方に近づく9月30日(日)の午前7時、2日目も予定通り開催されることが発表になると、会場の舞洲コヤブソニック特設会場には、続々とお客さんが集まり始めました。10時の開演時間前には、レインコートやポンチョを身に着けた、多くのみなさんがスタンディングエリアへ。まずはオープニングアクトとして、りあるキッズ・長田融季がノリノリのDJプレイを披露します。その後、コヤソニ主宰者である小籔千豊とビッグポルノ、スモールポルノの面々がステージに現れると、会場からは大きな拍手が。台風にも負けないみなさんの期待、思いが伝わってきます。これに応えるべく、レイザーラモンRGが「台風あるある」でさっそく景気づけ。いよいよコヤソニ後半戦の開幕です!
トップバッターは、台風を吹き飛ばさんばかりの熱いパフォーマンスを見せてくれたET-KING。『愛しい人へ』『Gift』などおなじみのナンバーで、しょっぱなから会場をヒートアップさせました。「毎年、ET-KINGさんのライブを袖から見てたらジーンとします」と小籔も感激。ところが急に「ちょっとお腹とかゆるんできたんちゃいます?」「ちゃんと鍛えてます?」とメンバーのみなさんの筋肉チェックを始め、「みなさんを鍛え直してくれる人」として、なかやまきんに君を呼び込みます。きんに君は意気揚々とボン・ジョヴィの『It’s My Life』に乗せて筋肉を鍛える(?)ポージングを伝授していきますが、これに待ったをかけたのがサバンナ・八木! 有酸素運動マンの衣装でやってくると、どちらが本当に「筋肉知識」を持っているか、きんに君にバトルを挑みます。しかし最初は本格的な知識を競っていたはずが、最後は某スポーツジムのトレーナーの結婚ネタに……さらにはET-KINGのみなさんの結婚ネタもいじるなど、やりたい放題のふたりでした。
と、小籔から、風雨がひどくなったため、この後、会場を近くの舞洲アリーナに移してイベントを続行する旨が発表されました。予想外の朗報に、お客さんのテンションはさらに上昇。会場へのバス移送が始まるまでは、しばし「ずぶ濡れ野外ライブ」が続くことに。「アメリカからやってきたスペシャルゲスト」(小籔)と紹介されたのは、渡辺直美! ふりかかる雨をものともせず、ビヨンセの『Crazy In Love』、そしてジェニファー・ハドソンが映画『ドリームガールズ』の中で歌った『And I Am Telling You I'm Not Going』に乗せて、渾身のパフォーマンスを見せつけます。さらに、コヤソニ皆勤アーティストである盆地で一位も、雨にめげずシュールなロック魂を炸裂させたほか、ネタコーナーではダイアンらが爆笑をさらいました。
ここでいったん中断し、お客さんは順次、舞洲アリーナへと移動。会場内では、アリーナ部分に簡易のステージを組み、着々と準備が進められます。その間、スタンドの客席やロビーでは、お客さんたちが濡れた衣類を乾かしたり、腹ごしらえをするなどして待機しました。
午後1時50分、小籔らがステージに登場し、再開を宣言! 「移動していただいてすいません! こんなにたくさん残っていただいて……」と会場のみなさんにお礼を述べるとともに、スタッフにも感謝の言葉を贈ります。さらに「あれに行ったこれに行ったとフェス自慢する人がいるが、そんなときは『途中で場所が変わったフェス、行ったことある?』って言い返して」と呼びかけると、会場は大きな拍手と笑いに包まれました。RGも、お礼を兼ねて「体育館あるある」をT-BOLANの『Bye for Now』に乗せて歌い上げます。また、2700が『このダンスをする』など得意の歌ネタで、会場を温めました。
続いて登場したのはZeebraさん! 体育館、しかもステージが客席より低い場所にあるという特殊な環境ながら、圧巻のラップで一気に場をさらいます。DJ KEN-BOさんが繰り出すビートとともにスタンドのみなさんをどんどん煽り、気づけばまるでクラブのような雰囲気に。途中、盟友であるAKTIONこと真木蔵人さんにバトンタッチすると、息子であるNOAHさんも登場し、豪華な親子共演が実現! 最後はZeebraさんが再び加わり、コール&レスポンスでさらに盛り上がりました。ライブ後のトークには、「待ったらんかい!」との声とともに、土肥ポン太、麒麟、ダイアンの5人が乱入。ビッグポルノ&スモールポルノに、フリースタイルのラップで対決を挑むことに。しかし、韻を踏みながら互いを罵倒しあうはずが、あまりの低レベルな争いにZeebraさんらも苦笑い。最後はなぜか仲間割れを起こし、土肥×ダイアン・西澤、RG×宇都宮まきという不可解なバトルも繰り広げられていました。
「体育館ソニック」(小籔)二番手は、ホフディランのおふたりです。悪天候や会場変更を受け、急きょ予定していた曲を変更、RCサクセションの『雨上がりの夜空に』をカバーし、客席を沸かせました。ノリのいい曲とキュートなダンスで魅了したのはHALCALI。お客さんと一緒に手を動かすダンスも取り入れ、会場が一体となる盛り上がりを見せます。ライブ後は、なぜかステージに天津・向が現れ、「おふたりのデビュー曲『タンデム』が聴きたい!」と熱烈にリクエスト。快く応じてくれたおふたりが歌い始めると、ところどころに向が「合いの手」を……そう、昨年スチャダラパーとの共演で披露した、得意の「合いの手ラップ」です! 最初は小籔にとがめられたものの、次々と飛び出す抱腹絶倒の合いの手に、出演者も客席も大笑い。実はおふたりと向、小籔の4人でカラオケボックスで練習を重ねたとのこと。その甲斐あって、『タンデム』がまた新たなテイストに生まれ変わっていました。
ネタコーナーには、麒麟、笑い飯、フットボールアワー、天竺鼠が登場。さらに小籔から、「タイムテーブルには載っていませんが、メールをしたら出てくれることになりました!」とサプライズゲストの登場が告げられると、会場は大騒ぎ。紹介されたのはコヤソニ常連でもあるハナレグミさん……と思いきや、出てきたのはMr.オクレ! これには期待いっぱいで見守っていたお客さんから大ブーイングが。この後も、ゆずと思わせてのどぶろっくさん、ドリカムと思わせての吉本新喜劇・すっちー&松浦真也、井上陽水と思わせての天津・木村、BBクイーンズと思わせてのRG&スパイク松浦など、怒涛のニセモノオンパレード&歌ネタが続き、爆笑と悲鳴がにこだましていました。
再びライブに戻り、カジヒデキさんが登場。軽やかなポップチューンに包まれ、会場は一瞬にしてスウェーデンの香り漂う空間に。『甘い恋人』『ラ・ブーム~だってMY BOOM IS ME~』、さらにThe Specialsのカバーまで披露し、ステージ狭しと駆け回りました。また、カジさんは2700とのスペシャルコラボにも挑戦。ご存じ『右ひじ左ひじ交互に見て』を『右カジ左カジ交互に見て』にアレンジし、ご本人にも参加してもらってのダンスを繰り広げます。最後はツネとカジさんがふたりそろって「右ひじ左ひじ」ダンスも。昨年のコヤソニで見て以来の2700ファンというカジさん、「間近で見て感激しました!」と興奮冷めやらぬ様子でした。
続いては、orange pekoeさん。ナガシマトモコさんののびやかなボーカルが客席を包み込み、しばしうっとり。YO-KINGさんは、「今までライブやった会場でここが一番!」と語り、体育館ならではの(?)アットホームな雰囲気のなかライブを展開。『Hey!みんな元気かい?』などを聴かせ、小籔とのトークでは「今年のフェスの、いい〆になりました」と笑顔でコメントしていました。
野宮真紀さんは、『東京は夜の七時』『スウィート・ソウル・レビュー』などピチカート・ファイヴ時代の曲を続けざまに聴かせ、お客さんを大いに喜ばせました。この日のために特別バンドを編成したという野宮さん。MCでは、「来年は、ぜひあのゴージャスなステージに立ちたい」と、次回コヤソニへの出演宣言(?)も飛び出しました。スタイリッシュな歌とステージに、小籔は感激のあまり「おしゃれの煮こごりですね!」。すぐさまRGから「いや、おしゃれのジュレって言ってください」とツッコまれていました。
そしてもちろん、この日もコヤソニのトリを飾るのはビッグポルノです。時間の都合で1曲だけしか演奏できないことになり、新曲『Tea! Tea! No! oh…喫茶?』を迷わず選択。マイク片手にメンバー全員が四方に散らばり、会場会体を盛り上げます。さらに、熱いアンコールを受け、『KING TIMER』も披露。波乱の2日目ラストを飾るにふさわしい一体感で締めくくりました。最後まで残ってくれたお客さんのために、エンディング後も場内を一周してあいさつしたビッグポルノ&スモールポルノのメンバーたち。今年のコヤソニも、これまで同様、いやそれ以上に、参加したすべての人の心に残る、素晴らしい思い出になったようです。