桂文枝 パリ公演「ボンソワール、いらっしゃぁい!!」
7月16日に襲名し、なんばグランド花月を皮切りに全国津々浦々、2014年まで襲名公演を行っている六代 桂 文枝が
7日20時(日本時間8日午前4時)、フランスのパリ日本文化会館にて、襲名記念公演を行いました。
初日は、公演3時間前からキャンセル待ちのチケットを求めて、約30人が列をつくるなど、注目度の高さがうかがえ、272席の会場は、6割日本人、4割がフランス人、さらに老若男女問わず幅広い年齢層で埋め尽くされました。
今回文枝は創作落語を日本語で行い、同時にフランス語字幕を流すという、落語家として新たな試みに挑戦しました。
公演初日のこの日、冒頭の挨拶となる口上では
「ボンソワール(こんばんは)、いらっしゃぁい!!」と述べて会場の笑いを誘い、
「メダムエムッシュ(レディース&ジェントルマン)、ジュ マペル 文枝(私の名前は文枝です)、ジュビアン ドゥジャポン ドゥ大阪、(日本の大阪から来ました)メルシーボク(ありがとうございます) これが精一杯です」
と続け、さらに会場を盛り上げました。
文枝は、桂 三幸、桂 三歩、月亭八方らの演目に続いて自身の創作落語である「ワニ」を披露しました。
前日に「海外公演は何度もやってきたが、今回は一番不安」と話していた文枝の不安をよそに、公演後、400年の歴史を持つ日本の伝統芸能に触れたフランス人観客からは
「落語を観たのは2回目。もちろん字幕は必要だったが、とても深い表現力を持っていて、セリフに息吹を吹き込んでいたね。字幕を通しても笑ったが、顔の表情や所作から沢山の事が伝わったよ」(60代フランス人男性)
「私は日本のユーモアが大好きで、彼を今日誘ってきたの。声と体の表現だけで、ひとつの世界を作り上げるアーティストたちだと思う」(30代フランス人女性)
などの声も聞かれ、公演初日は大成功を収めました。
公演は8日20時(日本時間9日午前4時)より、パリ公演2日目を行い桂文枝は「仲直り」を披露します。
以下、公演終演後の桂文枝のコメントです。
公演を終えての心境は?
「ホッとしています。意外とフランスの方が多かったので、非常に嬉しかったです。落語として情に訴えるような作品を自分としては丁寧に演じたと思います。かなり心配していましたが、初日としてはうまくいったと思っております」
フランス人の方も笑っていましたね。
「日本の方にサービスしながら、フランス人の方にもきちっと伝わるようにやらせていただきました。こういうのがきっかけでフランスでもこれからもやりたいし、色んな国に行ってやりたいなと思いました」
またチャンスがあったら、落語を是非観たいとおっしゃるフランス人が多かったのですが?
「フランスに限らず、ヨーロッパというのは文化の奥深さはもちろん、建物や人からも歴史を感じるので、
理解しようという気持ちが公演をしていてとても感じました。チャンスがあれば是非またフランスでもやりたいですし、ずっとヨーロッパで落語をしたいと思っていたのですが、フランスがその皮切りになってすごくよかったと思っています」
アニメや映画、食、ファッションなど日本のたくさんの文化がフランスにも根付きつつありますが、落語も日本を代表する一つの文化として根付くのでは?
「そうですね。今日の見ていたフランスの若い人には是非僕の作品をやってもらいたいですね。フランス人の弟子ができればいいなとも思いました。そうなればフランスにも落語というこの和芸が根付くのではないかと思いますね」
明日も公演を控えておりますが、意気込みをお願いします。
「明日は“仲直り”という非常に観念的な難しいネタを演じます。この演目には死後の世界という観念が出てくるのですが、これをどのようにフランス人の方が理解していただけるかが非常に楽しみです」
【桂文枝】