NSC・YCC・YOEC合同学院説明会 オリエンタルラジオ 中田敦彦 講師特別授業
3月7日(土)、よしもとの養成学校(NSC・YCC・YOEC)2015年度入学生への合同学院説明会の一環として、NSC卒業生でもあるオリエンタルラジオ・中田敦彦が特別授業を実施。集まった入学希望者と在学生を前に、約1時間の授業で熱弁をふるいました。
熱烈な歓迎を受けた中田は、「広告用の美辞麗句はウンザリ。私は本当のことを言うためにここに来ました」と宣言。自作の資料を使ってNSCの実態を明らかにし、経験に基づく"鉄則"を伝授していきます。NSCの3大特徴として「雑な入学条件。軍隊的な雰囲気。とんちんかんな授業」と笑わせながら、それでもNSCに入る目的は「(オーディションもスカウトもない)吉本に所属する芸人になる唯一の手段だから」と本質を突きます。その第一歩となる入学の条件は「入学金の40万円が払えるかだけ。面白さは関係ないです。NSCに落ちたという人は、きっと面白いことを言おうとして、面接官に何かしらの恐怖を与えたのではないでしょうか」と分析。1つ目の"鉄則"として「入学の面接で大切なことは、自分は危険人物ではないことを示すこと」をあげます。ただし、入学後の注意点として、「入学前はおもてなしの雰囲気ですが、入学後は軍隊的な雰囲気に変わります」と補足。「どんな雰囲気か知りたい方は、スタンリー・キューブリック監督の『フルメタル・ジャケット』をご覧ください」と笑わせました。
続いて、入学後の話を。まずは、2つ目の"鉄則"として「40万円払ったので、なんとしても辞めずに授業は受けよう」と述べた上で、3つ目の"鉄則"として「わけのわからない授業はうまくさぼれ」とアドバイス。実際、中田は一度受けて自分には合わないと思った授業は二度と出なかったとのこと。一方、中田がさぼったダンスの授業では、同期のトレンディエンジェル・斎藤がひときわ目立ち、ネタでの実績はないものの同期は一目置いてたそうで、「自分にとって何が必要かを見極めることが大事」と力説しました。NSCでの体験を笑いを交えながら語った中田は、「NSC"から"学ぶことはない。ただ、NSC"で"学ぶことはある」と断言。そして、それは「ライバルとの出会い」だと言います。同期は、東京NSC10期生の、はんにゃ、トレンディエンジェル、フルーツポンチ、大阪NSCでは学即天、他事務所では三四郎など。このメンバーとは在学中にもライブで戦うことが多く、「自分が思ってる面白さとは違う面白さで勝負してるヤツがいるんだ」と衝撃を受けたそうで、「他者と比較して自分の個性をみつける。だからNSCで学ぶことはある」と明言しました。
さらに、卒業後についても言及。若手芸人を待ち受ける、猛者(先輩)たちが待ち受ける鬼のようなピラミッドでの戦いについては「どういうシステム分からない人は、『HUNTER×HUNTER』の天空闘技場を見ていただきたい」と、吉本興業に入る心構えとしては「映画『カイジ』を見て学んでほしい。利根川の言葉"ここは勝たなきゃゴミだ"という気持ちで。吉本でうまくいかなきゃ他の事務所行けばいいやみたいな魂のやつはダメ」と、得意の漫画トークを交えながら持論を展開。こうして芸人の厳しい現状を説いた上で、「この仕事、いい仕事なんですよ。お客さんの前でウケけた時、ポーンとはじける。これは他の職業では味わえない。"笑い"は人間にしかない感情。笑った時の感情はすばらしいけど、笑わせた時の感情もっとすばらしい」と、芸人の喜びと素晴らしさを熱弁。中田の魂のこもった言葉に、受講者も聞き入ったところで、「自分が芸人になれるか不安でしょうがない。そんな方のために経典があります」と、自身の体験談を綴った著書『芸人前夜』を取り出し宣伝。熱い授業のラストを笑いで締めました。
後半は、受講者との質疑応答を。NSC生からの「ネタの練習時間は?」との質問には、「受験勉強と一緒で、1日に長時間やるより、短時間を複数日やる方が頭にはいりやすい」とアドバイス。また、漫才にグルーブ感を重要視して練習しない人もいるが、それができるのはベテランだけだと釘を刺し、「腕がない人の練習不足は見てられない。技術がない、キャリアがない分は、練習量で補うしかない」と叱咤激励を。「特徴あるネタの作り方は?」という質問には、「ネタは商品でありながら芸術品」との持論のもと、独りよがりになると商品価値はなくなると前置きした上で「強烈に表現したいものがあると自分だけのものになる」と。武勇伝を例にあげ、「カッキーン」の必要性はないけど「自分がただやりたかった」という中田は、「理屈で説明できないスパイスが入っているかどうか」が重要だと語りました。
吉本に就職が決まったという在学生からの「仕事がしやすい社員は?」との質問には、「どの業界でも一緒だと思うけど、ガッツがあるかどうか。それを、心の中で思うだけでなく、行動で示さなきゃダメ」と回答。マネージャーを例にあげ、来た仕事を完璧にこなすだけでもすごいことだが、「プラスの何かを持ってきた時には感動するし、また一緒に仕事したいと思う」と体験談を。また、NSC在学中、中田たちに「武勇伝考えてきたんで使ってください」とネタを持ってきていた作家コースの生徒は、後に作家となり今でも一緒にライブを作っているという話も飛び出しました。この春から就職活動を始めるという受講者からの「説得力をもたせるためには?」との質問には、「自分が大事にしてるのは、"本気かどうか"と」と回答。「全身全霊で面白いと思ってるヤツの言葉にはかなわないから、漫画もアニメも本当に面白いと思っているものしかオススメしない」という自らの姿勢を。そして、"経験"の重要性も説き、爆発的にブレイクしながらも説得力のなさから苦労したというデビュー当時のことを振り返りながら「苦しんだり、悲しんだりしたことや、コンプレックスが説得力になる」と付け加えました。
NSCで相方を探しているという在学生からの「相方の見つけ方」についての質問には、「こいつなら人生かけてもいいと思わせること。黙っていても誰もみつけてくれないから、とにかくアピールすること」と回答。中田の場合、バイト先でとにかくみんなを笑わせ面白いやつだと認識させ、漠然と"TVに出たい"と考えていた藤森をその気にさせたとのこと。また、NSC入学後は、もし藤森が辞めると言い出した時のためにと、相方候補としてはんにゃの金田に狙いをつけていたことも告白し、笑わせました。冒頭の宣言通り、体験者だからこその生の声、中田ならではのぶっちゃけトークに、受講者も大満足の授業となりました。
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