板尾創路「コメディとしても染み出てくる笑いがある」と、倉本美津留さんとのトークで映画『さよなら、人類』をPR!
8月9日(日)、東京・YEBISU GARDEN CINEMAにて、映画『さよなら、人類』のスペシャルトークイベントが行なわれ、板尾創路と倉本美津留さんが登壇しました。
『さよなら、人類』はスウェーデンが誇る巨匠、ロイ・アンダーソン監督の最新作。面白グッズを売り歩く冴えないセールスマンコンビ・サムとヨナタンが目撃するさまざまな人々の人生が、監督の独特の世界観で描かれた作品で、第71回ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞(グランプリ)を受賞しました。長年、アンダーソン監督のファンだという板尾は、本作品の予告編でナレーションを担当しています。
上映後、舞台に現れた2人。板尾ともども、監督の作品が好きだという倉本さんは客席でお客様と一緒に映画を鑑賞したそうで、「スクリーンで観られてよかった」と満足げ。「みなさん、大きいスクリーンで観られてうらやましい」と話す板尾は客席を見渡して「みなさん、なんとも言えん顔してる。"何を観たんでしょうか?"と聞かれても全然わからへんでしょう?」と問いかけると、倉本さんも「そのクイズの答えは、それやね」と同調します。
「監督の作品の色がすごく好きで。ちょっとゾンビが出てきそうな色というか、あのロイ色がね、落ち着くんですよ」と話す板尾。独特な今作については「普段、僕らが観ているような日常的なことを描いているというか。警備室で警備のおっさんがモニタで(いろんな人の様子を)観ているような感じ」と喩えます。
アンダーソン監督作特有とも言える、劇中の人物たちの"間(ま)"については、「脚本存在するんかなぁ?」と板尾。「大まかなものはあるそうですけど、監督は絵が得意なのでドローイングやスケッチを脚本替わりに貼り出してるみたいですよ」という説明を受けて、「そうなんでしょうね。演出されている感じもしないですよね。俳優さんは何テイクもやってるんでしょうけど、僕は役者もやらせてもらうのでああいうところでお芝居やってと言われたら、"テンポ上げな"とかリアルさとか(最初に意識していたことが)飛んでしまうんじゃないかなと。すごいなかで芝居やってるんやろうなと思います」と語ります。そんな話を受けて、「聞くところによると、めちゃくちゃ何回もやらせてあそこまで到達してるみたいですよ」と補足する倉本さん。「あぁ、じゃあ、おっさんもイヤになってねぇ?」(板尾)「そうそう。出てる人全員、不機嫌そうでしょう? 不機嫌になるまで撮ってる感じがいいんちゃうかな」(倉本さん)と語ると、客席からは賛同の笑いがドッと起こります。
普通に働いている人を役者として起用するだけではなく、全てセットを作って撮影するというアンダーソン監督のこだわりに、「驚きですよね」(倉本さん)「すごいですよ」(板尾)と2人は関心しきり。「メイキングを観させてもらったんですけど、砂浜でイチャついてるカップルのシーンあったでしょう? あの砂浜も全部つくったらしいですよ。とんでもないお金と時間をかけてますよね」と笑う倉本さんに、「本来、イメージに近いところを探してロケで撮るもんですけど、理想の画を撮るためにそこまでしてるんですよね」と板尾。4年という歳月をかけて完成した今作ですが、板尾が「4年は長い。ずっと同じテンションでおれるのかというのもあるし、僕らは大体3週間くらいを勢いで仕事してる感じやから、4年もあったら(僕は)5~6本、映画つくりますよ」と語ると、大きな笑い声が。「さらに、出てる人やって4回、誕生日迎える訳でしょう? ハッピーバースデー♪って」と感嘆すると、くすくすと笑いが起こります。
「観た人の前で話してるんやから、せっかくやったら"あそこどうやった?"とかお客さんとディスカッションしたい」という倉本さんの提案で、お客さんから感想を募ることに。
「アンダーソン監督の作品を観るのは初めてで、板尾さんと倉本さんのトークがあるというので今日は来ました。2回目のデートでこの映画を観てしまったんですけど、どうしたらいいんでしょうか」という男性の戸惑いに、倉本さんは「クレームですか!」と笑いながら「彼女の感想が聞きたいわ」とポツリ。彼女の「今まで観たことのない映画でした」という感想に「そう思えたんやったら、よかったやんか。よかったみたいですよ」と話しかけた倉本さんですが、「2回目のデートで来るような映画ではありません!」と言い切ると、またもや大きな笑いが。
「映画を観るというより、美術館に絵画を観に行くみたいな感覚で観るといいのかなと。観て、自分の中の何かが誘発される映画なので、気楽に絵画を楽しむ感覚で観て欲しい」と倉本さん。「倉本さんと同じ意見もありながら」と前置きした板尾は、「中身に関してもモンティパイソンよりは大人しめというか、面白いんですよ。僕、腹痛くなるくらいクスクス笑いながら観ました。ストーリーがとんでもないし、ドカドカ笑えるわけではないけど、コメディとして染み出てくる笑いがあっていいなと思うんですよね」とアピールします。「確かにツッコむつもりで観たら、面白いですよね」と頷く倉本さん。「そう。なんで登場人物みんな、顔白いねん!とかね」という板尾の発言に、賛同するように大きな笑い声が館内に響きました。
●作品情報
さよなら、人類
監督・脚本:ロイ・アンダーソン
出演:ホルガー・アンダーソン、ニルス・ウェストブロム
http://bitters.co.jp/jinrui/
【板尾創路】