『図解 生き物が見ている世界』を出版! ココリコ・田中が語る生き物への想いとは?
芸人界屈指の動物好き、生き物好きで知られるココリコ・田中直樹が、"科学界のインディ・ジョーンズ"こと辺境生物学者の長沼毅広島大准教授の協力、監修を得ながら、2年半の歳月をかけ、先月上梓した『図解 生き物が見ている世界』。
「生き物たちの目には、この世界がどう見えている?」という素朴かつ難解な疑問について、カラーイラストやわかりやすい説明を駆使し、犬や猫といった身近な動物から、アオリイカやホタテガイといった海の生き物、鳥類、昆虫までの全34種類を1冊にまとめています。
この本に注ぎ込んだ情熱、そして長沼先生や生き物への想いについて、著者の田中に話を伺いました。
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――『図解 生き物が見ている世界』発売おめでとうございます。改めて、この本が生まれる経緯についてお聞かせください。
田中 はい。子供の頃からずっと生き物が好きで、今飼っている2匹の犬は、もう11年くらい一緒に生活しています。メスなんですけど、彼女たちはこの世界をどのように見ているのかなっていう疑問がこの本のスタート地点ですね。そして「犬はなんとなくこう見えているのか。じゃあ他の生き物はどう見えているんだろう」と気になってどんどん調べていくと、それぞれ違うことがわかったんですね。そんなことを一冊にまとめた図鑑のようなものを作れないかなと思い始めて、それが2年半前。当時、お世話になっていた長沼先生に相談させてもらったら、「それ面白いね。協力するよ」って言ってくださって、進みだした感じです。
――どのくらい前から生き物が見ている世界が気になり始めたんですか?
田中 4年くらい前かなあ。それくらいから、急に気になり始めたと思います。
――子供の頃、例えばトンボの複眼から見ている世界などは想像したりは?
田中 それが全然考えてなかったですよね。
――以前から長沼先生と親しかったんですか?
田中 本の相談をするまでは、そんなに接点ないです。番組でご一緒して、食事をさせていただく機会があるまで、面識の薄い、プライベートでもお会いしたことのない段階でしたね。番組で共演させてもらうと、長沼先生は僕ら素人でもわかりやすい話をされるんですよ。そもそも僕は素人なんで、こんな本を作りたいと思っても、実現できるかどうかすら全くわからないので、そこは専門家の先生に聞いてみようと思い、相談しました。
――どんなお人柄の方なんですか?
田中 いつ連絡しても、返事をくださいます。生き物をはじめ、地球、宇宙全般のことがお好きな方だと思うので、そういったことに興味を持つ人間に対して、すごく丁寧に教えてくれますね。あとお酒を愛してます(笑)。何度かお酒を飲みながら、いろいろなお話もしました。先生は僕をどう思ってらっしゃるかわからないですけど、プライベートでも会ったことがない、いち芸人から「こんな本を出したい」って言われて、「それ面白いね」って開口一番おっしゃってくれて、しかも「協力するよ」って言ってくださって。その一言が人柄を表してると思いますよ。
――そんな長沼先生が協力、監修のもと、どんな風に作業を進められたんですか?
田中 犬、猫にどう見えているのかっていうインタビューは当然できませんので(笑)、いろんな方法で調べました。目の細胞、視細胞には大きく分けて、明暗を認識する細胞と色を認識する細胞の2つがあるんですが、人と比べてどう違うのかを調べていく作業が一番の核の部分。それから視野角、視力です。こう見えているって断定できないので、おそらくこう見えているであろうという精度を上げていくためには、いろんな研究者のお話を伺ったり、海外の論文を和訳してもらったり......。目の研究をされている方が世界中でもそんなにいないので、完成までに2年半くらいかかったんだと思います。
――イラストレーターさんとのやりとりも綿密にされたんですか?
田中 僕が描いたラフをもとにイラストレーターさんにお願いしたんですが、「もうちょい視野角的に広がっているんじゃないか」「この色はなかなか見えにくいんじゃないか」とか、そういう細かい微調整は繰り返しましたね。
――そうした試行錯誤の末に本書が生まれたわけですが、出来栄えはいかがですか?
田中 こういう本を作りたい、こういう本があったらいいなと思ってスタートした本なので、完成できてすごくうれしいですね。人を含め34種類の生き物が見ている世界のイラストはもちろんですけど、細かい生態だとかそれぞれの特徴、「これ面白くないですか」っていう僕なりのポイントも含め、動物に対する想いが全部ここに詰まっているので、愛しくて仕方ないです。
――お子さんでも楽しめそうですね。
田中 そうですね。人が見ている世界と、生き物が見ている世界とを見比べるだけでも楽しめる本なので、図鑑ですけど絵本として楽しんでいただくのもいいですし、自由研究に使っていただいてもいいと思いますね。
――確かに、夏休みのこのシーズンには教材にピッタリですね。
田中 そうですよね。一方で40歳のおっさんが作った本なので、大人にも楽しんでもらいたいという思いも存分に入っているので、いろんな層の人に読んでもらいたいです。
――発売して間もないので、反響はまだ届いてないかもしれませんが、例えば相方の遠藤さんに手渡しをされたりは?
田中 最初に遠藤へ渡しましたよ。「面白そうな本やな」って言ってくれましたけど、すぐに収録だったので、その後、感想はまだ聞けてないですね。楽屋には忘れてなかったので、おそらく持ち帰ったと思いますが(笑)。
――次の展開として、安易な考えかもしれませんが、映像でも再現できそうかなと思ったのですが。
田中 確かに動く世界では見てみたいですね。ライオンがハントする時の実際見ているであろう世界をリアルに再現できたら、迫力あるでしょうね。また印象も違ってくると思いますよ。
――そうした田中さんの豊富な生き物の知識、情熱がコントなどに活かされていることってあるのでしょうか。例えば、1995年の『オールザッツ漫才』で披露したショートコントには、巨大な蚊が登場しましたよ。
田中 たまたまだと思います(笑)。でもライブでは、何本か生き物を扱ったネタをやってますね。
――さらに言えば、NHK『LIFE!~人生に捧げるコント』の人気キャラ・イカ大王のディテールについて、田中さんが助言を......なんてことは?
田中 僕がイカ大王に!? それはないですね(笑)。
――「こう動けばリアルやぞ」とか言ってないんですか?
田中 そこは気にならないですね(笑)。こっちから「それは間違ってる」みたいなことはないです。笑いが優先ですので。
――では、よく平日昼間に放送しているような(テレビ東京系『午後のロードショー』)奇想天外なサメが登場する映画も、すんなり見られるんですかね。
田中 あー、よく見ますよ。サメさえ出ていれば、それだけでテンション上がるので、細かいことは見てないかもしれないです。サメはフォルムが好きなんですよね。
――そうでしたか。それから、佐久間一行さんの9月の単独ライブに田中さんがゲスト出演されることも話題ですが、やはりお二人の仲は生き物つながりですか?(※9月18日~20日にルミネtheよしもとで開催される佐久間一行SHOW2015『joint』にて、ココリコ田中が20日にゲスト出演)
田中 それもありますね。そんなに頻繁に会えないですけど、仕事で一緒になった時は、さっくんはザリガニを飼ってたりとか生き物好きなので、そこで意気投合して、仲良くなったという経緯はありますね。
――当日、披露するネタは固まってるんですか?
田中 いや、まだ全然です。さっくんが主導で作っていくと思います。
――そちらも楽しみですね。では最後に、読者へメッセージをお願いします。
田中 はい。人を含め34種類の生き物が見ている世界がオールカラーで載っている本は、どこにもないと思ってます。いろんな生き物の目線で楽しんでいただきたいですし、しつこいようですけど、動物に対する僕の想いが全部ここに詰まってますので、ぜひ楽しんでください。
◎衣装協力:シャツ、パンツ、スニーカー/3点共にXLARGE ジャケット/ikka
●書籍情報
ココリコ田中×長沼毅presents『図解 生き物が見ている世界』
ココリコ・田中直樹/著 長沼毅/共著・監修
価格:1,620円(税込)
発行:学研パブリッシング
8月16日(日)14時より、紀伊國屋書店新宿本店8階イベントスペースにて、ココリコ田中さん×長沼毅さんによるトークショー&サイン会概要を開催。
参加方法などの詳細は、紀伊國屋書店内の案内(https://www.kinokuniya.co.jp/c/store/Shinjuku-Main-Store/20150725095043.html)でご確認ください。
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