新作漫才、やりたい放題のコーナー、さらにはカオスなコントで笑いのウェーブが!『千鳥の大漫才2015』レポート
10月31日(日)、東京・ルミネtheよしもとにて『千鳥の大漫才2015』が開催されました。
立見が出るほど大盛況にも関わらず、幕が開いてサンパチマイクが照らされても、例年通り全く湧かない客席。「どうも、千鳥です」と挨拶したノブは「超満員なのに、キャーという声は1つもないんですね」とポツリ。「(オープニングの)VTRになんにも反応がないから、お客さん1人もおらんのかと思った」と笑う大悟は「街はすごいんでしょ?」と呼びかけます。
日曜日、さらにハロウィンということもあって、新宿の街は仮装した人々がたくさん歩いていたのですが、ノブは「ここは真っ黒」とひといじり。唯一いたハロウィンらしい格好をした女性3人組が手を振るも「まさかの女囚人」とツッコミつつ、「内容にはハロウィン感ゼロですよ」と前置きして漫才をスタートさせました。
漫才後は「千鳥の人肌脱ぎまショー」。大悟曰く、「人のために何かできることはないかということで、いろいろと考えた結果、あるゲストにいいことをしようと思った」そうで、呼び込まれたスペシャルゲストはダイアン! 客席からキャー!という黄色い声援が挙がると、怪訝な表情を浮かべた大悟は「え? ダイアンやで?」と念を押します。
今年復活した『Mー1グランプリ2015』は芸歴15年目以下に出場資格があり、ダイアンはラストイヤー。「どうしても優勝して欲しいんよ」(ノブ)「ダイアンに幸せになって欲しい」(大悟)と切実に語ります。ダイアンのネタを賞レース使用に変化させると息巻く千鳥に、「変えようってどういうふうに?」と困惑の色を隠せない西澤。「ダイアンの漫才は面白いけど決勝用じゃない」と諭す大悟を「大丈夫です! 千鳥さん、M-1全然でしたやん!」と制そうとしますが、「1回言うこと聞いてくれ! ダイアンに優勝して欲しいんじゃ!」と押し切られてしまいます。
さらに、アドバイザーとしてなかやまきんに君、ノブがいちばん可愛がっている後輩芸人のシンプル・西野さんも登場。大悟が指定した漫才を、ダイアンがまず披露。書き起こした台本を見ながら、大悟、きんに君、西野さんが熱いダメ出しを敢行しました。
「最初はもっと噛んだほうがええ」「ピスタチオやって!」「審査員に"もっと笑え!"って言うたほうがええわ」など次々とアイデアを出す大悟。さらには、きんに君の持ちギャグ「パワー!」を盛り込むことに。ダイアンの2人はただただおろおろするだけで、口を挟んでもすぐ却下されてしまいます。
大幅に手直しされた台本を見ながら、不安でいっぱいのまま漫才を披露するダイアン。途中、付け加えられた「ここからがダイアン節!」という台詞を、津田が叫ぶと、会場からは拍手と笑いがドッと起こります。その様子に、「5倍受けたやん!」と満足げなノブだったのですが......暗転中に流れたのは、POISON GIRL BAND・阿部からの留守番電話と思われる音声。その内容は「ラストイヤーの今年、M-1をがんばりたいけど、ダイアンが邪魔なんだよねぇ」というもの。もちろん、こちらもネタ。ダイアンを巻き込んでの大茶番劇が行なわれたというわけです。
2本目の漫才後には、先ほどのコーナーのハチャメチャぶりを上回る混沌としたコントが。おそらく彼らが若かりし頃に一斉を風靡した某マンガをオマージュした内容で、ソルジャーである千鳥の2人が対決し出します。
劣勢を強いられたノブが助けを呼ぶと、きんに君ソルジャーが出現! 段取りを無視しているのか、テンパってそうしているのか、意図はわからずとも、突然始まったカオスなコントをさらに引っ掻き回してムチャクチャにするきんに君に、観客は抱腹絶倒。全員が前屈みになって体を揺らして笑うため、後ろからは客席が波打っているように見えるほど大ウケでした。
「大漫才ゲストトーク」では、ナイツを迎えてトーク。2人が登場すると、客席からは「おぉ!」と感嘆の声が上がります。
まず、「同期なんやから、今日をきっかけにタメ口にしよう」と言い出した大悟ですが、土屋さんに「大悟はすでにやめてるでしょ」と指摘されます。塙さんは「ダイアンのコーナーいらなかったんじゃない?(笑)」とツッコみながら、「漫才だけやるのかと思ったら、色々とやるんだね」と本日の単独ライブの感想を。ナイツは国立演芸場などで独演会と称した漫才ライブを開催しているそうですが、「こんなふうに色々あったほうが、お客さんは楽しいよね」と笑います。
『Mー1グランプリ2015』に挑戦しているナイツ。千鳥は不参加ですが、その理由について「(2010年で)燃え尽きた。一度、灰になったものから火は起きない」と語るノブ。「ただ、決勝を観たら"出といたほうがよかった"と思うかもしれん」と呟きます。
ノブから「西の漫才師のこと、どう思ってんの?」と聞かれた塙さんは「(プロ野球の)日本シリーズを観ていて思ったんだけど、セ・リーグとパ・リーグの違いっていうか。早い球をばんばん投げるパ・リーグのように、大阪の人たちはばんばん来るよね」と分析します。また、ナイツからする本格派漫才師臭が羨ましいと話すノブ。「どうやったらそういう本格派漫才師臭が出るんやろうな」と悩みを吐露すると、「すでにあるほうではあると思う」と塙さん。大悟も「あるほうではある!」と笑いながら同調しました。
漫才師らしい熱いトークを繰り広げられる中、「最高の漫才師ナンバー1を決める大会」を2組で考えることに。決勝戦は年末がいいのか、年齢制限は必要か、決勝進出者は何組がいいのか、司会者は誰がいいのか、審査方法はどうするのかなど、これまでの経験を踏まえてさまざまな意見を出していきます。中には、漫才師ならではのシビアな意見も。さらに白熱するトークですが、ついに時間オーバー。結局、塙さんの「決められないね」という意見に全員が頷き、コーナーは終了しました。
最後は再び漫才を。エンディングでは東京にも慣れてきたことを報告しつつ、「また来てください!」と呼びかけて、2時間半に及ぶ濃厚な単独ライブは幕を閉じました。
【千鳥】