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2014年4月20日 (日)

「いろんな人に愛されて、支えてもらった10年」と感謝! 活動休止目前の少年少女が大いに語る!

4月13日(日)、少年少女の活動休止が発表されました。同月29日(火)に東京・神保町花月で開催される『少年少女 春の祭典SP』がコンビとしての最後のライブ。坂口は「少年少女 坂口真弓」という芸名で活動、阿部は清掃業へ、それぞれの道を進むこともリリースされました。

このインタビューは、活動休止発表後に行われたもの。解散、活動休止の場合、公式としてコメントをリリースすることはあっても、インタビューするのはきわめて稀です。が、少年少女の2人の「活動休止したら、こういう場を設けないといけないと思っていたんです。だから、会社に“きちんと話します”と言ったんですけど……」という誤解から、こういう場が設けられたことが判明!
「ご足労をおかけしてすみませんでした」と平謝りの2人でしたが、ステキな勘違いから改めてこれまでの10年間の軌跡や今後について、たっぷりと話してもらうことができました。

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“活動休止”という言葉に秘められた
2人の思い

——まずは今回の決意に至った経緯を教えていただけますか。

阿部 ……なんて言ったらいいんでしょう。私から1年前に「辞めたい」というようなことを切り出しまして。30歳を超えて、ちょっと安定が欲しくなったんですかね(笑)。
坂口 そうだね。で、1年前の時点で、私は「あぁ、わかった」とすんなりと受け入れまして。
阿部 当時は2人とも辞めるつもりだったんですよ。昨年3月の段階で“あと1年やって、4月で辞めよう”っていう話になってたんですけど、昨年末もう1回話し合ったときに意見の違いが出て、こういう選択になったという感じです。

――“解散”ではなく“活動休止”と発表にしたのには、どんな意味合いが込められているんでしょう? ファンの方も困惑してる部分じゃないかなと思うんですけれど。

坂口 阿部さんは(この世界に再び)戻っては来ないと言ってるんですけど、戻って来てもいいよっていう意味というか、そういう軽いもんです。
阿部 辞めてしまうけど、清掃業の阿部さん=少年少女の阿部さんだよ、的なことだよな?
坂口 そうです。2人で一緒にいたら、喩えそれがお茶を飲んでいただけだとしても、私たちを知ってる人からすれば“少年少女”ですから。
阿部 そういう意味で、言葉として“解散”は適切ではなかったということなんだと思います。お客さんにはTwitterで「戻ってくるんですか?」ともよく訊かれます。けど、私は「戻らないです」と返してます。「お約束はできません!」って。
坂口 ドライ!(笑)

――(笑)もしも戻ってくるようなことがあったとしても、「戻らないです」って言っといて戻って来たほうが面白いですしね。

坂口 ズコーってなりますよね。
阿部 あんなに戻らないって言ってたのに、ってね。とにかく、コンビ名が残るから“活動休止”にした。それだけです。

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――この10年間は長かったですか? 短かったですか?

阿部 私はねぇ……長かった。うん、長かったです。充実してるから短く感じるっていう人もいるんでしょうけど、いろんなことをやってきたから長いと感じているというところもありました。
坂口 私はあっという間でした。普通にケータイをずーっといじってて“あ、もう夕方だ。1日早いなぁ”って思う性格なんで、それと同じ感覚でそう思ってます。
阿部 この意見の分かれ方、コンビっぽいですね。なんかいいですね。

――確かに(笑)。芸歴1~2年目の頃のお2人はあまり喋らなかったし、終始、無表情でしたよね。『needs』(伝統的に行われている芸歴4年目以下によるゲームコーナーライブ)とかに出ていても、嫌そうな顔をして前に出ていましたよね。

阿部 あはははははは!
坂口 確かにそうでした。阿部さんがマッチョ軍団の中に嫌々入れられてたりね。はははは!
阿部 だって、やりたくなかったんですもん(笑)。
坂口 (作家の)山田(ナビスコ)さんがテレビのバラエティ番組に出た時に役立つようにってやってくれてたコーナーライブで。いま思えば愛情を持ってくれてるからこそ、そういうライブをやってくれてたんですけど、当時はどうしていいかわからなかった。
阿部 前にも出てないし、喋ってなかったですね。

――でも経験を重ねるうちに、どんどん笑顔が増えて、同期や先輩、後輩たちとも打ち解けていった感じですよね。

坂口 『needs』に出てる芸人さんってやっぱり明るい人が多かったから、(心を)開いてもらったみたいな感じです。「お前、喋れよ」っていじってくれるようになってから、一緒に飲みに行くようになったりして。
阿部 2~3年目くらいから人とコミュニケーションできるように……まぁ、それでもできてなかったほうでしたけど、あの辺りから“周りの人と喋っていいんだ”って気持ちになりました。
坂口 それまでは、2人だけでいたから。やっと友だちができた感じだったよね?
阿部 そうだな。同期とかともその頃にようやく喋れるようになりました。その前は、喋りかけられれば喋りますけど、自分から話しかけることはなかったんです。あれ、なんだったんだろう? 人見知りしてたのかな。
坂口 尖ってたんじゃない?
阿部 それはある!(笑)

――尖ってたっていうのは、面白い人以外と口を聞きたくない、みたいなことですか?

坂口 30人くらいしか女子いなかったんですけど、うちらと女の子3人組のすっげぇ暗い5人と、カワイイ女の子グループに分かれてたんですよ。
阿部 だから、“暗くてもウケた!”みたいな。それまでは同期に見下されてるなって感じてたこともあって。
坂口 みんながキャッキャしてる中で、うちらはずっと隅っこで下向いてたからね。で、NSC時代って女の子がネタやるとウケないことが多いんですけど、私たちはたまたまやったネタがウケたんですよ。で、“やったぜ!”って。“ウケたもん勝ちでしょ、この世界”みたいな尖り方ですよね。
阿部 うん。ウケると同期にも話しかけられるようになって。

――同期のはんにゃ・金田さんが「NSC時代、女がお笑いやるなんてっていう偏見を持ってたけど、少年少女はネタが面白かったから認めざるを得なかった」みたいなことを以前言ってましたよね?

坂口 だってあいつ、私たちの悪口言ってたもんね? 違うクラスだったんですけど、合同授業のときに「なんだ、あの猫娘とヘルメット頭は」って言われた。私がヘルメット頭で、阿部さんが猫娘(笑)。
阿部 あぁ、言われた! あいつ、華やかだから目立ってたんですけど、「あんなヤツにバカにされてる」っていう気持ちになったのを覚えてます。……(フルーツポンチの)村上も喋ってくんなかったよね。
坂口 ムラケンはめっちゃ尖ってたから。当時はピン芸人で。
阿部 あの頃、あるタレントさんが好きで、品川のファミリーマートにいたときに立ち読みしてたんで「その人、好きなんだ」って話しかけたんですよ。けど、シカトされました。その後、『needs』とか『JET GIG』(註:芸歴4年目以下の新ネタライブ)とかで一緒になるようになって、本社で一緒にネタを書くようになったり、喋るようになったんです。今でもやってると思うんですけど、あいつ、(コントの)台本、縦書きなんですよ(笑)。
坂口 ノートを横にして、縦書きにしてるんだよね(笑)。……ネタ合わせしてる授業中とか思い出すと、本当に懐かしい。
阿部 同期はいろんな思い出があるね。

――10期生は仲がいい印象ですけど、今回の活動休止についてはみなさん、どんな反応でした?

阿部 同期には(活動休止の発表)直前まで言わないでおこうと思ってたんです。けど、「“なんで言ってくれなかったんだよ”って思う人もいるから言ったほうがいいよ」って言われたので、言いました。
坂口 私は(阿部から辞めたいと)言われたほうだったから悩んじゃって。で、同期に相談したんです。まぁ、これが3~4年目の頃だったら止めてたと思うんですけど、10年もやってると“そういう人もいるか”っていう感じでしたね。
阿部 止める人はいなかったかな。

――まぁ、芸人としてのいろんな気持ちがわかってるからこそ、そういう反応だったんでしょうね。

阿部 そうですね。「もう決めたことなんでしょ」っていう人が多かったです。

――先ほど、しずるの村上さんがいたので少年少女さんの話をしたら「残念ですよね。本当に。でも、決めたことだからしょうがない」ってぶつぶつ言ってました。

坂口 ははは! 純さんもわかってくれてるんでしょうね。
阿部 純さんはわかってくれてる。報告したとき、「お前が決めたっていうんなら、もう決まったことなんだろ?」って言いましたから。私も「そうです」としか言えなかったですね。

――NSC時代でしたっけ、しずるの村上さんに「面白いね」と声をかけられたのは。

坂口 そうですね。(NSCを卒業した1期先輩の)村上さんと囲碁将棋・根建さんが、ネタ見せのアシスタントをやってた日があって。最後、先輩からの連絡事項を伝えてもらうときに、根建さんに「おい、お前ら!」って急に声をかけられたんです。「お前らが今日のMVPだ」って。
阿部 あれ、嬉しかった~~。
坂口 うん、嬉しかった。自信になりましたね。
阿部 だから、最初に褒めてくれた先輩は根建さんです。で、村上さんや作家さんの中にも言ってくれる人が現れていった感じですね。


お笑いブームでつかんだ
レギュラー番組

――同期のオリエンタルラジオがどーんと売れて、お笑いブームがやってきて。少年少女さんも徐々に、テレビのバラエティ番組に出られるようになりましたけど、どんな気持ちでした?

阿部 そうでした。あの勢い……なんだったんでしょうね?(笑) 
坂口 私たちなんて地味すぎるから「出てもいいんですか?」って恐れ多く思ってました。

――『ふくらむスクラム!!』『1ばんスクラム!!』(フジテレビ系)と、レギュラー番組も持ちました。

坂口 あの番組のメンバーには絶対に入りたかったので、緻密に作戦を練ってオーディションに挑みました。
阿部 言うんですもん、坂口が。

――なんて?

坂口 阿部は『新しい波』の存在すら知らなかったんで、全部一から説明して。「来年、『新しい波16』っていうのがあるから、それに絶対出て軌道に乗ろう」って言ったんです。
阿部 説明されて、これはほかのオーディションとちょっとだけ違うんだなと理解しました。
坂口 私は『夢で逢えたら』を観て、テレビでユニットコントがやりたいと思ってこの世界に入ったので、どうしても叶えたかったというか。そんな自分勝手な思いから、阿部さんに付いてこさせたという感じだったかもしれないですけど。
阿部 いやいや、そんなことはない。やっぱり『エンタの神様』(日本テレビ系)『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ系)、『~スクラム!!』の存在は大きかったから。

――転機的な意味合いも強いですよね。

阿部 全部がきっかけになっているもんね。
坂口 人とのつながりのね。
阿部 うん。それに、(劇場でやっている)ネタがそのままできるのが嬉しかった。
坂口 嬉しかったなぁ。『エンタの神様』で「OLクイズ」をやったんですけど、そのときスタッフさんに「そのままの空気を出したいから、そのままやっていいよ」って言われたのは本当に嬉しかったです。

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――坂口さんはテレビでユニットコントをやりたかったということですけど、阿部さんは芸人を目指し始めた頃、どんなビジョンを描いてたんですか?

阿部 私……なかったのかも。ちょっとやってみようというだけで入ったんで。
坂口 ふふふ。楽しそうだなっていう感じで?
阿部 というか、まだ21歳だし、みたいな。で、入ったら、面白いと言ってくれる人が出て、テレビにも出させてもらえるようになったんです。

――軽い動機から10年も続けられたなんて、ある意味すごいですね。

阿部 あんまり考えてなかったのがよかったのかな(笑)。
坂口 2人でやってるのが楽しかったんだよね。
阿部 楽しかった。
坂口 でも、そこから広がりがなかったってことでしょう。2年前にやってたラジオ番組とか、すごく楽しかったけどね。
阿部 あれは自由すぎたね。でも、テレビはそれとはちょっとちがうというか。
坂口 私たち、椅子からみんなと一緒に転けるとかができなくて。
阿部 しかも、やらないならやらないで貫けばいいのに、ちょっと転けたりするからダメだったんだよね。あれもチームプレーですから。

――それこそ『needs』での成果が活きる場面ですよね(笑)。

阿部 だから、『needs』はちゃんとやっといたほうがいいです! 前に出たくない人は、特にやったほうがいい! あと、山田さんの言うことも聞いたほうがいいです!


酒を飲んで飲まれて、
ついには著書も刊行!

――少年少女と切っても切れないのが、お酒。酒に溺れた10年間といっても過言ではないんじゃないかなと思うんですけど。

阿部 あはははははは! 確かに!
坂口 でも、私は最初、まったく飲んでなかった。引きこもり上がりでお酒を知らないから、飲む習慣がなかったんです。けど、阿部さんは当時から飲んでたよね。(当時NSCがあった)西大井から一駅で品川に着くんですけど、コンビ組んだ頃、いきなり「居酒屋に行こうよ。居酒屋! ネタ合わせ、そこでしようよ」って言われて。“そんなとこでネタ合わせなんてするわけねーだろ!”って思いながら、居酒屋に行きましたもん。居酒屋なんてほぼ初めてくらいだったから、カルチャーショックでしたよ。
阿部 ははは! 私もいまよりは飲んでなかったんですよ?
坂口 まぁ、たしなむ程度だったよね。でも、ネタ合わせ中にカラオケへ行って飲んだり。
阿部 同期で集まって飲んだり。
坂口 同期がみんな、お酒好きだからね。で、缶ビール買って飲んだりし出してから、もう……。
阿部 みんなを置き去りにしました!(笑)
坂口 ごぼう抜きだよね(笑)。
阿部 私なんて一生分、飲んだんじゃないかなって思うくらい、酒に溺れました。

――(笑)そんなお酒のおかげで、2011年に『酒と泪と少年少女』(武田ランダムハウスジャパン刊)という著書も出しましたよね。

阿部 仕事につながりました。飲んでてよかったです。
坂口 あれ、大変だったよね。酒にまつわるエピソードを10篇ずつ書くことになっていたんですけど、2人ともパソコンを持ってないから全部手書きで。私は全篇、一発オッケーだったんですけど、阿部さんはことごとくボツ。添削とかじゃなく、ボツ!
阿部 全部でした。だって覚えてないんですもん、飲んでるから! エピソードなんて書けなかったんです。

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――阿佐ヶ谷ロフトAでやった出版記念イベント後の、お2人の酔っぱらいエピソードがひどかったですよね。

阿部 あぁ、そうでした!(笑)
坂口 昼間に阿佐ヶ谷でイベントやったあと、純さんと3人で吉祥寺に行って飲んで。私は確か、途中で帰ったんだった。

――そうです。坂口さんは2人を置いて帰っちゃったんです。で、イベントのMCをやった、かたつむり・林さんを再びどこかへ呼び出したんじゃなかったでしたっけ? 林さんのTwitterかなんかに、酔っぱらって机に突っ伏してる阿部さんと村上さんの写真がアップされていた記憶があります。

阿部 そうです、そうです。吉祥寺から新宿に向かったんですよ。で、そこで林くんが合流して……来た途端、寝たんだと思います(笑)。そのあとに神保町へ行って……。

――イベントの後日、坂口さんから「あのあと、純さんにタクシーへ乗せられたのに阿部さんは家に帰らないで、神保町で降りて劇場へ向かって。“どいて! どいて!”って楽屋にいる芸人さんをかき分けて入っていって寝たらしい」と聞いたような気がします(笑)。

坂口 そうだったかも。超怖ぇえ!
阿部 あははははは! やってますねぇ。うわー、覚えてない。まぁ、神保町花月自体、稽古が多いんで酒飲む場にもなりやすいんですよ。でも、みなさんと仲よくなれるんですよ?

――いいお酒ってことですよね。最近も溺れてますか?

坂口 私は最近のほうが記憶がないです。どうやって帰って来たんだろう?みたいなことが増えました。記憶が断片的で……この前なんか、カラオケに行った記憶のあとに思い出したのは、スパイク・松浦とそばを食べたことで。で、起きたら、もう家でした。
阿部 まだいい。家に帰ってるだけ偉い! 
坂口 でも、どうやって家に帰ったのかわからないのは怖いよ。松浦も同じこと言ってた。
阿部 女芸人は、どうしてもそうなっちゃうんですよ。照れがあるというか。
坂口 早く飲んで、酒の力を借りて場になじみたいっていうのがあるからね。
阿部 活動休止しようっていう話をしてから、2人きりで飲んだ日もひどかった。渋谷で飲もうってことになって飲んだんですけど、後半、何も覚えてない。2人とも、へべれけだったよね?
坂口 うん。2人で飲んでて終電がなくなって。グランジの大さんとマキシマムパーパーサムの長澤さんが下北で飲んでるってツイートしてたから、タクシーに乗って向かったんです。私はたぶん下北で飲んで帰ったんですけど、途中、(ザ・パンチの)パンチ浜崎さんから電話があって。阿部は大さんと一緒に、ハマさんのところに行きました。
阿部 その日がそれか! で、かたつむりの中澤が合流して、途中で大さんがいなくなって、最後は中澤とハマさんと3人。気付いたら、寝てました(笑)。

――さすがです。活動休止すると、そこまでは飲めなくなりますよね。

坂口 毎日働かなきゃいけないからな。
阿部 免許も取らなきゃいけないから、飲めなくなると思います。21歳から31歳まで芸人をやれて、酒もいっぱい飲めて本当に幸せでした(笑)。


これまでの感謝、
そして今後の活動について

――坂口さんは今後もこの世界に残るわけですけど、お2人とも芸人になってよかったですか?

阿部 よかった!
坂口 うん。ファンの方も少なからずいてくれて。周りによく愛されました。
阿部 本当によかったです。みんな、芸人やったらいいんじゃない?と思います。
坂口 無駄なことが一切ないんですもん。もちろん、なくしたものはあったと思います。けど、手に入ったもののほうが多い。特に私なんて、引きこもりで人と喋れなかったのに、いまでは目を見て話せるようにもなりましたから、本当にやってよかった。
阿部 3回チャンスがあるとよく言いますけど、私たちは100回くらいもらった気もします。本当にやっていてよかったです。

――阿部さん、なぜ清掃業に?

阿部 お笑いの次に好きなことで、お笑いより安定していることをやっていくことにしました。ただ、芸人をやるなら10年は続けたほうがいいと思います。私、履歴書にも書きました。「よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属 芸人」って。

――会社の方の反応は?

阿部 面接では「なるほど。夢を諦めるんですか」と言われて。で、「厳しい世界で頑張ってこられたんですね」って言ってくれたんです。

――ステキな反応。いい会社に入られたんですね。一方、坂口さんはピンで活動していくわけですけど、どんなことをやっていく予定ですか?

坂口 いままで一度もピンでネタをやったことがないんですよ。『R-1ぐらんぷり』にエントリーしたこともないし、10年間ずっと2人だったんで…………。29日にちゃんと全てが終わって、一度、気持ちをまっさらにしたい。本当はいまから動かなきゃいけないんでしょうけど、整理してから考えたいです。やっぱり2人の、少年少女のネタが好きなので。

――いいネタばかりでしたもんね。女の子がやってることなんだけど、女の子っぽくないネタというか。OLクイズとかも女性的な設定だけど、女性的な展開にいかないし。少年少女さんのネタは、性別関係なく面白いっていう絶妙なところをついたものばかりでした。

阿部 そう言ってもらえるのは、ありがたいです。女っぽいネタはつくらなかったから。
坂口 つくらなかったよね。まぁ意識してそうしていたわけじゃないけど。
阿部 デブとかブスとか言って、自分たちをいじることはしなかったというか。それは、私たちみたいな見た目普通な2人がやっても面白くないっていうのがあったからなんですけど。
坂口 そういう共通意識はありました。最初につくったネタはマジでバカみたいな……宇宙人のネタで。黒い服着て、カチューシャに変なの付けて。でも、自信がなかったから、ネタ見せですら見せなかった。
阿部 そうだった!(笑)シュールやってます、みたいなネタで。
坂口 狙ってつくってたからサムかった。で、ネタ見せで最初にしたのはOLのネタで、鼻声が治らないみたいなヤツだった。

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――その頃から、OLを題材にはしてたんですね。

坂口 最初は「OLクイズー!」っていうフレーズしかなかったんです。2人で夜まで遊んで、蒲田のファミレスかどこかへ行って、このフレーズをネタにしようって朝までつくった気がします。
阿部 そう思うと、ネタのつくり方が当時と変わってないんだね。
坂口 ワンフレーズから無理矢理つくるっていうのを続けた10年間だよね。

――ネタは、いつも2人で話しながらつくってたんですか。

阿部 そうです。特に「OLクイズ」はそうでしたね。

――じゃあ、坂口さんは創作環境もガラッと変わりますね。

坂口 そうなんです。結構頼ってたんで、阿部さんに(笑)。これからも相談しよ。
阿部 うん。困ったときは言ってよ。

――清掃業に就くと決意している人に言うことではないと重々承知の上で言わせてもらいますけど……、阿部さんが辞めるのはやっぱりもったいないと思います。

坂口 私もそう思います。阿部さんがスベってるとこ、一度も観たことがないんですよ。平場でもどこでも、本当にない。何言ってもウケるんです。そんな人がよく辞めようと思いますよね。
阿部 いやいや、そんなことはないよ。
坂口 天才とは言わないけど、天性のものは持ってると思うよ。
阿部 そう言われるうちが華です。惜しまれながら去るくらいのほうがいいと思います。
坂口 北島三郎さんと一緒か! 惜しまれながら、昨年末で『紅白歌合戦』から引退されたからさ。
阿部 あはは。そうだね!


2人が出会ったこと自体、
すごく恵まれたことだった

――「少年少女」というコンビを組んでよかったですか?

坂口 もちろんです。阿部さんと一緒じゃなかったら、ここまで続かなかった。

――女の子30人いても全員が合わないっていう可能性もあった訳ですから、相性のいい人と出会えたこと自体、奇跡的ですよね。

阿部 本当に恵まれました。そこからもう、運がよかった。
坂口 NSC入学前の面接も一緒だったんです。
阿部 ……覚えてない(笑)。
坂口 (笑)時間通りに教室へ行って緊張しながら待ってたら、時間ギリギリにばたばたと入ってきた人が阿部さんで。「あの人、遅刻じゃん」って思ったんだよね。
阿部 ははは! 西大井があんなに遠いと思ってなかった。品川からの一駅が長いよなぁ?
坂口 まぁ、確かに長いけどさ。で、グループ面接だったんで、一緒に部屋に入って質問されて。「アピールはありますか?」って言われたら、阿部さんが「大声を出せます」って言い出したんです。
阿部 あははははは!
坂口 しかも、「大声が出せます」って言ってる声がちっちゃい! で、「あーーー!」って言って終わったんだよね(笑)。組んだあと、「もしかして、あのとき大声出した人じゃない?」って聞いたら、そうだったみたいな。はははは!
阿部 あ~~~、お恥ずかしい! 接客五大用語を言おうと思ってたんですけど、恥ずかしくなってそれで終わらせたんだと思います。……やっぱり、坂口さんとは縁があったんだな。

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――細木数子さんの占いで「2歳年上の人と相性がいい」って書いてあって、2つ年上の坂口さんに声をかけたんでしたよね?

阿部 そうです、そうです。
坂口 最初の授業で、相方探しのお見合いをすることになって。女子30人くらいが輪になって順番に話していったんです。その授業が終わって、明るい女の子たちは品川のアンナミラーズに行ったんですけど、私はどうでもよかったから帰ったんですよ。その話を組んだあとにしたら、「私も帰ったわ」って。あぁ、やっぱりって思いましたよね。
阿部 ノリが似てる……この人だと思いました。2つ年上だし、水星人プラス同士はダウンタウンさんと一緒だ! 売れる! これはいい!って思ったんですよね。出会いからも含めて、本当にいい10年間でした。
坂口 うん。ミラクルが続いた感じだったね。

――まだ、29日までに時間があるじゃないですか。やり残したことはないんですか?

阿部 『よしログ』にも出させていただけるみたいなんで、好きだったから嬉しいんですよ。……ただ、お酒の話をしているうちに、お酒のライブをやればよかったなとは思いました。29日のライブが最後だって告知しちゃったからなぁ。

――「まだやり残したことがありました」って言っても、ファンの人は許してくれると思いますよ?

坂口 そうですね。でも、5月1日から働くんだよね? 30日にやったら2日酔いで掃除することになるかもよ。
阿部 それはできない! だから、やんないかもしれないです。まぁ、やれそうだったらやります!

――ぜひやってください! 改めてお話を伺って、お笑いを嫌いになったり、コンビ仲が悪くなっての活動休止じゃなくて、正直ホッとしました。

坂口 「結婚するんだろ?」とか「妊娠したんだろ?」とか、いろんなことを言ってる人がいましたけど。
阿部 反応してくれたことは嬉しいんですけど、結婚、出産、不仲……一切ないです!
坂口 逆に、阿部さんが授かり婚したら、超面白いけどな。まぁ、清掃業もかなり面白いけどさ。

――Yahoo!トップのニューストピックスに上がったので、いろんな反応があったんですね。

阿部 あれも面白かった。芸人やっててよかったと思いましたね。
坂口 私も。記念にスクリーンショットを撮りました(笑)。

――29日が一応、コンビとして最後のライブとなります。当日券も出るようで。

坂口 はい。コントをちょっとやって、そのあとはくだらないことを……。阿部さんが二重になったとか年表で10年を振り返る予定です。
阿部 ははは! 歳を取ったら、二重になっちゃったんだよね。
坂口 (笑)楽しいライブにしようと思ってるんで、楽しみにしていてほしいです。
阿部 そうだね。楽しみにしていてください。

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●ライブ情報
少年少女 春の祭典SP
開催日:4月29日(火) 開場19時15分/開演19時30分
会場:神保町花月
チケット情報:当日券1800円

神保町花月
http://www.yoshimoto.co.jp/jimbocho/


【少年少女】