鉄拳、水野敬也さんとともに挫折と野望を語る 『それでも僕は夢を見る』15万部突破記念作品上映会
5月1日(木)、東京・スペースFS汐留にて、「『それでも僕は夢を見る』15万部突破記念作品上映会」が行われ、作者の水野敬也さん、鉄拳が登壇しました。
『それでも僕は夢を見る』(文響社)は、『夢をかなえるゾウ』や『人生はニャンとかなる!』などの作者・水野敬也が原作を書き、最近ではパラパラ漫画家としての活躍が目覚ましい鉄拳がイラストを描いて実現したコラボレーション作品。
挫折を繰り返す主人公「僕」と擬人化された「夢」による関係が晩年まで描かれており、3月20日の発売から約1ヶ月半で15万部を突破しました。
本イベントでは、MCを橘仁美さんが務め、まず文響社の山本周嗣代表取締役社長から挨拶があり、続いて水野敬也さん、鉄拳の2人が登壇。
「僕が想像してないくらい鉄拳さんのイラストが素晴らしい」(水野)、「水野さんの力がすごいなと思います。90何%は、水野さんの力です」(鉄拳)とお互いを褒め合う展開となります。
続けざまに水野さんはツイッターなどでの評判について、「僕には賛否両論なんです」「鉄拳さんの絵を否定する人は一人もいなくて、鉄拳さんに助けられて15万部いったと僕は思ってます」と改めて鉄拳を労い、「そんな情報は聞いてなかったので、うれしいです」と照れる鉄拳。
また水野さんは、原作を執筆後、デザイナーと議論を交わした結果、「ベタだけど味がある」鉄拳にイラストをオファーするも、鉄拳は多忙を極めていた時期で「すごく待ったんですよね。モテてる女性の前で、何人も告白する男性が並ぶように、まだかなまだかなと(笑)」といったこぼれ話も披露します。
そんな経緯で生まれた『それでも僕は夢を見る』ですが、本日は動画として上映され、BGMも相まって、書籍とはまた違う感動を与えました。
上映後、水野さんが「ホントに面白かったですね」と口を開くと、「映画館でホントに流してもらいたいですね」と鉄拳も満足気な様子。
話題はこれまでの夢や経歴へ移ると、水野さんは無職の25歳の頃、高齢になってから成功した人について調べ、自分を慰めていたとか。
一方の鉄拳は、中学時代、棒高跳びや走り高跳びとかが得意だったものの大会直前に骨折したり、柔道も挫折したといった学生時代を回想。その後も漫画家、プロレスラー、俳優を目指すも、「あきらめてあきらめての連続」で、辿り着いたのが現在の鉄拳だったそうです。
水野さんから衣装について触れられると、「プロレスが好きだから、ロードウォリアーズの恰好」をし、俳優としては致命的な滑舌の悪さを活かし、さらに漫画家志望で培った画力も相まって、「全部を合体したら鉄拳ができたんですよ」といつもの淡々とした口調で説明します。
MCより、日頃の生活を訊かれると、20時間描き続け、6時間睡眠という26時間サイクルの生活をし、「気づいたら、一週間に6回しか寝てなかったんです」といったこともあったとか。
さらに鉄拳は、公開が決まった『振り子』の実写映画版で素顔で出演していることを明かすと、「鉄拳さんの素顔はすごいイケメンだって話はすごくします」と水野さん。
たまらず、「それはハードル、上げすぎだと思います(笑)」と口を挟む鉄拳でした。
最後に鉄拳は、「お笑いの方を最小限に少なくして、パラパラ漫画をワンランクあげるようにがんばって、なるべくいい作品を作って、海外でも通用するような賞とかにも出展したいです」といった野望を明かしました。
フォトセッションを挟んで行われた囲み取材には、鉄拳が出席。
「水野さんと一緒に仕事ができるというだけでもワクワクして、素晴らしい作品ができたのでうれしいです」と改めて喜びを口にしますが、水野さんの作品については「(読んだこと)ないです」とキッパリ。
本人曰く、「言葉が多いのはダメ」だそうで、『人生はニャンとかなる!』といった写真中心の著書は読んでいるそうです。
「最近、挫折したことは?」との質問には、「ここ最近、挫折してないですね」と答えた後、しばらく考えた挙句、休みの日に、1時間ほど片付けをした際にヘルニアを患ったことを告白。
「今まで絵を描いてた時はならないのに、1時間だけ片付けただけでヘルニアになっちゃうのかなあ…ってそれが挫折です(笑)」と笑いを誘っていました。
お笑い業については、『笑点』に出演するべく、「こんな『笑点』はいやだ」を考えたものの、まったく思いつかず「お笑いに関して、脳みそが退化してる」といった弱音も。
さらには、スケッチブックを持つ手が震え、重さで下がってくるため、「体力つけなきゃ」と自分に言い聞かせます。
今後の目標は、ショートムービーを作って、映画祭で賞を取ることと宣言した鉄拳。
すでにマネージャーに、今夏、制作用のスケジュールを空けてもらうようにお願いしているそうで、「感動する話が多かったので、夢のある作品をつくろうと思ってます。遊園地みたいなやつですね」と創作意欲を燃やしていました。
●書籍情報
『それでも僕は夢を見る』
作・水野敬也 画・鉄拳
文響社 http://bunkyosha.com/book/syousai/soreboku.html
150ページ/B6(ソフトカバー)
986円+税
【鉄拳】