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2014年8月12日 (火)

吉例 第三十二回 88 桂文珍独演会

8月8日、なんばグランド花月にて毎年恒例の「88 桂文珍独演会」が行われました。

今年で32回目を迎える本独演会、“前座”を務めたのは桂珍幻彩(ちんげんさい)。この珍幻彩、実は文珍本人なのですが、「若いときにできなかった噺を」という趣旨のもと、昨年より登場。出囃子は「石段」です。「石段」は前座の方によく使われる曲で、階段を一段一段上っていくようにという期待が込められているとのこと。マクラでは、日常に起こるほのぼのした笑い話をいくつか。そして口達者な子ども・トラちゃんと父親とのお祭りでのひとこまを描いた「初天神」を口演しました。子どもらしさを残しつつ、大人も舌を巻くトラちゃんの減らず口に爆笑の連続でした。

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続いては弟子の楽珍が登場。楽珍は第1回から連続で前座を務めています。最近、当時の写真を見たそうで、髪の毛はいっぱい、体重も今より32キロは痩せていたそうで、時が経つのは早いですねとしみじみ。そして故郷・徳之島の紹介をして、助けた子狸の協力を仰ぎ、賭博で一儲けしようと企てる「新版狸賽」を披露しました。

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中入り前は、文珍で「萬両」を。古典落語「お文さん」をベースに、いわく「換骨奪胎して新しい世界にアレンジした」もの。マクラでは80歳を過ぎたご夫婦の会話を紹介、まるで漫才のような頓知の利いたやり取りに「ここまで行くのが大変。完成している」と称さん、果たして「萬両」ではどんな“夫婦像”が出てくるのでしょうか。「後半は思わず女性がニヤリとするような」と言っていたとおり、後半からはスカッとする笑いで楽しませてくれました。

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中入り後はゲストの立川生志さんの落語から。兄弟子の立川志の輔さん、立川談志さんに続いて、立川流からは3人目の“88出演”と嬉しそう。ゲストで出ることを志の輔さんにお話したところ、志の輔さんから「文珍さんのお客様はいいお客様だから、きっと爆笑だよ」とプレッシャー(!?)をかけられたとか。一方で、「一番伝えたいことは、なんばグランド花月のお客様に“志の輔がよろしく”と…」とお話されていたとのこと。生志さんは「確かに伝えました! 私が伝えたことが何かの拍子に志の輔兄さんに伝われば…」と使命を果たしたと言わんばかりでした。そして“立川流のハト派”と自称しつつ、得意の毒舌で世相をバッサリ。マクラでお客様をひとしきり笑わせて「短命」を口演。上方でもおなじみの艶噺を、さっぱりとした江戸っ子口調で聴かせてくれました。

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「88 独演会」、今年の大トリネタは閻魔大王や石川五右衛門らが出てくる「御血脈」でした。前半は時事ネタのラッシュ、2014年上半期にメディアを騒がせた“あの人、この人”が続々登場。細かいギャグの連発に何度も爆笑が起こりました。そして後半は一転、地獄の風景を。閻魔大王と石川五右衛門の形容はさすがの貫禄。ぐっと重量感を加えつつも、現代用語もさっと入れ込み、古典の世界を身近に感じさせてくれました。


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そうして2014年の「88 独演会」はお開きに。最後に、「『萬両』は、前半はご主人方がニヤニヤして、女性の反感を買いますが、後半になると女性がみな喜ぶ。そういう噺にできたんじゃないかと思います。『御血脈』ではハメモノも入れて少し芝居がかった世界を楽しんでもらいました。そして若いときにやらないまま過ごしてしまった『初天神』と、色の違うものを3つ、お楽しみいただきました。また来年、お目にかかりましょう!」と挨拶すると、場内は万雷の拍手に包まれました。

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この「88 独演会」は、「55回目となる88歳まで続けたい」と開催記者会見で語っていた文珍。来年の8月8日も、今からぜひご予定を空けておいてくださいね!

【桂文珍】【桂楽珍】