大宮エリーの舞台「物語の生まれる場所at銀河劇場」が開催! 一夜かぎりの舞台への意気込みや内容を直撃インタビュー!!
作家や脚本家などマルチな活躍を続ける大宮エリーの朗読会「物語の生まれる場所」が、12月13日(土)銀河劇場にて開催。音楽とことばの即興で一回きりの一夜かぎりの物語が誕生するこの舞台。内容や意気込みについて大宮エリーにこっそり教えてもらいました。
撮影:KENTA AMINAKA
――今回の「物語の生まれる場所」は音楽と朗読の即興劇とのことですが、このイベントを開催するきっかけはあったのでしょうか?
昨年、2万5000人もの人が訪れてくださった個展をやったのですが、すごくありがたかった半面、思いを伝えるということに少し力尽きてしまって...。何もやる気が出ずにヤバいな、と思っていたところ、知り合いのミュージシャンから「違うことをやってみたら? 自分で書いたものを朗読とかしてみるといいと思うよ」と言われ。うまく読むとかではなく赤裸々な肉声という雰囲気で読めたら、と40人くらいのキャパのお店で朗読会をしたら、お客さんがすごく笑ったり泣いたりしてくれて...。これが本当に新鮮! 見てくださった方は、朗読と音楽に気持ちが乗ってスッキリしたみたいで。そんなに喜んでもらえるなら、と自分も元気になって何度か200人くらいの前でやっていたんですよ。基本、Twitterで宣伝していたんですが、ありがたいことに15分で即完。「行けなかった~」という声も色々聞こえてきたので、では12月にはもうちょっと大きいところでやろうと探してみたら銀河劇場というステキな劇場でやらせてくださることになり。でも...デカすぎました...。
――銀河劇場は約750人収容できる大劇場。いきなり大きな会場になりましたね。
みんな大丈夫だよ!と言ってくれるんですが、正直、これまで即完だったとはいえ200人の規模だから。「行けなかった~」と思っている人が残り30人いたとしても230人。これはヤバいですよ!! でも、1万5000人もの方が来てくれたパルコミュージアムで2013年にやった体験型の個展「思いを伝えるということ展」や、2万5000人もの方が来てくれた歩くプラネタリウムでもある「星空からのメッセージ展」をステージでやってみようと考えています。心がスッキリしたとか、幸せな気持ちになったと言ってもらえたらいいなと。
――自分の書いた本を自分で朗読する魅力はどういうとこにあると思いますか?
私、古びた店に行くのが好きなんですよ。中華料理屋さんのおじさんが語ってくれる人生論がグッときて。なんか、朴訥としているんだけど"肉声"という感じがしていいんですよ。書いた人が読む、というのはそれに近いのでは?と思いますね。谷川俊太郎さんはよくやられていますが、空気が伝わってきます。私が子供のころ親が共働きだったので、石坂浩二さんが朗読している「こーじおじさんのお話袋」というレコードを聴いていたんです。もう、浩二おじさんに育てられたと言っても過言ではないくらい聴いていて(笑)。石坂浩二さんが音楽と一緒に色んなお話をしてくれるんですが、それがリズムもあるので歌みたいに感じたり、詩の情景が伝わってくるんです。またラジオとはちょっと違った感覚ですよね。そういう感覚を私も伝えることができれば。今回はある意味"自分の原点"に帰った試みになっています。
――朗読する物語はどのような内容なのでしょうか? 今回、書き下ろしたりしているのですか?
一番に気をつけているのは、朗読していて耳にスーッと入ってくる文章を書こうということ。実はこれまで朗読している文章はパソコンの中にしかなかったのですが、「それ本になっています?」と言ってくださる方が多いので、「物語の生まれる場所」(11月27日発売)という本にして発売します。まぁ、プリントアウトしてあげるのもなんですからね(笑)。今回は、ここに収録されているお話も朗読しますよ。実は私、疲れてしんどいとき、友達にその思いをグチっても迷惑になると思うので、1人で星を見上げるんですよ。そうするとちょっとラクになって...。きっと私のように星を見上げている人がいっぱいいるんじゃないですかね。星を見ることによって人とつながる。そういう物語も書いています。色んな人の話があるので、どれかは自分の心情に当てはまる物語があるのではないでしょうか。あの話の主人公は私だ!と思っていただけたらありがたいですね。
――事前に「物語の生まれる場所」を読んでいくとまた違う楽しみもあるかもしれませんね。
いやいや、わざわざ読んでからでなくとも、この舞台に来てくださるだけで十分ですよ!! 舞台を見てよかったら買ってくだされば...。ただ、自分のリズムで読んでいるものと朗読されたものを聞くのとではまた違った新たな発見があるかも知れないですね。そういう楽しみ方もしていただければうれしいです。
――今回は、朗読だけではなくバイオリンも披露されるんですよね。
実は3歳からやっていたんですが、大学に入ってから止めていたんですよ。でもミュージシャンの友達がやれるなら披露した方がいいよ!と言ってくれて。実は、私がバイオリンを弾けるということを世間にバラしたのは板尾(創路)さんなんですよ! 2人でサファリ―パークにテレビのロケに行ったんですが、そこになぜかバイオリンがあって。あれっ!?って思っていたら、スタッフが「弾けるとお聞きしたので」って言ってきて...。パッと板尾さんを見たら「オレ、言ってもうた」って。しょうがないので、サファリ―パークのシマウマの前で披露しましたね。そうしたらシマウマが集まってきてくれて、聞いてくれている!!とテンション上がったんですが、どうも怖がってただ身を寄せ合っていただけだという...。初めてテレビで披露したバイオリンはそんな思い出があります。それからご縁があって、坂本龍一さんとセッションしたりライブで披露したりと色々させていただいていますが、今回の舞台は即興なので。これはまたちょっと違ったドキドキ感があります。そういうところも含めて楽しんでもらえればいいですね。
――今回、言葉や音楽で伝えたいことは何ですか?
おこがましいのでこれと言ってはあまりないです。ただ、自分が人との会話で救われたことがあるんですよ。「自分のことを愛せない人は、人のことを愛せない」と言われて。初めは「そんなことはない!!」って思ったんですが、確かに自分のことをあまり好きではなくて...。自分を大事にできれば今以上に他人を大事にすることができる、というのはなるほどな~と思いますね。自分を大切にしようってことですかね。
――そのような思いをサラリと心に伝えることができるのが、今回の舞台なんですね。
そうなんですよ。今言ったようなことを普通に話すと講演会や酒場でのトークみたいになっちゃう(笑)。これが物語になると意外とスーッと入るみたいですね。映画のワンシーンや言葉が残ったりするじゃないですか。そういう感じになるみたいです。あと、そのとき流れていた音楽を聴いて思い出したり...。なかなか運命の一本に出会うことはできないかもしれませんが、なにか自分に残るものを持って帰っていただければ。あと私も、音楽を聴いてそこから思いついたことも言いますし、みなさんからお題をいただいて物語をつくったりもします。その場で生まれることも本当に多いと思いますよ。メニューなど何もない、その場で即興で調理する料理屋さんに来た感覚を味わっていただきたいです。
「物語の生まれる場所at銀河劇場」
会場:天王洲・銀河劇場(東京都品川区東品川2-3-16 シーフォーストスクエア内2F)
日時:12月13日(土) 開場17:00/開演18:00
料金:4500円
出演:大宮エリー、おおはた雄一、伊賀航、芳垣安洋、栗コーダーカルテット3/4
http://www.j-wave.co.jp/topics/1409_ellie.htm
「物語の生まれる場所」
大宮エリー/著
廣済堂出版/刊
11月27日発売
1300円(税抜)