よしもとニュースセンター

2014年、コンビ活動10周年を記念した「しずる結成11-１周年プロジェクト」を行なったしずる。昨夏に東京・俳優座にて単独ライブ『日常と爆弾なんてさして変わりはしない』を、昨年12月に東京・ルミネtheよしもとにて『しずるベストセレクションライブ"2003～2014"』を開催しました。2015年１月末には、「２つの単独ライブをDVDで観たい！」というファンの皆さんの熱いリクエストによって、上記ライブ合わせて計38本（！）のコントを収めたDVD『しずる BEST CONTE』がリリースされました。

今回は「活動10周年を振り返りたい」という２人の意向によって、インタビュー取材を刊行。『しずるベストセレクションライブ"2003～2014"』を中心に、単独までの様子や単独当日の心境、活動11年目に突入した現在の思いまで、いろいろと聞きました。

――DVDリリースから少し経ちましたが、反響はいかがですか。

池田　「懐かしいネタがたくさん入ってたね」みたいな感想は結構もらいました。
村上　「しずるのコント、久しぶりに観ました」っていう声をいただいたりもして、僕らにご無沙汰だった方にもちょうどいいDVDになっているんじゃないかなと。『日常と爆弾なんてさして変わりはしない』のほうでは、新しいコントも楽しんでいただけますしね。元々、昨年やってた『11－１周年プロジェクト』は前任のマネージャーが提案してくれたものだったんですよ。ベストセレクションライブをやることもその時点で決まってたんですけど、どうせならたくさんやろうということで、30本をやることに......。でも、この中に入らなかったコントは他にもいっぱいあったので、この10年間でいろんなネタをやってきたんだなと、しみじみ思いましたね。

――今まで作ったネタ全部、覚えているものなんですか？

池田　......いや。（お客さんに投票してもらう）アンケートを作ろうっていうことになった時に、覚えてないものはたくさんありました。村上が言ってるもので「そんなんあったっけ？」と思ったネタもあったし、作家さんのパソコンに残っている台本のデータを観て"あぁ、あったなぁ"と思うようなことも多かったです。
村上　単独ライブで１回しかやってないコントって、やっぱり覚えてなかったりするんですよ。あんなに稽古したのに......改めてショックでしたね（笑）。逆に、３～４年くらいまでに作ったネタって覚えてるんですよ。２人で合わせながら作ってたし、データ化もしてないから頭に入ってるというか。当時はネタの作り方なんてわからないから、とりあえずいつもネタ合わせしてた場所に集まって「こんなん考えたんだけど」ってどっちかが切り出したアイデアから、２人でネタを膨らませてたんですよね。DVDの中に入っているものだと、「組体操」なんかはまさにそんな感じで作ったものです。
池田　そうですね。『キングオブコント』とかテレビのネタ番組とか緊張感のある場でやらせてもらったネタは覚えがよかったりもします。入念にネタ合わせしてるからもあるでしょうし、"ここでスベったら終わりだ"っていうプレッシャーがあったからこそ忘れられないのかもしれないですね。
村上　（『キングオブコント』でいい結果の出せなかった）「パンティ」は思い出したくないから忘れてましたけど（笑）。
池田　でも、意外とすぐ出て来たんじゃなかったっけ？
村上　実際やってみたらね。封印したけど、実際にたくさんネタ合わせをやっているから、２人ともすぐ思い出せました。
池田　あと、「再会」っていうネタは地方営業に行き始めた頃によくやっていたので、割と覚えてました。ライブの２ヵ月前からこれまでのコントを思い出してたんですけど、「こんなセリフあったよね？」「あった、あった！」「ということは、この前後ってこんな感じだったっけ？」って言いながら確認しました。
村上　「素人クイズ選手権」は、当時観ていたお客さんがほとんどいなかったと思うんですよ。だから「なんだ、このネタ」っていう感じから、どんどんウケていったのはやっていて気持ちよかったですね。
池田　今思えば、年代別にやっていっても面白かったかもなって。そうしたら、変化がもっとわかったかもしれないんですけど。
村上　その発想は、２人ともなかったね（笑）。

――ネタ順はどうやって決められたんですか？

池田　こういう言い方はあんまり良くないかもしれないですけど......割と適当に決めたよね？
村上　二部に分かれてたので、それぞれのトップとケツだけ決めて。お客さんが疲れてくる辺りにショートコントを入れたり、肩の力が抜ける中盤にこれ、とか感覚的に決めていきましたね。当日は、池田がポリープの手術明けだったことと着替えが上手くできるかどうかがとにかく不安で。
池田　僕も喉は不安だったんで、途中から腹式呼吸してたら最後、腹筋が痛くなっちゃいました。
村上　着替えに関しては「ここは大変だから、事前に把握しておこう」って確認しながらやってたんで、大きなトラブルもなく無事に終えられました。なんせ幕間が28回もあったんで、急ぐことだけを考えてました。
池田　最後は「冥土の土産」っていう普段からやり慣れてるコントだったんで、間違えることもないだろうということで「よし、終わった」っていう気持ちになってました。
村上　あぁ、池田、言ってたよね。「やっと終わる！」って（笑）。
池田　そうですね。『ベストセレクションライブ』を単独ライブだと言わせてもらえるなら、今までやってきた単独ライブの中でいちばんネタ合わせしたくないライブだったというか。昔、ガンガンやってたネタばかりだったから、やっぱり恥ずかしくなっちゃうんですよ。
村上　特に「青春コント」とかは本当に恥ずかしかった。
池田　思い出すことさえできればセリフはどんどん出てくるし、（新作ばかりの単独ライブと違って）セリフも飛ばさなかったし、噛まなかったりするから何度も稽古する意味ってあるのかなと思ったりもして......。でも、本番で飛ばしたり、噛んだりしたら怖いからやらなきゃいけないしっていう複雑な気持ちもあったり、不思議な感覚でしたね。

――お２人にとって普段の単独ライブのように新しいネタを披露する場ではないからこそ、モチベーションというところで言うと確かに難しい部分はありますよね。

村上　そうですね。新ネタの単独ライブなら８本中４本（のセリフは頭に）入ったから次の４本やっていこうっていう覚え方をするんですけど、『ベストセレクションライブ』は30本の中でセリフがおざなりになっているもの、これからもう一度覚え直すもの、覚えているものなど色々あったので、"あのコント、本当に大丈夫だっけ？"とか突然、不安に思ったりして。
池田　そうそう！"これ、今やってるけど、あれはいいの？"みたいなのは多かったですね。
村上　なので、ライブの１週間前くらいから池田練習法を取り入れてました。

――池田練習法......って一体なんですか。

村上　楽屋とかでボーッとしてる時に、どちらかがいきなりセリフを言い始めてスッと出てくるかを確認するっていう練習法です。
池田　大阪のハイヒールさんの番組に出させてもらった時とか、楽屋でやったりしてましたね。

――実際、３時間に渡ってコント30本を披露して、いかがでしたか。

村上　最初は"知ってるコントでどれくらい笑ってくれるんだろう"と不安でしたけど、笑ってもらって安心してからは割とあっという間でした。テレビに出るまでのネタ、テレビに出られたネタ、テレビで一時期シリーズ化していたネタ、その後のネタ......いろんなネタを観てもらえるいい機会だったなと思います。まぁ、池田はもう二度とやりたくないって言ってましたけど（笑）。
池田　ははは！　やっぱり30本やるのはキツかったですからね。いちばん思ったのは、よくぞお客さんが最後まで観てくれたなということ。お金を払ってチケットを買っていただいて、最後までネタを観ていただく......。芸人っていうのはネタを見るお客さんがいてくれる状況がないと成り立たない仕事だし、感謝しかなかったですね。

――DVDに関してもそうですよね。ファンの皆さんの署名によって実現した訳ですから。

池田　本当に有り難いですよね。署名を呼びかけてくれたのは、山形に住んでいる方で。東京での僕らのライブを一度も観たことがないらしいんですけど。
村上　だからこそ観たいと。2013年の単独ライブがDVDにならなかったこともあって、呼びかけてくれて......。SNSというデジタルと署名というアナログの融合のおかげで、DVDにしていただくことができました。地方に住んでいる方々はなかなかライブを観に来られないと思うので、DVDを観て"こんなことをやっているんだ"と知っていただければ。で、東京に来た際には、劇場に足を運んでもらえたら嬉しいですね。

――今年で芸歴12年目。８月には単独ライブ『吉祥寺マチェーテ』の開催も決定しました。

村上　『ベストセレクションライブ』を終えたことで、一区切りがついたところがあるんです。今はこの単独に向けていろいろと考えているところで、この先についてはまだ決めていないというか。
池田　まぁ、この単独ライブが終わったら、次の単独のことをすぐに考えるとは思いますけど。
村上　そうですね。このライブが終わったあと、しずるとしてどうするのか、誰とどんなことをやりたいのかなど今後の方向性が決まっていくような気がしています。ぜひ、８月の単独も観に来ていただけたら嬉しいですね。


●DVD情報
しずる BEST CONTE

商品番号：YRBN-90894～5
本体価格：3800円（税抜）
＜収録内容＞
■DISC.1：３時間で30本を披露した「しずるベストセレクションライブ"2003～2014"」
青春コント／消しゴム／カラオケ／Tシャツ／語り／びっくり先生／パンティー／ショートコント「なんなの？」／田沼さん／ブーブー／将棋部／再会／ルームシェア／暇／能力者／清美と川口先生／組体操／枠／永遠にクズ／野球部OB／腹黒い男／用心棒／素人クイズ選手権／フォークダンス／籠城／兄貴と子分／ストレンジャー／卓球／シナリオ／冥土の土産
■DISC.2：2014年オリジナルコントライブ「日常と爆弾なんてさして変わりはしない」
ただの水／思春期／シチャクシツ／ノリノリ／米国人／警察署屋上／出逢うべく二人／ファミリー
＜特典映像＞
NSC卒業公演で披露したコント「組体操」
©2015吉本興業


●単独ライブ情報
しずる単独ライブ『吉祥寺マチェーテ』
開催日時：８月12日（水）開演：19時
　　　　　　　13日（木）開演：15時／開演：19時
　　　　　　　14日（金）開演：14時
会場：吉祥寺シアター
チケット：前売4000円（全席指定）
チケットよしもとにて４月25日（土）より先行発売、５月２日（土）より一般発売開始！


【しずる】