国立科学博物館×吉本興業『笑楽校』なんで?ゼミ②~あべこうじ先生&奥山先生の「花と虫のなんで?」
9月14日(日)、東京・国立科学博物館にて、『国立科学博物館×吉本興業「笑楽校」なんで?ゼミ②~あべこうじ先生&奥山先生の「花と虫のなんで?」』が開講されました。
東京学芸大学協力のもと、弊社が行なっているプロジェクト『笑楽校』。面白いことを通して、元気な子どもを育てようというものです。そんな『笑楽校』が、このたび国立科学博物館と一緒に、「なんで?ゼミ」を開催することになりました。こちらのゼミでは、誰しもが疑問に思うさまざまな「なんで?」を、国立科学博物館の“科学の力”と『笑楽校』の“笑って楽しめる授業力”を組み合わせて解決していこうというものです。
「なんで?ゼミ」②では、芸人いちの虫好き(?)として知られるあべこうじと、同館の奥山雄大研究員が先生となって、「花と虫のなんで?」について授業を進めました。助手を務めるのは「なんで?ゼミ」①に続いて、ランパンプスです。
「こんにちはー!」と元気いっぱいに登場したあべ。返事の小さい子どもたちに向かって、「そのノリだったら、勉強できないよー! こんにちはー!」と元気な挨拶を求めると、大きな声でレスポンスが。「花と虫っていい関係なんだって。その辺を今日は勉強していくよー」と挨拶します。
受講生は男の子が多く、虫に興味がある子がほとんど。奥山先生は花について研究をしているそうですが、研究を進めるうちに虫についての研究も必要になってきたのだとか。あべの「花自体の種類は、何種類あるんですか? みんなが知ってるのは、チューリップとかタンポポくらいでしょ」という問いかけに、大声で口々に花の名前を叫ぶ子どもたち。先生曰く、わかっている限りで30万種類あるそうで、その中から珍しい花を紹介しました。
ショクダイオオコンニャクという植物は、その名の通り、土に埋まっている芋を加工すれば、こんにゃくになるのだとか。「夜に花が咲くんですけど、すごく臭いんです。匂いは腐った肉に似ていて、そういう匂いが好きな虫をおびき寄せるんですよ」と語りかける奥山先生。
「花はなんのために咲いているでしょう?」という難しい問いかけに、全員が首を傾げると、「花っていうのは種を残すために咲いているんですよね。種を残すためには、花粉が雌しべに付かないといけない。同じ種類の仲間から花粉をもらわなきゃいけない」と説明します。
カラスウリの花の蜜を吸うシモブリスズメガの写真を用いながら、「花は虫に花粉を運んでもらうために、蜜を使うんです。この花の蜜は奥にあるんだよね。簡単に取られるところに置いとくと花粉を付けることができないから、このガは長い口を利用して蜜を吸ってる間に、花はガの顔に花粉をつけて、仲間のところへ運んでもらうんですよ」とわかりやすく話すと、子どもたちも集中して聞き入っていました。
花と虫の関係を少し理解したところで、子どもたちからの質問に答えていくことに。
「昔のエジプト人は、どうしてハエを悪魔と呼んでいたんですか?」という質問に、「だいぶすごい角度の質問ですね」と感心するあべ。「花とは関係ないことだけど」と前置きしながら、奥山先生は「西洋では悪いものだと言い伝えられてきたんです。ハエの一部には排泄物や死体に群がるんだけど、そうするとばい菌がつく。ばい菌がついたハエが飛び回ると病気が広がるという関係性が、昔の人もなんとなくわかっていたからそう呼んでたんだろうね」と説明。あべは「ナイスなんで!」と、素敵な質問をくれた子どもを讃えます。
「ハエトリソウって、なんでハエを食べるんですか?」という質問には、奥山先生から「ナイスなんで!」が。
「食虫植物の花が虫を食べていると思っているかもしれないけど、花は虫を食べません。なぜなら、花に来た虫は花粉を運んでくれるという大事な役割をしてくれているから。虫を食べるのは葉っぱ。植物は太陽の光と空気、水で栄養をもらうよね? それは僕らでいうところの、主食なんだけど、ご飯だけ食べてると栄養が偏るでしょう? で、おかずが必要になるんだけど、普通の植物はおかずとしての栄養を食べられるんだ。だけど、食虫植物の生えているところは土が痩せているため、ハエをおかずにするんだよね」と丁寧に説明します。
「派手な色の虫と地味な色の虫がいるのは、なんで?」という問いかけには、「いろんな理由があります」という奥山先生。「ですが、人間から見て地味な色が、虫の目から見ても地味なのかはわからない。昆虫と人間の目は違っていて、ぼんやりしか見えてないけど動体視力はいいし、僕らの見えない紫外線の色も見える。だから、(そこに何かしらの理由があるのかどうかは)わからないですねぇ」と、予想外の質問に驚きながら答えていきます。さらに、「ただ、派手な虫には毒があるんですよ。あと、チョウチョウが派手なのは雄雌のコミュニケーションに利用するため。蛾は夜中に飛ぶから、派手な色をしてないんじゃないかな」と補足。
また、「家のアカシアにモンシロチョウが来て卵を産んでるんだけど、それはなぜ?」という実生活からの疑問には、「チョウチョウは卵を産んで、芋虫になる。で、芋虫は葉っぱを食べるんだけど、葉っぱは虫に食べられなくないから毒をつくって身を守るんです。そこで、芋虫は決まった植物の葉っぱだけ解毒できるようになっているんだよね。アカシアに来てたのは、モンシロチョウじゃなくてモンキチョウだと思うよ」と奥山先生。「どうやって見分けてるんですか?」というあべの質問に、「詳しくはわかってないんですけど、最初は見た目。アカシアっぽいなとまず見つけて、近寄って匂いを嗅ぐ。で、触って味を確かめてから卵を産むんですよ」と説明しました。
花と虫の関係をさらに理解したところで、お絵描きタイム。残念ながら、あべは別の仕事のため、ここで退室となってしまいました。
子どもたちがイラストを描いている間、寺内がまだ読まれていない質問をピックアップすることに。
「ハチはなぜ虫を食べる種類と蜜を食べる種類がいるんですか?」というものには、「蜜を食べるのはミツバチのほぼ1種類だけ。ハバチは芋虫のときに葉っぱを食べて、そこから成虫になる。カリバチは肉を食べるんですよね。そのカリバチから進化したのが、アリ。そこから変わった種類が花蜂。スズメバチは肉食で、少しだけ蜜を食べますよ」と説明。「アリがハチから進化してたなんて知らなかった! 確かに女王蜂に女王アリ……システムは似てますよね」と感心しきりの寺内。「虫はどうやって花を見つけるんですか?」という問いの答えとして、「きれいな色と匂い、かたちで、花を探しています」と奥山先生。真剣に絵を描く子どもたちに、小林は「虫を呼ぶために、花がある。そういうところを意識して描けるといいかもしれないね。想像でもいいからね!」と語りかけました。
描きあげた子どもたちからイラストを披露。くちばしの長い鳥が、赤い花の蜜を吸うイラストには、「こういう鳥もいるし、こういう花もありますよ。ハチドリといって、アメリカにいる。こういう赤い花も、アメリカには多くあります」と奥山先生。また、金色のひまわりと金色のチョウチョウのイラストには、「金色に光る花はありますよ。キンポウゲといって、葉がテカテカしていて輝いて見えるんですよね。虫に見つけてもらえるようにキラキラしてるんです」と補足します。
また、先ほどの「蛾は夜に活動するから、色が地味」という発言を受けて、「夜に目立つ虫がいてもいいんじゃないかなと思って」という子どもには、「そうだよね。僕たちはどうしても理屈で説明しようとしてしまうけど、説明ができない虫や花も出てくるんだよね。そうなると、より研究は進んでいくんです」と子どもの視点に感心したように語る奥山先生でした。
●笑楽校
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