えんにち単独ライブ『獄中漫才~ホゥなる夜に~』
12月23日(火・祝)、埼玉県・大宮ラクーンよしもと劇場にて、 えんにち単独ライブ『獄中漫才~ホゥなる夜に~』が開催されました。
クリスマスイブを翌日に控えたこの日。
劇場内外はクリスマスムードが漂い、開場時間には、アイパー滝沢プロデュースのキャラクター・パーさんが来場者を出迎えます。
その物々しいタイトル、芸風とは相反して、家族連れなどでほぼ満席に膨れ上がった客席の前に登場したえんにちの2人(アイパー滝沢、望月リョーマ)。
「よろしくお願いしまーす!」(望月)、「ホゥ! メリークリスマス!」(アイパー)と挨拶すると、あたたかな拍手に包まれました。
舞台中央には、てっぺんに漫才用のサンパチマイクが模られたクリスマスツリーがあり、「いきなりですけど、これ俺が作ったんですよ」とアイパーが手にしたのは、毛糸で編まれたカップケーキ、ドーナツ、キャンドルといった装飾品。
しょっぱなから特技の編み物をアピールするアイパーに「一番初めに編み物の話しするのやめてくんないかな」と呆れる望月ですが、「アイパーさんが編み物であまりにも仕事があるんで、僕の方がどんどん手持ち無沙汰になりまして...」との理由で、3Dペンを用いて「MERRY CHRISTMAホゥ」とのロゴなどを作ったと明かし、一同を驚かせます。
続いて「おれらもクリスマスっぽくなろうぜ」というアイパーの提案で、望月に赤鼻を付けるも、青い頭巾でドラえもんっぽくなったり、赤い帽子と口ひげでマリオっぽくなったり、トナカイの角ではなくウィスキーの角(かく)を出すといった、モノボケで爆笑!
さらにアイパーは、「♪真っ白な粉の~」「♪金は夜更け過ぎに粉へと変わるだろう サイレンが~」といったクリスマスソングの替え歌で盛り上げ、「聖なる夜っぽくなったろ?」(アイパー)、「ホゥなる夜っぽくなったんだよ!」(望月)、「よっしゃいくぞ、獄中漫才スタート!」(アイパー)との掛け声で、暗転となり、オープニングVTRが流れます。
VTR終わりで、改めてサンパチマイクを挟んでの漫才がスタート。
挨拶を終え、客席を見渡し、「後ろの男の人たちは警察関係者じゃないですよね?」(アイパー)、「違います、だとしたらオープニングでアウトですから(笑)」(望月)といったトークから入り、前出したパーさん、GAG少年楽団・福井が扮するキャラクター「もりあげヒーローヨイショマン」などを例に、「他の劇場さんから、大宮だけ独特な進化を遂げてるな(って言われる)」「劇場がガラパゴス化してる(笑)」と望月が嘆きます。
アイパーも「パーさんも独り歩きしてる。ルミネじゃ誰も知らないっていう(笑)」と同調。
その後は、お正月に関する唱歌で、またもアイパーが替え歌を歌ったり、今年の流行語(「ホゥ」はノミネートされず)といった時事ネタをテーマに漫才を展開。
そして、アイパーが「一回もオレオレ詐欺やったことないんだ」と切り出し、母さん助けて詐欺が設定の漫才コントへと移りますが、アイパーのしつこいボケに、望月から「子供しか笑ってないわ!」とのツッコミが飛びます。
そうした王道スタイル(?)の漫才が続くなか、またも「国語の先生になりたい」「
金八先生みたいなことやりたい」と願望を言い出したアイパーが、ホワイトモードを舞台に用意し、金八先生さながらに、漢字の意味を紐解くことに。
しかし、「親はいつも子供のことを分かっているから"親分"」「手と目で守るから"看守"」と、案の定、アウトレイジな方向へと展開します。
望月も「いっぱい泣いたっていい。あとで立ち上がれば」などと対抗しますが、反応はイマイチで、 見かねた観客からは「がんばれリョーマ!」といった声援も。
また、その道で「世界にまたをかけて」活躍したいというアイパーは、「ルーブル美術館の前でダフ屋」「F-1グランプリで当たり屋」「ハワイのロコモコで人をボコボコに」と願望を口にするも、すぐに「俺らの漫才飽きちゃったなあ。誰かにネタ作ってもらえねえかな」と口走ります。
そんな前振りがあり、続くVTRでは、同期の囲碁将棋のもとを訪ね、ネタ作りを依頼。さらに根建に稽古をつけてもらう風景が流れます。
その直後に始まった漫才では、「プロ野球選手になりてえなあ。ハマの番長二世としてさ」(アイパー)、「髪型は一緒だけどさ(笑)」(望月)から始まるまさかの野球ネタ。
網走ドラゴンズの投手で、4年連続ホールド王を獲得するといった実績を明かしたアイパーは、猫背気味のセットポジションを見せると、望月も「まさかの大リーグでよく見るセットポジション習得してる!」「3塁に偽投して1塁に牽制球投げた、すごい本格的!」と野球通っぽくツッコみます。
ネタを終えると、「俺ら野球いっこも知らねえのに、なんだよこのネタよー。アイツ(根建)の趣味がコアに出てるから」と不満を爆発させる望月。
再度、囲碁将棋のもとへ訪れようと試みますが、VTRではえんにちの前に、ぺぺ・岡部が立ちはだかり、「めっちゃ試したいネタがあるんですよ。それを僕らの替わりにやってください」と懇願。
岡部の勢いに押され承諾したえんにちは、根建同様に岡部の前で稽古し、漫才がスタートします。
すると、望月はシルクハットにステッキ、タキシード風の衣装で歌いながら登場。
黄色い歓声を浴びながら、「♪優しいヤクザだね ドゥビドゥドゥバードゥビドゥバー」(望月)、「♪ホゥホゥ」(アイパー)といったミュージカル調の掛け合いや、タップダンスを真似たステップで大いに沸かせます。
「来年はこのリズム漫才でいこう」とするアイパーに「絶対やだ」と望月が拒否し、「よー!」という一本締めで漫才を締めくくりました。
エンディングトークでは、ラスト2本の漫才を書いた根建と岡部もステージへ。
「もっとセットポジションで桑田(真澄)感が出ればよかった」「(アンダースローの件で)山田久志感が出せれば」とダメ出しする根建でしたが、「100点です。厳しい合宿にも耐えていただきまして」とえんにちを労います。
また、ネタに使われた"江夏の21球"を知ってる人を客席に訊くと、4人しかおらず、「これだけいて、4人じゃねーか!」と望月が憤慨する一幕も。
一方の岡部は、「2日経つと、リズムって変わりますね」と稽古から本番までの間に、リズム、メロディが変化してしまったことを指摘し、正解を自分で歌ってみると全く一緒で、「合ってんじゃねえか!(笑)」とアイパー。
また岡部は、望月のダンスが「超クネクネしてるの(笑)」とツボだったようです。
2本のネタとも、えんにちはえらく気に入った様子で、「もらっていい?」と許可を得て、今後の持ちネタにする可能性も示唆しました。
もう一人のスペシャルゲストとして、パーさんが登場。
ここで岡部が「嘘のような本当の話ししていいですか? アイパーさんのことパーさんと呼び始めたの、僕なんですよ」と明かし、そのネーミングにアイパー本人も「気持ちいい」と受け入れ、周囲の後輩芸人に広がっていったそうです。
ポケットに白いパウダー状の品を忍ばせるなど、反社会的な香りが漂うパーさんですが、アイパーは「大宮の幼稚園、まわろうと思ってます」と意気込むのでした。
最後は、出演者、観客と一緒に一本締め。
終演後のロビーでは、パーさんとともに手編みのコインケースなどグッズの物販を行うアイパーに人だかりが、一方の望月にも、目が半開きの立て看板との2ショットを撮ろうとするファンの行列ができていました。
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